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「もう、うんざりだ」と言われたので、出ていきますね  作者: 結城芙由奈@コミカライズ連載中


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第22話 とりあえず何か食べ物を下さい!!

 ガラガラガラガラ……


夕暮れの村を荷馬車が進む。


「それでね。今日は僕、畑を耕していたんだよ」


荷馬車に乗った茶髪の少年――イワンが得意そうに話している。

フフ。人懐こくて、とても可愛い少年だ。


「そうなの? 偉いわね。まだ十歳なのに、家の仕事を手伝っているなんて」


イワンは学校に通っているのだろうか?


見たところ、この村はとても辺鄙な村だ。

店らしいものもない。

学校があるとは思えなかった。


うん、ちょっと聞いてみようかな。


「ねぇ、イワン」


「何? シーナさん」


「学校は行ってるの?」


「うん、行ってるよ」


「そうなのね」


それを聞いて安心した。

やっぱり勉強は大事だものね。


「今は週に一度、隣町の学校へ行ってるよ」



「ええ! 週に一度!?」


まさか週に一度しか学校へ行ってないなんて!!


「別に珍しいことではありませんよ? 自分だって学校へは通っていませんから。むしろ週に一度でも通えるなら恵まれてるほうじゃありませんか?」


ジャックさんが会話に入ってきた。


「そうだったの……」


「うん、僕の家は代々村長だから、読み書きくらいは出来るようにならないとダメだっておじいちゃんに言われてるから」


なるほど、理に適ってるかも。


「この村にはイワンの他に子供はいる?」


「うん、いるよ。チャドでしょ、トム。それにカーラにグレタ。僕を入れて五人だよ」


指折り数えて元気よく答えるイワン。


「そう、偉いわね。イワン」


頭を撫でてあげると、「ヘヘッ」と嬉しそうに笑う。


多分、他の子たちは学校へ行ってないのだろうな……。

勉強は大事なのだけど。


「あ! あれだよ! 僕の家は!」


イワンが元気よく指さした先には、明らかに他の家々よりは立派な石造りの家屋が立っていた。


大きな煙突からは煙が出ている。


「ドウドウ」


ジャックさんが家の前で馬を止めると、イワンは元気よく荷台から飛び降りて家に向かって一目散に走り出す。


「あ! ちょっと待って! イワン!」


イワンは振り向くことなく扉を開けると家の中へ入ってしまった。


「……どうします? 奥様」


御者台のジャックが振り向く。


「う~ん……どうしようかな。とりあえず少しだけここで待ってみる。それで誰も出てこなかったら、直接訪ねる。どう?」


「そうですね、いい考えだと思います。あの……奥様」


突然神妙な顔になった。


「何? ジャックさん」


「あ、ジャックでいいですよ」


「なら、私のことも奥様じゃなくてシーナって呼んでよ」


「はい、分かりました。シーナ様。あの、お願いがあるのですが……」


「どうぞ?」


「今夜一晩泊めてもらえないでしょうか!?  今から戻ると、真っ暗な夜道を馬車で走らなければなりません。シーナ様もご存知ですよね? こへ来る途中、何も無い平原があったことを」


「そうね」


確かに言われてみればその通り。


「いくら月灯りがあったとしても、途中は森を抜けなければなりません。夜の森はそれはそれは危険なんですよ!?  夜行性の動物だっているかもしれないのですから!」


余程怖いのか、ジャックはぶるぶる震えながら懇願してきた。


「あははは、いやね~。まさかこんな夜に帰っていいわよ、なんて言うはずないじゃないの~」


「本当ですか!? ありがとうございます!」


ペコペコ頭を下げてくる。


うん。

彼は、あの屋敷の人達よりもずっと親切だった。

また明日、帰るときに謝礼として金貨をあげよう。


は~……それにしても、お腹空いたなぁ。


そのとき。


――ガチャッ


扉が開く音が聞こえ、白髪頭の男性が現れてこちらへ向かってくる。


私とジャックは荷馬車から降りると、多分村長? さんが声をかけてきた。


「旅のお方、私にどのようなご用件でしょうか?」


「はい、実は私……」


ぐぅ~……


突然、私のお腹の虫が盛大に鳴る。


「「「……」」」


ジャックもイワンも村長さんも驚きの顔で私を見る。


「お腹が空いてるんです!! お金はお支払いしますので、とりあえず何か食べ物を下さい!!」


開き直って頭を下げた――

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