17 婚約式 四 フローラ以外
「レナ様大変です!フローラ様がお部屋におられません!!」
フローラ様に言われ私は遅い昼食を摂っていた時、フローラ様と庭園に行ったはずのキーナが使用人専用の食堂へ駆け込んで来た。
「どう言う事?」
「レナ様に言われフローラ様のお部屋に向かったのですがノックをしても返事が無かったのでお部屋に入ったのですが、どこにも居られないのです!!」
私はキーナの言葉に急いで窓へと向かうと、私付きのコウモリが慌てたように飛んで来た。
急いで窓を開けると
[れなサマタイヘン!!ふろーらサマがつれていかれた!!]
コウモリの言葉に私とキーナは青褪めた。
[オクサマのニワ!ふろーらサマあぶない!!]
私はコウモリの言葉に緊急事態と判断し、屋敷全体へ超音波を流した。
「「「 !!!!! 」」」
「これはレナ様の?」
「ああ、フローラに何か起きたのだろう。レナも動揺していて何を言っているのか分からないが、ザーラすぐにレナの元へ向かってくれ」
「かしこまりました」
そう言い残しザーラは部屋から飛び出して行った。
私は窓を開けると全体の様子を見渡した。が、何処にもフローラの気配を感じる事が出来なかった。
「ウィル・・奴らが動き出したようだ」
「やはりフローラ様が狙われましたか」
私はウィルの言葉に頷くとフローラに付かせたコウモリを呼び寄せようと合図を出した。
が、返事がない・・
何度も合図を出すが返事が返ってくる事は無かった。
「ファウナからの返事がない・・」
「!それはどう言う・・」
ファウナは私の眷属のコウモリで私の力を与えた。常に私が側にいる訳にはいかないため、ファウナにフローラを見張らせていたのだが・・
「ファウナも囚われたか・・それとも・・」
外を見れば雲行きも悪くなっている、おそらく雨が降ってくるのだろう。
雨が降るとフローラの気配が消えてしまう。
「ウィル!雨が降る前にフローラを探すんだ!」
私の命にウィルは頭を下げると部屋から出て行った。フローラが狙われるのは予想していた。
その為に色々と準備をし、フローラに危害が及ばないよう注意していたのに・・
相手も余裕が無いのか、それとも・・
「どちらにしても私の宝を攫った罪は償わせないとな」
私は引き出しの中から小瓶を取り出すと一粒を手に出し飲み込んだ。
「レナさん!」
「ザーラ!お嬢様が!!」
公爵邸に来てからはフローラ様の事をお嬢様と呼ばなかったはずなのに、それだけ動揺しているのだろう。レナさん同様にコウモリも小さくなっている。
私はソッとコウモリに触れるとこの子が見ていた映像を覗いた。
私の力はその人に触れるとその人が見た事が映像として見られる事だ。
「レナさん、フローラ様はキャロルと共に庭へ出たようですね」
「私はそんな指示を出していません!キーナヘ付き従うようにメイドへ・・」
「・・おそらくそのメイドはキャロルの手の者だったのか、一緒にいた者が手先だったのか」
どちらにしろフローラ様はキャロルに連れ出された。それが事実だ。
「ファウナは残ったのね」
[ふぁうなはアルジのメイでノコッタ。でも、ふぁうなのコトバきこえない]
この事はサディル様も気付いただろう。なら私がいま動く事は
「もう一度その場に私を案内してくれる?レナさん、この子借りても?」
「ええ、もちろん。ザーラ、お嬢様をお願い!」
レナさんは昔、大奥様を庇った時に出来た傷が原因で飛ぶ事が出来なくなった。
本来なら自分で助けたいはずなのに、その役目を私に託した。
これは何が何でも応えなければならない。
「もちろんです!私はこの先もフローラ様に仕える者ですから!」
私はレナさんのコウモリに合図を送ると同時に窓から飛び降りると庭園へと降り立った。
「ウィル何があったんだ?そんなに急いで」
サンに命じられてフローラ様を攫ったであろうキャロルを探すため、部下を連れ屋敷を急ぎ足で進んでいたとき後ろから声を掛けられた。
振り返ればレイモンドとフィンが一緒にこちらへと向かって来た。
「先ほどレナの音波を捉えたが何を言っているかわからなかった」
「だか緊急事態である事は分かったんだが・・」
サンは二人を巻き込みたく無いと言っていたがレナの音波を聞けば何か起きた事は察するだろう。
私はサンに(心の中で)謝りながら
「フローラ様の気配がこの屋敷から消えた。ファウナからの音信も消えた」
「フローラの気配が?!」
「何?それは・・」
「!!」
俺は一瞬不穏な気配を感じ取った。
その気配は俺たちへなのか、フローラ様へなのか、もしくは・・分からないが部下へ命じると不穏な気配を放っていた男を捕らえた。
「離せ!私は知らない!私は頼まれただけだ!」
「ダッド!?」
部下に引きずられるように連れて来られた男は、ウィルの家の者だった。
最近良くフィンに付き従うようにこの屋敷に出入りしていた一人だ。
「フィンには悪いがコイツからは嫌な臭いがしていた。連れて行くが良いか?」
フィンは突然の事でファンは狼狽えていたが少ししたら黙ったまま頷いた。
「私も同席しても良いのなら」
「もちろんだ!レイはサンにこの事を伝えてくれ!」
「わかった!」
俺は部下と共に捕らえた男を事情聴取するため、騎士団の取調室へ移動した。




