~十一里霧中~ 容貌ともうひとり
すたすたと洗面所まで行く。
家に入れてもらったときにすでに確認は住んでいる。
大きめのボウルがあり、蛇口があって、その向こうにちょっとした小さな鏡。
お手洗いもその扉の向こうにあるとのことでほっとした。
ただ、はたと疑問に思うことがあった。
そういえばここはツリーハウス。
水とかの上下水道はどうなってるのかな思った。
そこはそれ、ファンタジー世界だからなんでもありかと思ったが、重力もあれば無双できる力があるわけではなし。
水とかも想像だけでわいてくるわけではない。
なぜなのか、疑問である。
どこかに水道管でもあるのだろうか?
そうなるとなんだか文明水準はどうばっているのか疑問がわいてくる。
『疑問に思ったことはとりあえず調べる』
私の父の言葉である。
ただ、好奇心は猫をも殺すというかこうして見知らぬ、それも初めて会った人の家にいるわけだし、礼儀は守らないとね。
とりあえず、顔でも洗いに洗面所へと行く。
といってもひげそりもしたいがないわけだし、軽くヒゲの有無くらいは確認しようかな。
で、鏡を見てちょっとポカンとした。
目の前にいる人だれだろう。
いや、自分なんだろうけどもさ、かなり修正しないとちょっとこれはって感じであった。
目元とか口元とかアゴのラインとか細かいところは自分のままだろう。
でも、全体的になんていうか造形が変わっているように見えた。
前までの生が魅力値を50とすると軽く倍はいってるような。
三国志ならカンストしてんちゃうかってくらいに。
パッと見で乙女ゲーとかそちら系アニメとかを上手に実写化できました。
みたいな。
・・・・・そういえば避難した人たちを見ても全体的な平均値は高かったように見えた。
まぁ、そんな中でもルネさんは頭一つ抜きん出ていた感じだけども。
・・・・
・・・
・・
・
じーっと見ていてもしょうがないし、こうして転生してきているわけだからこーいう変化もあるのかもしれない。
カンガエホウキシタワケデハナイヨ
ん、ささっと顔を洗っていこっと。
顔を洗い、抱っこしているヒィロちゃんをあやしてリビングへ。
ルネさんは既に椅子に腰掛けてテーブルの上に書類を広げているところだった。何かの書物か。
リビング内は壁には絵とか飾りは一切なかったがその分、添え付けの棚には数多くの本が並んでいた。
「ああ、起きたか。おはよう、よく眠れたか?」
書類から目線を上げてこちらをみて挨拶をしてくれる。
うん、こういうときに目線を上げずに挨拶する人もいるけどもこうしてちゃんと『見てくれている』というのがわかるようにしてくれるのはちょっとした心遣いができる人なんだろうなって思わせてくれる。
「ええ、よく眠れました。ほんとうにありがとうございます」
「いや、何、別にそこまで頭を下げなくてもいいよ」
ん?ちょっと言葉がフランクになってきている?
「まぁ、癖みたいなものですからね」
「そうか、なら仕方がないかな」
ふっと微笑を浮かべる。うん、やっぱりなんだか硬さが取れている。
「ええ、仕方がないんです」
だからこっちも微笑で返した。
「うん、やはりそういうふうにしているほうがこっちとしても気が休まるよ」
そう言われて、あー、自分、けっこう緊張していたのかなと思い返した。
まぁ、そうだよね、こうしているにしろ、たったの一日しか経過してないからね。
そう思えば順応は早いのかな。
それ以上にこうしてルネさんの人心掌握がうまいからかなとちょっと物騒なことも考えてみた。
まぁ、それだけ余裕が生まれたのかもしれない。
「とりあえず、食事にするか。もうそろそろ来るかと思うが」
ん?誰が来るの?
「やっほー、ルネ様ー♪朝ごはんできましたぁ☆」
底抜けに明るい声がした。
女性の声?
誰だろ?
「ねぇ、ルネさまぁ、いたらいたで返事してぇー☆いなかったりかなったで返事してぇ☆できたら甘く優しく切なくぅって、きゃああーーー、大胆なわ・た・し☆」
えーっと・・・えーっと・・・・なんだろ、これ?
やたらと今までの現状からの場違いな声。
「はぁ、まったくいつもいつも」
ルネさん、頭を抑えて、軽くふっている。
「すまないな、どうやら朝ごはんが来たようだ。」
がたっと立ち上がる。
「ちょっとにぎやかになるがかまわないかな」
「ええ、構いませんけど」
自分がそういうと立ち上がって玄関へと向かっていった。
誰だろ?
親しい人とかかな?
まぁ、あれだけのイケメンさんなんだからいて当然か。
もしかしたら、恋人さんかな?
ふふ、どんな人なんだろうなぁ。声の感じからしてちょっと幼目の人とかそれとも予想を裏切って見た目淑やか美人とかかな・・・・・
ちょっと、玄関先で押し問答があって足音がこちらにくる。
うん、もうひとり加わっている足音。
そして、リビングにルネさんとともに現れたのは・・・・
「やっほい、おはよ☆ラスさんでいんだよねって、ルネ様並にいいお・と・こ☆にゃっはぁぁぁん」
そこに現れたるは目を見張った。
猫耳で、メイド服着た、小さな小さな・・・・・
『老』女だった。




