27 婚約式 十四
「ウィル目を開けろ」
フローラから力をもらった私は急いで二人の元へと戻ろうと女神像から顔を出した時、女はザーラへトドメを刺す瞬間だった。
それを見たと同時に私は無我夢中で女へ魔力をぶつけると同時にザーラの元へ飛んだ。
女は私の魔力を避けきれず床に倒れ込んでいたが直ぐに起きあがろうとしている。
ザーラは意識を失ってはいたがかろうじて息をしているのを確認すると急いで抱き上げウィルの元へ飛ぶ。
ウィルも私の魔力で気を失っていたが呼び掛けで目を開けると、急いで私からザーラを受け取り息をしているか確認した。
「ザーラもこのままでは危険だ。急いで女神像の裏へ行け!そこでレイモンドが待っている」
「レイが?」
「ああ、ザーラが心配だったのだろうな。今はフローラと共に女神像の後ろにいる」
ウィルは私の言葉に頷くとザーラを抱きかかえ女神像へと走った。
「サンあの女に気を付けろ!魔力量で言えばサンと同じくらいだ!」
それは先ほどの攻撃で分かった。
「ウィルたちが無事なら大丈夫だ。私も全力で潰す」
「あら、そんな事言って大丈夫ですか?私強いですよ?」
私の言葉が可笑しかったのか、女は笑いながら私の側まで来ていた。
「私は公子の奥さんに、公爵夫人になりたいんです。いえ、ならなきゃダメなんですよ」
「?そこに私の気持ちは入らないのか?」
ならなきゃダメ・・その言葉に違和感を感じた私は聞き返す。
「それに公爵夫人は簡単になれるものでは無い」
「ならばあの女は?見たところ魔力も無ければ家柄も低い。とても公爵夫人になれる器ではありませんが」
フローラの事を言っているのだろう。その言葉に、言い方にカチンときた。
「彼女は私の番だ。残念だがつがが現れた以上、誰も私の伴侶にはなれない」
「また番・・」
女の言葉が耳に残る。
我が家門ならば幼き頃より番の話はするはずだ。確かにここ百年は現れていないが、それでも数代前にはローウッド家の当主に番が現れており、その娘が公爵家に嫁いでいる。
不思議な事にブラッド家では無くローウッド家に現れた事で、当時の次期当主にも跡取りが生まれ私へと継ながった。
「お前は本当に我が一族か?」
「・・・」
「答えろ。一族であれば必ず教えられる事をお前はなぜ知らない」
「・・・」
「もう一度聞く。お前は・・!」
私が最後まで話す前に女は私に怒り任せの魔力をぶつけて来た。前の私だったら相殺する事が精一杯だったと思う。が、今の私にはその魔力がとても軽く感じ簡単に消す事が出来た。
「なに!?」
女も私が簡単に攻撃を消した事に驚いている。おそらく渾身の魔力をぶつけたのだと思う。
「これが番の力だ」
私は一言だけそう言うと女の元へ瞬間移動し、私の手を女の首筋へ当てた。
「動けばこの細い首をへし折るぞ」
「うっ・・」
「お前にも感じるだろう。私の魔力が先ほどと違う事に・・。もう一度言うが、これが番の力だ。私とフローラはたった今[夫婦の契りを]を交わした」
そう、フローラの血を己の体内へ入れた瞬間、身体の奥から魔力が湧き上がるのが分かった。
その力は薬のように無理矢理湧き上がるものではなく心地よくも温かい、まるで泉が湧き出るような感じだった。
そしてフローラもまた私の血を直接入れた事で生命力が強くなり、細胞の動きがゆっくりとなる。
本来細胞の動きが早いと生命力も削られるが、ゆっくりになる事でダメージも弱まり傷もまた早く治る。
「お前が殺そうとした彼女もまた私の力で復活しているだろう。お前の嫌いな番が私の元に戻ってくるんだよ」
グッと手に力を入れると女の顔が苦しそうに歪んだ。
「私を殺す気か?」
「何を言っている?お前は私が一番大切な人を殺そうとしておきながら、自分がその立場になったら怖くなったのか?」
私の問いに女の眉が下がるのがわかった。なんて身勝手だろうか・・
簡単に人を殺そうとしていた女が、自分がその立場になった瞬間に怖くなったのか。
これがもしフローラや双子以外の者だったら重い懲罰で命までは取らなかっただろう。
が、この女はフローラと双子の命を取ろうとしたのだ!許せるはずがない!!
「ちなみに聞くが、お前は今までに何人の命を奪った?」
「・・だれ・・も」
「誰も?」
女は頷く。
「では聞くが、本当のフォンド令嬢は?」
「・・・」
手に力を入れる。
それでも女は何も言わない。
さらに少し力を入れると女はさすがに苦しいのか、私の手に爪を立ててきた。
これ以上絞めたら確実にこの女は死ぬ。そう分かっていてもフローラの事を思うと力を緩める事が出来なかった。
「言え。でないとお前は死ぬぞ」
「・・・」
苦しいのか足で私を蹴ってくるが、限界が近い女の力では蹴られても痛くもない。
女の身体を高く上げもう少しで命が消える。その瞬間に私の後ろにぶつかる感触と同時に、愛する人の声が聞こえてた。
「サンやめて!!その手を離して!!」
と・・




