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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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六 公爵家の夜会で 一

 ブラッド公爵家で開かれる夜会に招待された私達はその日に向けて準備に取り掛かる。と言っても取り掛かるのはお義母さまと義妹のリーナだ。

 私は婚約者がいるのだからと新しいドレスを買ってもらえず、仕方なく以前着たドレスに手を加える事になった。そのおかげで?クルト様とのお茶会にも参加出来ず義妹のリーナが私の代わりにクルト様を接待している。


「お義姉さまは今お忙しくされていますの。私で我慢なさって」


 と、しおらしく言っていたそうだが公爵家の公子であるサディル様を狙っている事は我が屋敷の者たちは皆わかっている。

 クルト様はあくまでも私への当てつけである事も。


「フローラ様よろしいのですか?本来なら後継者であるフローラ様を差し置いて・・リーナ様の行動は余りにも・・」

「ばぁやの言いたい事もわかるけど、私は本当にリーナには感謝しているのよ?」

「文句を言う事はあっても感謝を述べることなど」


 私はドレスの裾に刺繍を刺していた手を止めてばぁやに答えた。


「クルト様はリーナ一筋。いくら私の婚約者と言っても心が私に向かない方に尽くすことなど出来ないわ。リーナは・・クルト様へ気持ちが向いているかは分からないけれど」


 顔を合わせたあの日からクルト様の瞳に映るのはリーナだけ。そんな人の気持ちをこちらに向ける努力をするような無駄な事はしない。

 世間的にはリーナは男爵令嬢だけど本当はお父様の実子。


「この事を証明出来たら良いのだけれど・・」

「何か仰いましたか?」


 私は軽く頭を振った。

 幼い頃の、思い出の彼をいまだ待ち続ける私は愚かなのだろうか・・

 それでも望んでしまう。もしかしたら会いに来てくれるのではないか。私をこの屋敷から、子爵家から連れ出してくれるのでは無いかと・・





 「まあまあフローラ様、とてもあのドレスをリメイクしたとは思えない出来ですわ!」

「ふふ、ばぁやが手伝ってくれたおかげよ。ヘアもメイクもドレスに合っているから余計素敵だわ!ありがとう皆んな」


 公爵家で夜会が開かれる当日、メイドの皆んなとリメイクしたドレスは以前のドレスとは別物のオーダーメイドしたような出来上がりだ。


「フローラ様、皆様お揃いになられました」

「今行きます」


 私は部屋にいたメイドたちにお礼を言うと皆が集まっている玄関前まで移動した。玄関前にはお父様お義母さまがいたがリーナの姿はなかった。


「お待たせ致しました」

「おお、今日はまた一段と綺麗だなフローラ」

「・・・」

「ありがとうございますお父様」


 お父様は私の姿を見て満足気であったが、お義母さまは扇で口元を隠しながらも眉間にシワを寄せていた。おそらく流行遅れのドレスを着てくるとでも思ったのだろう、眉間のシワがお義母さまの気持ちを表現していると感じた。


「あのお父様、リーナは・・」

「お待たせ致しましたわ」

「リーナ、階段だから気を付けて」


 声のする方を振り向けばなぜかクルト様がリーナをエスコートしながら階段を降りて来た。

 とても甘い雰囲気を出しながら・・


「こんばんはクルト様」

「・・そんなに着飾っても無駄なことを・・」


 クルト様の言葉にリーナは片方の口角を上げる。私はグッと堪えたまま頭を下げた。

 ドレスを褒められたと思えばいい。

 どうせ私がどんなに着飾ってもクルト様の目には映らない。


「私達は先に行くから、お前たちは後ろの馬車で来なさい」


 お父様とお義母さまは子爵家の家紋入りである第一馬車に乗り込むと、一足先に公爵邸へと向かった。

 私たちは普段使っている馬車へと乗り込んだが


「リーナ、足元気をつけて」

「ありがとうございますクルト様」


 私の婚約者であるクルト様はリーナにだけ手を貸すと、さっさと馬車へ乗り込んだ。

 そんな行動を見て呆れた馭者が


「フローラ様」


 と言って手を差し出してくれた。

 私は馭者お礼を言うと馬車へ乗り込む。当然のようにリーナの隣にクルト様が腰を下ろしており、私は仕方なくクルト様の向かい側に腰を下ろした。


 案の定馬車の中でも私は 居ない人間 扱いだった。クルト様はリーナにばかり話し掛けており、そんなリーナも嬉しそうにクルト様と話している。


 (お父様はなぜ私とリーナを交換してくださらないのかしら?このままでは誰も幸せになれないのに・・)


 私は敢えて二人を視界から外すように窓から外を眺めていた。

 子爵家の正当な血筋である私。

 リーナは男爵家の血筋。(世間ではそうなっている)

 クルト様は伯爵家の次男で後を継げる爵位はあるが男爵位のため、次期子爵の私との婚姻を選んだ。

 筈なのに・・

 婚約者の私よりも義妹のリーナを選んだクルト様。

 私は窓に映る二人を見ながらも何の感情も出ない事に少しだけ安堵した。

 もし私がリーナに嫉妬し虐げていたらどうなっていただろう・・

 そんな事を考えながら流れゆく街並みを眺めていると


「そう言えばお義姉さま体調はよろしいの?いつも青白い顔をなさっていたけど今夜は・・顔色も良くて」


 急にリーナから話しかけられた。

 まさか私の顔色を見ていたなんて・・と、少し驚いたがリーナの方へ顔を向けると少し微笑みながら


「先生が新しい薬をくれたの。今はその薬のお陰で調子良いのよ」

「まぁ!それは良かったですわね!」

「ええ、ありがとう」

「顔色が良くてもブスに変わりはないのに・・」


 えっ?

 聞き間違い?

 クルト様は今ブスと言った?


 私は思わずクルト様へ目線をずらした。クルト様はそんな私と目が合うとチッ!と舌打ちをしたと思えば突然こう言った。


「お前は自分の顔を鏡で見た事があるのか?」

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