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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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「ブラッド公子様をこのままお帰しする訳には参りません!主人ももう少ししましたら帰って参りますので」

「そうですわ、どうか中にお入りになってくださいませ」


 お義母様とリーナが一生懸命に公子様を足止めしている。それもそうだ、こんな名ばかりの子爵家に我が国一番の公爵家の跡取りが来ているのだ。

 その理由が私を送ってきた、でも何でも良いのだ。子爵家に公子様が来た事実が欲しいのだから。

 そしてこの二人の事だからきっと公子が送った令嬢はリーナだと言いふらすのだろう。

 だがいくら何でも積極的過ぎる・・私がどう言葉を掛けて良いのか考えていると侍女のザーラ様が何やら公子様に耳打ちをしていた。


「さすがの私も(あるじ)の居ない屋敷にお邪魔する訳にはいきません。また後日、レビィ子爵がご在宅の時に伺わせていただきます」


 そう言い残すと馬車へと乗り込んだ。

 私はホッと胸を撫ぜ下すと馬車に向かって頭を下げた。すると窓が少し開きザーラ様から紙を手渡されると急いで受け取り二人に気付かれないよう胸元へと隠した。

 お義母さまとリーナはしつこく 必ずお越しくださいませ!! と言っていたが、公爵家と子爵家がお近づきになる事などが有り得ないのに・・と、どこか冷めた目で見てしまった。


 屋敷に入れば二人から言葉の攻撃を受けたが、もしかしたらこれを機にお近づきになれるかも!や、リーナを見初めて公爵夫人に選ばれるかも!!とか楽しそうにはしゃいでいた。

 もちろんそこに私の存在などある訳でもなく、逆にクルト様と言う婚約者がいるのに他の男性に送られるなんて!と軽蔑的な目で見られた。


 そのクルト様の目には私ではなくリーナしか映っていないのに・・


 二人の意味のない嫌味攻撃が終わるとやっと自室へと戻る事が出来た。

 お義母様は嫌味は言うが暴力は振るわない。それだけでも良かったと思えた。

 私は先生から受け取った薬とザーラ様から受け取った手紙を一緒にチェストの上に置くとなぜか公子様の事を思い出してしまった。その理由が昔一緒に遊んだある男の子と公子様が似ていた気がしたから。


 その男の子は療養のため我が領地に来ていたが、今思えば身分を隠していたのだろう。着ているものは高価な(シルク)の織物だった。


「サン・・貴方は今どこにいるの?」


 子供の約束だったプロポーズを私は今でも待ち続けているのだ。

 クルト様と言う婚約者がいながら!と思われるだろうけれど私の心の中にいるのは子供の頃に約束をしたあの男の子だけ。

 いつか会えるのかな?

 もしかしたら結婚しているのかしら?

 そんな事を考えながらいつもは目が冴えてしまう夜も、先生の薬のおかげで眠気に襲われた。


「お母様、ブラッド公子様をご覧になりましたか?クルト様なんて比べものにならない容姿と、装飾品。なぜお義姉様を送って来られたのか分からないけれど」

「ええ、こう言っては申し訳ないけれどクルト様なと足元にも及ばないわね。どんな理由かなんて関係無いわ、フローラには我が子爵家と公爵家との橋渡しをしてもらって公子様にはリーナ!貴女を、見初めてもらえるよう頑張るのよ」

「もちろんよ!お義姉様よりも私の方が公子様に相応しいもの!」


 あの後やはり目が覚めた私はザーラ様からの手紙に気付き、その前にノドが渇いたためキッチンへ飲み物を取りに行く途中で二人の話し声が耳に入った。

 二人は私を使って公子様とリーナをくっ付けようとしているが・・


「公爵家のご嫡男様が子爵家の娘を娶る事などあり得ないのに・・」

 

 結婚に対して身分の差は縮んだと言ってもやはり最上位の公爵家と、子爵家の中でも真ん中より下の我が家とでは釣り合いは取れない。

 私は溜め息を吐くとその場から離れた。

 サンと何処となく似た雰囲気の公子様に少しだけ期待をしてしまった私が恥ずかしい・・

 私はキッチンへ行かずそのまま自室へと踵を返した。




「フローラ、昨夜何があったのか教えてくれるかい?」


 朝食後にお父様に呼ばれ執務室へ足を運ぶと唐突に言われた。


「レイモンド先生の診察が終わり馬車乗り場へ向かうと我が家の馬車がその・・リーナに乗って行かれて。困っていたところ公子様にお声を掛けて頂きまして・・」

「それだけ?」

「・・・その前にレイモンド先生のお部屋でお会いしました。でもそれだけです。その時は直ぐにお部屋から出ましたから」


 私も不思議に思った。

 確かに馬車がなく困ってはいたが公子様ほどの方ならば直接送る事などしないからだ。


「まぁレイモンド先生と公子様は血縁関係にあるから、フローラの話を聞いたのかも知れないね」


 なるほど、だから先生を訪ねて来たのね。


 私が一人考えているとお父様は一通の封筒を机の上に置いた。

 私はその封筒を受け取ると差出人に目が開いた。


「今朝ブラッド公爵家より手紙が届いた。今度夜会を開くから家族全員で来て欲しい。とね」

 

 夜会の事はザーラ様から受け取った手紙にも書かれていた。

 しかも私のエスコートにはレイモンド先生にお願いしてあるとも書かれていて・・


「レイモンド先生にはお断りしておくよ。フローラはまだクルト様の婚約者だからね」

「え、ええ、そうですわね。お手数をお掛けしますがお父様お願い致します」

「公爵家への夜会だ。久しぶりにドレスでも買っておいで。二人には伝えてあるから三人で」


 一瞬喜んでしまったのがお父様に見られたのだろうか・・私はお父様の執務室から出ると玄関へ向かうがすでに遅し。

 お父様から話を聞いたお義母様とリーナは早速ドレスを購入する為に街へと出掛けて行った後だった。

 玄関で待っていたお義母さま付きの古参のメイドから言付けとして


「フローラ様はクルト様の婚約者である為に着飾る事を控えなさい。との事でございます」

「・・そう、分かったわ」


 もともと着飾る事が苦手な私にとっては今あるドレスで充分事足りてはいるが・・

 それでもそろそろ私にも新しいドレスをと思っていたのだが・・


「パーティーに着て行くドレスを一緒に選んでくれる?」


 私は側で控えていたメイドに声を掛けるとクローゼットのある部屋へと足を向けた。





「ごめんなさいお義姉様!!ワザとでは無いのです!お許しください!!」


 まさか公爵家のパーティーで(ワザと)リーナにワインをかけられるなんて思いもしなかった・・

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