~二十四里霧中~ 所属を決めて
結論から言う。
全部になってやることになってもーた。
いやね、自分でも目が点になってしまってなんのこっちゃなんだけど。
どうもどこのところもきてほしいということで難民には非常に珍しくどこでもきてほしいということらしい。
山の方で争い見てた時に焼き討ちにあっていたのは農業村とそれに隣接した市場。
まずはそこの立て直しをとのことだったが、そこにたまたま農業村の収穫を搬入していた人とか収穫後で一服していた人が争いに巻き込まれたかなんかで数人逃げ遅れてお亡くなりに・・・・・
ちょっと、これって
その前に、ミルエラさんからもなんか目を見張ってそれなら、市場の方の護衛をなんとかするほうからではと言い出し、そこからなんか話し合いが妙な平行線を辿りだした。
今回の争いはちょっと規模が大きかったというよりも不意打ち的なものがあり、被害が大きかったようだ。
前例がないわけではないので、慌てているような感じはないが、災害に会い、不幸があったというのよりも若干超えるくらいの感情しか抱いていないようだった。
人の命、ちょい軽くない?
とも思うのだが、ここはそもそも移民受け入れが頻繁でもあり、そこからくる軋轢を避ける意味も込めてこうして働く村々を離しているきらいがどうもあるし、お互いの認識でも当事者以外は対岸の火事のようなところがある。
避難所では一つにまとまっていても、一歩外に出ればばらばらになる、そんな感じ。
代表者の言い募る言葉の端々で微妙に情報の伝達がなされていないように思えてならなくて・・・・・だって、人死にがでたというのに、代表者が集まっているのに、今こうして聞いたというような様子が歓迎会に参加している人の輪で度々起こりちょっと座を外して何事かを伝えにいく人が何人もいたからだ。
今回の争いもだが大概の争いは三日で収まるとのことで事実、今回も収束方向で現在はお互いに兵を引き始め、今ではもう撤収用意をしているようだ。
ルネはもうその情報をもっていたので鷹揚にうなずいていた。
で、そうなれば、あすからの行動になるわけである。
でも、なんか、争いがこうも日常化している風景見て、異常事態が異常事態ではなくなっている状態がちょっとまずいなぁ、と自分で思えてきた。
具体的に、第二次世界大戦中の日本の某所で井戸端会議している母親たちがほぼ毎日空襲に来る米軍に、その日こなかった際に、「今日は来なかったから変な感じ」と違和感を訴えることがあったという逸話があるとか。
危険も毎日繰り返すとそれが当然となり、慣れとなり、危機意識が薄まってしまう。
それじゃ、あかんやん。
それに加えて、対岸の火事とも思えるような価値観ではより大きなコトが起こったときにえらいことになるのでは・・・・・
で、そんな感じで、平行線を辿り、はじめはフレンドリーに話し合っていたのがなんだか徐々に険悪なムードが漂い始めて・・・・
歓迎会で和やかムードだったのに自分の就職のせいでこうも険悪になるのはちょっと居心地が悪い。
場の空気もいまいちになりはじめてルネが苦笑しつつも抑えまわろうとした。
バン
柵が倒れた音がした。
目線を追うとヒィロちゃんも含めた子ども達が一角を占めている場所で仕切りとして使っていた低めの木の柵が倒れた音だった。
ヒィロちゃんはだいじょうぶか?反射的に立ち上がって安否確認をしに行こうとした。
ここからでも視認はできるがそれでもきちんとした姿をみておきた。
それにどうも他の子もいるし、もしかしたらヒィロちゃんとも仲良くなれるかもしれない子供達。
子どもは大切、の気持ちで様子を伺いに行った・・・・のだが、ぐいっと引き止められた。
ルネから借りた服の裾つかんだのは横にいたミルエラさん。それに後ろではまだ何かを言い募っているおじさん連。
まぁ、早めに決めて欲しいとかそんな感じでいや~な雰囲気纏わせながら近づいていた。
そりゃね、争いもあったし、なれているとは言え苛立ちも内心あったのだろうね。
被害もあったろうし、大変だろうし、それゆえに喉から手が出るほど人手が欲しい。
それはわからないでもない。
でも、それとこれとは話が別。
子どもを大事に思っていこうとしたのに引き止められるのはなんか嫌な感じがした。
にこやか笑顔を装っていても、なんか早く結論を下して欲しい、そんな雰囲気を纏わせていた。
なんだか、オワハラ面接受けてる気分。
とにかく、早く様子を見に行こうと足を動かそうにも見るエラさんは握った裾をはなさず、後ろのおじさん連はさらに勢いにのって言い募ってきた。
焦ってるような様子だった。
まぁ、場が切り崩されてなあなあで終わり、そのまま決まらず持ち越されてしまうのはおしいのだろうか・・・おしいのだろうけども・・・・
「わかりました、もう、全部やります」
ちょっとぷちりとなっていっちゃいました。
「あなたがたは全行程をまとめた仕事内容のものを全部私に提示てください。時間はこういった手前全部やってやりますから!!」
大きな声でそれだけいってやった。
はい、もう勢いでいっちゃいました。
きょとんとした顔をされたおじさん連とミルエラさん。
「いや、さすがにそれはちょっと無理が」
一人の代表のおじさんがそういったが、それをぎろっとにらんでから
「やりますので、お願いします。それよりも子供が心配じゃないの?子供は未来のあるものだから、なんかあればちゃんと見てあげないと」
深々とお辞儀をして自分なりに無理やり笑みを浮かべて踵を素早く返してやりました。あまりあとの顔は見るとまたなんか言われそうなのでそれぞれの顔は見ず歩き出した。
言ったあとでの後悔?
んなことはおいとく。
投げやり?
そんなことはない。
向こうは早く場を離れたいがための詭弁とでも思ったかもしれないけど、自分の中ではほんとうに全部行ってやろうと思った。
一瞬どうしようって思いはしたけども、つと、持っている霧の竜さえうまく使えればどうにかなるかもと思った。
幸い、使い方は朝に確認済み。
あとは実験していて検証していけれればなんとかなると思いいってみた。
ん、とにかく、そのあたりは後回し。
まずは安否確認からしにいかないと。
すたすたと子供たちのそばへと歩み寄っていった。
昨日ちょっと考えて、存外全部まわるほうがいろいろ面白そうだなと思ってやっちゃいました。




