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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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クルト目線

 何が違ったのだろう・・

 あの時、公子が持ってきた石に触れた瞬間に婚約者(だった)フローラが変わった。

 今まで綺麗だと思っていたリーナよりも美しい女性に変わったのだ。


 公子はフローラを番と言った。

 確かに家庭教師がそんな事を言ってはいたがそんな大昔の事を何言ってるんだ!と、リーナと笑った記憶がある。


 我が国最初の王


 その血筋が今の国王陛下だと国民は思っているが、実はブラッド公爵家が本筋だなんて誰が思う?


 その血を持って国を守る


 ブラッド公爵家がその血を操る。

 そしてその公爵家の次期当主サディル様の番がフローラだった。

 サディル様が公爵になればフローラは公爵夫人。


 いや違う!


 この国の頂点となる夫人だ。


「どこで間違えた?いや間違えてはいないんだ。だって俺の目にフローラは醜女だった・・」


 一人貴族専用の牢の中で言葉をこぼす。


「それがブラッド公爵家の、番に与える祝福なのですよ。サマーン子息」

「誰だ!!」


 一人だと思った。牢番も外で見張っているため中には俺だけのはずなのに、そこに立っていたのは


「ブラッド公子・・」


 フローラの相手であるその人だった。

 公子は近くにいた牢番に椅子を持って来させると、格子の前に座った。

 護衛を一人だけ残し後の数人を下がらせると俺を見た。


「君には申し訳ない事をしたと思っている。君がフローラの婚約者にならなければあんな事を企む事もなかった」

「それはどう言う・・」

「君は少なからずフローラに好意を抱いた。だから呪いが発動したんだ」


 何を言っているんだ?と思った。

 俺がフローラに好意を?


「私が好意を抱いたのはリーナです。フローラではない・・」

「そう思い込まされていたと知ったら君は俺を恨むのだろうな」


 公子は何を言っているんだ?


「まぁ確かにあれだけ義妹殿に執着している所を見れば、少なくとも悪い気は無かったのだろうな」

「違う!俺は確かにリーナに好意を抱いていた!フローラなんて・・」


 頭の中に何故かリーナではなく美しくなったフローラの顔が浮かんだ。

 それと同時にどこかで見た事があるとも思った・・

 いつだったのか・・


「君は幼い頃に一度フローラと会っていた。覚えてはいないだろうけどね、君はフローラに好意を抱いた。だからサマーン伯爵から婚約の話を聞いた時、すぐに承諾をした。思い出せないか?」

「えっ・・ちょっと待って・・」


 幼い頃・・

 確か両親に連れて行かれたガーデンパーティーで一人の少女と会った事がある。

 その子はとても笑顔が素敵な子で・・


「あの子は・・フローラ?リーナでは無くて・・?」


 俺は公子へと目を向けると、公子は頷く。


「だから呪いが発動したんだ、私の番を守るために。フローラとリーナ嬢は異母姉妹だから似ている所がある。君もどこかでリーナ嬢にフローラを探していたのだろうな」

「そんな・・」


 リーナじゃ無かった・・俺が探していたあの子はリーナじゃ無かったんだ・・・




 公子はあれから直ぐにここから立ち去った。

 俺に真実を思い出させる為にわざわざこんな所に足を運んだのか。


「公子は悪いようにはしない。と言ったが、俺はどうなるんだろうな・・」


 もう今まで通りの生活は出来ないだろう。両親も俺を捨て爵位剥奪、平民へと落とされるのだろうな・・

 仮にもブラッド公子の番を売ったのだから。

 この国の宝を・・


「リーナはどうしているんだろうか・・」


 貴族専用の牢と言っても女性には辛い場所のはずだ。どうしているだろうか・・食事は摂っているのか?少しでも眠れているのか・・?


「!・・はっ、ははは・・」


 俺はベッドの上で頭を抱えるように笑い出した。

 こんな時に心配する相手がリーナだった事になぜか笑いが出たんだ・・


「初恋はフローラだったけど、俺はちゃんとリーナの事が好きだったんだ・・」


 呪いとか関係なく、俺はリーナが好きだった。甘えて来るリーナが愛おしくて、俺にだけしか見せない顔を向けられると胸が熱くなった。


 この子の為なら何でもしよう!


 そう思ったこの気持ちは嘘じゃなかったんだな・・




 それから数日後、私は馬車に乗せられてある領地へと護送されている。

 隣には愛する人、リーナが俺の肩に頭を乗せながら寝ている。



「クルト・サマーン。其方はサマーン伯爵家より除籍願いが提出され受理された。よって本日より平民となりレビィ子爵領へと送る。其方への罰はリーナ嬢と共に子爵領へ行きその手で領地を発展させるのだ。これが君に与えられた罰となる」

「・・・」

「子爵が言っていた。君は経営に対してとても優秀だと。罪を償いたいのならその手で領地を繁栄させ、恩を返しなさい」

「・・はい。ありがとう・・ございます」


 

 こうして俺はリーナと婚姻を結ぶと直ぐにレビィ領へと出発した。サマーン家からは出されたがリーナと結婚しレビィ領へ行く事を条件に、レビィ子爵が持っていた男爵の位を与えられた。

 だが俺とリーナに子供が産まれてもレビィ領は引き継げない。

 ここの領地は子爵亡き後はブラッド公爵家の領地となる事が決まっているから。


 それでもいい、リーナと共に生きていけるのなら・・


次で完結となります。


最後までお付き合いください。

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