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002 青い上下セット

 言い終わると、紗良葉(さらは)は、青いショーツをテーブルに置いた。

 子供服とはいえ、女性用下着である。薄い。

 ひとたび脱げば、クシャッと丸まって、ハンドタオル程度の小ささになる。

 テーブルの、水色ワンピースと白いシャツ、青いブラの上に、重ねて載せる。さっき、順番に脱いだ物。

 これで紗良葉は、着衣を全部、取り除いたことになる。

(この青い上下セットは、たしか……)

 ふと、思い出すカヲルコ。

 英国に滞在中、二人で選んだ下着だったような気がする。

 ここで、

「――」

 ……考え直したように、もう一回、手を伸ばす紗良葉。

 たたんだワンピースを広げ、その中へ、ショーツとブラジャーを挟み込んだのだった。さすがに、下着が一番上では、恥ずかしかったらしい。


 我に返り、今の言葉に答えて、カヲルコが声をかける。

「そのようにおっしゃっていただけるのでしたら、では、念のため、ちょっと点検をしましょうか」

「点検?」

 大きな瞳で、紗良葉が見上げてくる。左の腕で、胸元を、右の手のひらで、股間を隠していた。

 身長は、カヲルコが百六十八センチ。紗良葉は、頭ひとつ分、それより小柄だ。

「はい。糸や汚れなどが、肌に付着していないかどうか、チェックしようかと。恐れ入りますが、手は腰の横につけて、気をつけの姿勢で、くるっとひと回りしていただけませんか?」

 と、カヲルコが頼んだ。


 ……もし、お(いや)なら、手はそのままでも結構です――そう付け加えようかと迷ったが、

「はい」

 それより早く、紗良葉は、前を隠していた両手を、太ももの外側へずらして、(すべ)らせる。

「んっ……」

 カヲルコは、言葉を飲み込み、唇をグッと結んだ。

 紗良葉の体。

 つい数年前までは、少年の体つきと、大して区別もつかなかった。だが、今は違う。肩と腰つきは丸みを帯び、バストのふくらみも、はっきりと前に張り出していた。もはや、ひと目で「女」だと分かる。

 二年ほど前までは、一緒に入浴することもあったが、最近は、その機会も減った。


 ほほが、少し赤い。

 しかし、表情は冷静だ。これから、五十年という長い眠りにつくのだ。その深刻さを思えば、余り恥ずかしがる余裕も、ないのかもしれない。

 次に、紗良葉は、(ひざ)を軽く曲げ、かかとをパタ、パタと動かし、ひと回りした。言われたとおり、その場で後ろ向きになり、また正面向きに戻ったのだ。


 背中に垂れた金髪が、サラリと揺れた。長さは、背中の真ん中に達するぐらい。

 その下のお尻は、十代(なか)ば特有で、キュッと小さいながら、左右へも広がり始めていた。まさに、大人へ育つ途中。左の尻たぶに、ほくろ。

 全身の観察をざっと終えたカヲルコが、静かに告げる。

「ありがとうございます。大丈夫、異常なしです。お疲れさまでした。では、こちらのカプセル型ベッドに、そのまま寝転んでください」

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