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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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28 婚約式 十五

 夢から醒めると目の前に苦しそうな顔をしたサンがいた。

 サンは私に 夫婦の契り を求めていた。それは公爵夫人から聞いていた 夫婦の誓い の事だろうと頭の中で認識した。

 本来なら婚約式と結婚式で行う儀式だと。

 でも幼いサンが先に契りを交わしてしまったから、婚約式で行う契りは終わっているのだと、教えてくれた。

 だったらサンが今言っているのは、本来なら結婚式で行う事なんだと理解できた。

 私の中ではすでに覚悟は出来ているのに、サンには出来ていなかったのかと思ったら、なんだか少し寂しくなった。


 でも違った。


 サンは私とお父様の事を思って言ってくれたんだと知ったとき、私の中で覚悟が決まった。

 だから、私の方からお願いしたのだ・・


「フローラ大丈夫か?」

「「 フローラ様!! 」」


 再び目を開けると心配そうに覗き込む六つの目に驚いてしまった。

 見ればウィルさんもザーラも服が破れ汚れている。私は驚き飛び起き上がるが目の前が回り再び横になった。

 そんな私に泣きながらザーラが抱きついてくると先生がザーラの背中をさすりながら


「だから言ったでしょ?フローラは無事だからと」

「でもレイ、フローラ様のあんな姿を見せられたら生きた心地はしないわ」

「確かに、俺も君の姿を見た時は生きた心地がしなかったな」


 そう言うと先生はザーラを優しく、後ろから抱きしめていた。


「!!!?」


 驚いて声が出なかった私の耳元でウィルさんが優しく 二人は婚約者同士なんですよ。と教えてくれたのだった。


 三人から手短に話を聞いている時、後ろの方からものすごい魔力を感じ身を屈めた。

 先生はザーラを、ウィルさんは私を守るように・・


「この魔力は?」

「・・おそらくサンの力だろう。フローラと夫婦の契りを交わしたのだろう?だったらこの力も頷ける」


 先生とザーラの言葉を聞きサンの方に目をやれば、サンが一人の女性の首に手をかけ高く持ち上げていた。

 よく見れば持ち上げられている女性はあのキャロルではないか!

 私は急いでサン元へ駆け寄ろうとしたがそれを止めたのはザーラだった。


「ザーラ?」


 ザーラは頭を横に振りながら


「行ってはダメです。行けばフローラ様の命が危ないです」


 と、止められてしまった。


「でも・・」


 私は再度二人を見る。

 さらに高く持ち上げられたキャロルの体から力無くストンと両手が下に落ちた。

 私はその瞬間ザーラが止めるのも無視しその場から思いきり駆け出し、サンめがけて体当たりをした。


 やめて!と叫びながら・・



 そして今私の目の前に公爵夫妻に双子。ザーラの背中を支えるように先生が立ち、その横にはボルドさんとフィンさん。そして夫人付きのミィナさんまでが揃っていた。


 そしてキャロルを腕に抱いているのは


「セリル・・だったかしら。私に付いていた」


 ローウッド領に送られたはずの侍女だった。

 そうあの時、私がサンに体当たりした瞬間と皆が入って来たのはほぼ同時だった。

 セリルは真っ直ぐにキャロルの元に駆け寄ると声をかけ続けていた。

 その呼びかけた名が


「セリル!!」


 だった・・。






 そして今私は公爵邸の私の部屋のベッドで横になっているのだけど、なぜか目の前で頭を下げているサンのつむじを眺めていた。

 いや、頭を上げないから目の前につむじしか見えないのだ。


「サン、もういい加減顔を上げてくれないかしら」

「いや、でも私はフローラを失う恐怖のあまり絶対にやってはいけない事をしてしまったんだ!」

「そうですね、あれほど皆が準備を進めて楽しみにしていたのに・・」

「ザーラ言い過ぎだ!サンも反省してるじゃないか!」


 サンの後ろでウィルさんとザーラが話している。

 

「それを言ったら私が悪いわ。簡単に連れ去られてしまったのだから・・」


 そう、あの時レナが戻るのを待てなかった私に問題があるのだ。

 一番に責められるのは私であってサンでは無い。なのに何故かサンが謝っている・・

 私は一つ息を吐くと


「ザーラお願いがあるの。ウィルと共にサンの執務室から私のショールを持ってきてくれないかしら」

「?でしたらウィルに・・」

「あのショールはお母様の形見なの。ウィルに破られても困るわ」


 そう言うとザーラは頷きウィルは涙目で私を見てきた。サンの執務室にはウィルか先生が一緒でなければ入れないようになっていると聞いた事があった。

 私は二人に お願いね と言うと二人を見送った。

 サンは今も頭を下げている。

 そんなサンの頭に軽く手を乗せ、サンの髪を優しく撫ぜた。


「そろそろ私に顔を見せてくれませんか?旦那様」

「・・・え?」


 私の言葉に驚いたのか?サンはやっと頭を上げ私に顔を見せてくれた。


「フローラ今・・」


 私は微笑みもう一度同じ事を言った。すると思いきり抱きしめられながらもまた謝ってくる。

 きっとサンの中で半分は強引に夫婦の契りを交わしたと思ったのだろう。

 私はサンの背中を軽くポンポンと叩くと


「私はずっとサンが迎えに来てくれるのを待ってたんですよ?だって約束したじゃないですか、結婚しよう!って」


 あの日の約束を一番心待ちにしていたのは、サンよりも私の方だと思う。 

 だからあの状況だったとしても、サンと夫婦になれた事が嬉しい。


「私ではダメでしたか?」


 そう言った瞬間、サンは私の唇を奪うと


「ダメな訳ない!私だってずっと、ずっとフローラを私だけのものにしたかった。でも、君から同意も得ず契ってしまいどれだけ後悔したか・・」


 キスをしながら話してくる。

 そんなサンの想いを受け止めるのが精一杯だったが、さすがに濃すぎるキスに力を失いそうになる。

 そんな時


「フローラ様起きられましたか・・サディル様!!病み上がりのフローラ様に何してるのですか!!」


 私の様子を見に来たレナに思いきり怒られることになったサンに、少しだけ同情してしまった。



 こうして何だかんだ有りながらも私とサンの婚約式は無事?終わったのだった・・



今月中には完結しそうです。

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