二十八 さあ始めようか! 五
「この石はブラッド家の当主の相手を見極める為の物だ。その血の結び付きを見てくれる」
「と言う事は?」
準備が整うとサディル様は石に何かを語りかけながら説明をしてくれている。
「血縁関係も見極めてくれる」
「!!」
そんな事が出来るのか?
もしそれが本当に叶うのなら、後継問題で揉める事も無いのでは?
「フローラ申し訳ないがこれはブラッド家の、直系嫡男しか扱えない石なんだ。だから君には何がなんでも男を産んで貰わなければならない」
すまないな・・と言われ、思わず顔を赤らめてしまった。
今のサディル様の発言は私に男の子を産んでくれ、とお願いされた様なものだから。
私とサディル様との子・・間違いなく可愛い・・
「では、まずは子爵。こちらに手を乗せて欲しい」
サディル様に声をかけられたお父様は、何故かソファーから立ち上がろうとしない。
「どうした子爵。乗せなければ肯定とするが?」
「構いません・・どうせそんな物で見極められる筈が無いのですから」
まさかの拒否発言に私たちは驚いた。
「お父様何故ですか?」
「リーナは男爵の娘!私の娘はフローラだけ!そんな物に頼らなくても分かっている!!」
私の問いかけにキレながら答えたお父様に、ますます不信感を持ってしまう。
もし違っているのなら堂々と検査をすれば良い。これだけ渋っているのはリーナが実の娘だからなのでは無いのか?
隣でお義母さまが驚いた顔をしている。
皆が困っていた時リーナがお父様の手を握りながら無理矢理立ち上がらせ、石の上に二人の手を乗せた。
その瞬間、石は赤く光り出す。
「実の親子・・だな」
「!!これは誰が乗せても赤くなるのではありませんか!?」
お父様は慌ててリーナの手を振り解くとサディル様に詰め寄る。
「では、フローラとリーナ嬢乗せてくれるか?」
私とリーナは顔を見合わせると頷き、同時に手を乗せる。すると先ほどと同じように赤く光った。
間違いなく私とリーナが血縁関係があると証明された瞬間だ。
しかしお父様は納得されずブツブツ文句を言っている。
それならば!とザーラさんと私で手を乗せようとした時、
「ならばわたくしとフローラで試しましょう。間違いなく血縁では無いのだから」
そう言いながらお義母さまが石に手を乗せると、見事に石は反応しなかった。
その結果を見てお義母さまは納得し、お父様の方へ顔を向けると
「あなた、お認めになってくださいませ。リーナは正真正銘あなたの子なのです」
お父様は何も言わずただ膝の上で震える拳を握り締めていた。
「わたくしはリーナを産んだ事を後悔してはおりません!」
ハッキリとした言葉だった。
「何故だ・・今まで通りではダメだったのか?フローラ同様、フローラ以上に可愛がってやっていた。それではダメだったのか?」
「わたくしは認めてもらいたかった。男爵ではなく、あなたの実子だと。あの女さえ現れなければリーナはあなたの娘として堂々と子爵令嬢を名乗れたのに!」
お義母さまは今でもお母様を恨んでいる。
でも、私の記憶にあるお父様とお母様は仲睦まじかった。そう記憶している。
とてもお義母さまとの仲を無理矢理引き離した様には思えないほど・・
「いい加減にしろ・・先に私を裏切ったのは君の方じゃないか・・」
「!何を仰るの!?わたくしは約束したわ、あなたを裏切らないと!!」
「だが男爵と結婚したのは君の方が先だ!!」
「それは!・・」
「今は君たちの昔話を聞くつもりは無いよ。結果は出た、リーナ嬢はレビィ子爵の実子。それが事実だ」
「「 ・・・ 」」
殿下の言葉で二人は黙る。
リーナもその場で立ち尽くしたまま下を向いていた。
「色々あり過ぎて今すぐに判断は出来ない。まずはロッド侯爵とサマーン子息は拘束しろ。寄りにもよってサディルの番に手を掛けようとしたからな」
「お待ちください殿下!私はこの二人に騙されて!!」
「理由はどうであれ君は侯爵家の当主として絶対にやってはいけない事に手を出したんだ。それに叩けばホコリが出そうだしね。連れて行け!」
ロッド侯爵は引きづられながら護衛の騎士に連れて行かれた。クルト様は私に助けを求めてきたがサディル様に睨まれ、それ以上は言っては来なかったが最後にはリーナにも罪を着せようとした。
「なぜフローラよりもリーナを好ましく思ったんだ!これも呪いのせいじゃ無いのか?!だったら僕は被害者だ!!」
「もしそうだとしても、やって良い事と悪い事の区別が付かない時点で君の未来は閉ざされた。自分で自分の首を絞めたんだよ」
さすがのクルト様も王太子殿下に直接言われたらそれ以上言い返す事はせず、大人しく騎士達に連れられながら部屋を去って行った。
両殿下も 父上にこの事を伝えて来るよ。 とサディル様に耳打ちすると妃殿下を伴って部屋から出て行き、部屋に残ったのはサディル様と私たち家族だけとなった。
サディル様も私たちに気を遣って部屋から出て行こうとしたが
「公子様は残ってもらえますか?フローラを、貴方に託したいから・・」
お父様の言葉にサディル様はウィルさんと先生、ザーラさんとレナ以外の人たちを部屋から下がらせた。
お父様お義母さま、リーナと私、サディル様でソファーへと腰を下ろし静かにその時を待つ。
そして最初に口を開いたのはリーナだった。




