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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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21 婚約式 八

 フローラ様の気配を慎重に探りながら屋敷から数十キロ離れたところでサディル様のコウモリ、ファウナの強すぎる光(力)に一瞬自身の血が沸騰しそうだった。

 ファウナの力が弱まってきたのを確認すると私は全力でその方向へと飛んだ。

 きっとファウナはフローラ様と共にいて、私たちにその場を教えているのだと思ったから。


「ザーラ!」


 私を呼ぶ声に反応するとサディル様もファウナの光に気付いたようで屋敷から飛んできていた。


「サディル様、ファウナの光はあちらの教会から放たれました。おそらくその場にフローラ様も共にいるのでは?」

「・・だがフローラの気配はない」


 急いで飛んできたのだろう、サディル様にしては珍しく息が荒い。

 それでも急ぎ教会の上空まで飛び、二人で教会の中へ入ろうとした時


 バチッ!!!


 と、何かに思い切り弾かれてしまった。

 その力は強力でこの姿ではまた弾かれると判断したサディル様は下へ降りる事にした。

 仕方なく地面へと降りるとサディル様は壁に手を当てながら何かを探し、何かに気付いた様だった。


「教会全体に結界が張られている・・」

「全体にですか!?」


 驚きのあまり大声で叫んでしまった。

 ブラッド領の教会といえど公爵家の方が使う教会でそれなりの規模の教会だ。何なら王族の方も使うこともある程の規模だ。


「何とかしてみるがザーラも中へ入れそうな所が無いか探してくれ」

「承知しました」


 私は一つ一つの窓に手を掛けながら、一緒に中の様子も確認しながら進めていく。

 これだけの物に結界が張れるのは公爵家一族くらいだけど、一体どこの誰がかけたのだろう・・

 それよりもこれほどの力を持った人がいる事にも驚いた。

 もしかしたらレイの一族にも張れるかも知れないけれど・・と、そんな事を考えながら手の届く窓は確かめた。


「下の窓からは無理ね・・天窓はどうかしら」


 正直窓に触れるだけでも結界の力が反応し、手が焼けるような痛みが走る。

 それでも中にフローラ様がいるかも知れない可能性に、藁にもすがる思いだった。

 私は再度変身すると天窓まで近づき中を覗いた。

 その天窓はちょうど女神様像の真上に当たる所で、結界に触れるか触れないかの位置から中を覗き見た。

 

「!!!」


 見間違い?

 いつもは真っ白な女神様の像が、なぜか真っ赤に染まっている様に見えたのだ。


「なぜ・・女神像が赤いの?」


 私は意を決して天窓に近づき中を覗いた。その瞬間全身に結界の力が反応し攻撃してくる。

 それでも女神像の色が気になり天窓に張り付いた・・


「サディル様!サディルさま!!!」


 私は姿を戻す事も忘れサディル様の元へと急いだ。サディル様は私の姿に驚いていたがそれどころでは無い!


「どうしたザーラ」

「大変です!フローラ様が!フローラ様が女神像に!」

「フローラがいたのか?無事か?!」


 私は全身の痛みを堪えながら、今この目で見た事を話した。

 信じられない光景に言葉と意識を飛ばしそうになりながら、それでも一刻を争う現状だと判断しサディル様に報告する。


「フローラ様が女神像に縛られています!!身体中から出血していて!真っ赤に染まっているのです!!」

「!!」

「呼び掛けても返事がありません!サディル様!!」


 私の言葉を聞いた瞬間、サディル様から力が暴発したのかと思うほどの魔力が放たれた。

 私は吹き飛ばされないようサディル様にしがみついたが、教会周りの木々は一瞬にして吹き飛ばされていた。


「ザーラ行くぞ!」

「はい!」


 痛む身体に鞭を打ちサディル様と共に中へと飛び込んだが、目の前の出来事に二人してその場から動くことが出来なかった・・


 不謹慎だと思ったが、フローラ様の姿がとても美しかったのだ


 だけどすぐに我に帰るとフローラ様の元へと駆け付け、急いで女神像から下ろした。

 顔は血の気がなく、全身も冷たい。


「フローラ!」


 サディル様がフローラ様の名を呼ぶが返事は無い。フローラ様の胸元にはファウナが・・

 私は着ている上着をフローラ様に掛け全身を摩るが反応がない。


「フローラ目を開けてくれ!!お願いだから、返事をしてくれて!!」

「フローラ様!フローラ様!お願いです!返事をしてくださいませ!」


 サディル様はフローラ様を抱きしめ、私は背中を摩る。が、フローラ様からの反応は無かった。

 どれくらいの間あの場に縛られたのか・・

 いったいどれだけの血が流れたのか・・おそらく薄ピンクのドレスだったのだろうが、今はフローラ様の血で赤く染まっている。


「フローラ・・頼むから、俺の名を呼んでくれ・・」


 私とサディル様が諦めかけた時、扉から数人の足音が聞こえてきた。

 ウィルとレイだ。

 二人は私とサディル様の様子で何かを察したのだろう、それ以上こちらに来る事は無かった。

 が、そんな中ただ一人だけが私たちの側にかけ寄り、フローラ様の状態を確かめた。


「サディル、このままでは彼女の命は消えてしまう」

「父上・・ですがもう反応が・・」


 サディル様の目からは涙がこぼれ落ちている。


「しっかりしろ!彼女はまだこの世にいる!だが時間の問題だ!」

「旦那様・・どうしたら良いのですか・・」


 サディル様に代わり私が聞き返す。と、旦那様はサディル様の肩を掴むとこう言った。


「彼女を本当の妻にするんだ。それはサディル、君にしか出来ない事だ」

「!それは!」

「それしか無い、彼女を助けるには・・」

「でも・・」


 サディル様は旦那様の言葉に躊躇している様だった。


「君の力を彼女に与えるしか方法はない。それとも君は彼女を助けたくないのか?」

「そんな事はありません!」


 だったら決断しなさい。

 旦那様はそう言い残すとサディル様とフローラ様を残し、私たちを伴って外へと出た。


「旦那様・・」


 私の気持ちを汲み取った旦那様はレイを呼ぶ。


「レイモンド、彼女の治療を。婚約者は大切にするもんだよ」


 と、レイの肩に手を置くとウィルと共に馬に跨がりその場から離れて行った。

レイモンドの婚約者はザーラでした。

フローラより皆様のが先に知る事になりました!

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