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祝福を受けた番は愛する人に呪われる  作者: おつかれナス


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10/19

十 公爵家の夜会で 五 サン目線

「フローラは来てくれるだろうか・・」

「レビィ子爵家に招待状を送ったのであれば必ず来ますよ。特に継母と義妹はサン目的でね」


 私はレイモンドを軽く睨む。

 レイモンドは我が家の遠縁で元護衛。わたしがフローラへ祝福を贈った日から護衛を外し、フローラを見守る(レイモンドは見張りと言っているが)役目を与えた。


「そう睨むな。フローラの婚約者はあいも変わらずその義妹にご熱心だ。義妹がその婚約者の事をどう思っているかは・・分からないがね」


 私が用意したワインを飲みながらレイモンドは楽しげに報告をしてくる。

 私がフローラに祝福を贈ったあと、私の両親からレビィ子爵へ手紙を送った筈なのに何故か婚約して(させられて)いた私の番、フローラ。

 子供の頃に結婚の約束したが、やはり子供の約束と軽く思われたのだろう・・


「フローラの身体も限界が近いよ?どうするんだ?サン」

「・・今度の夜会で気持ちを伝える。つもりだ」


 私の曖昧な返事にレイモンドは呆れた顔でワインをグラスへと注ぎ足すと、俺へ手渡してきた。

 この男も所詮は我が一族の者。

 一族の繁栄のためなら自身を犠牲にしても構わないと言わんばかりに、我が身を差し出した。


「フローラは良い子です。性格も血も・・フローラのためにも、貴方のためにも早めの決断を」

「わかっている」


 お互いのワイングラスを軽く当てると、カチンッと音を立てる。

 レイモンドは一族の繁栄を願ったのだろう。が、俺は違う。繁栄は二の次だ・・


「やっとフローラを手に入れる準備が整った。レイモンド、頼んだよ」


 私の言葉にレイモンドは頭を下げる。

 やっと、やっとフローラをこの手に掴めるのだ。


「夜会が楽しみだな」



 夜会当日。


 次から次へと屋敷の門に馬車が出入りする。

 何を目的で訪れるのか、考えるだけで笑いが込み上げる。レイモンドは私と近付くために家門総出で訪れると言ったが番であるフローラを見つけた今、どんなに着飾った令嬢が近付いて来ても興味も湧かない。


 むしろ不快な臭いしかない。


 我が一族の、本家であるブラッド家は一族の中でも鼻が効く。自分に好意的であれば臭いがしないが、悪意を持って近付く者からは悪臭が漂う。

 公爵家の嫡男である私には子供の頃から私を利用しようと近付いて来る者が多かった。

 両親からはとにかく顔には出さない!と言われていたが子供の私には限界もあり、良くその場から逃げ出してはレイモンドに連れ戻されていた。


 そんな時、母が知り合ったのが前レビィ子爵夫人だった。夫人からは何故か甘い香りがしていて不思議に思っていたが嫌では無かった。

 だから母が私を一時的に匿うためにレビィ子爵領へを選んだのも、私の避難先を選ぶために反応を見ていたのだろう。


「サン・・サディル様、招待客が揃ったと報告がありました」

「レイモンドは?」

「サディル様の指示通りフローラ様の元へ行かれました」

「そうか・・では行くか」


 私は呼びに来たウィルと共に会場へと向かう。

 想像した通り会場内は比較的我が家門に対し好意的な者を選んだため、悪い空気では無かった。

 が、それでも時々嫌な臭いが混ざる事もあるが私も大人になりその場から逃げる事も顔に出す事も無くなった。ただやはり、私に近付いて来る令嬢たちからは嫉妬や妬みからくる臭いがキツかった。


 女の嫉妬や妬みほど嫌な臭いはない・・

 だからこそ番の香りは甘く魅惑的だ。


 私はフローラの香りを探りながらゆっくりと近付こう、そう思っていた矢先


「ごめんなさいお義姉様!!ワザとでは無いのです!お許しください!!」


 ある女の叫び声に似た不快な声が耳に入り一瞬にして会場内の視線を奪う。

 私はその女の声の先にフローラの香りを見つけると、やはり二人が向かい合う形で立っていた。

 二人の周りにいた人たちも一斉に二人を囲むようになり、フローラを見せ物にしているようでとても不快だった。



 フローラをザーラに託すとレイモンドにその場を任せ二人の後を追おうとした時


「サディル様にお話したい事が・・」


 私の腕に纏わりついていた存在に気付く。

 そう言えば何かが私に近付いていたな、しかも断りも無く私の腕に触れる不埒者が・・


 私はパッ!とその腕を払うとその不埒者を軽く睨む。それで怯むようならまだ可愛げがあるが


「お義姉さまの事でお耳に入れたくて・・二人きりに」

「私の名を呼ぶ許しを与えた覚えは無いが!」

「!!も、申し訳、ありません。公子・・さま」

「リーナ!!申し訳ありません公子様」


 私が不埒者を睨んでいると横からフローラの婚約者であろう男が横から割り込んで頭を下げていいる。一応上下の礼儀は知っているようだ。

 だがフローラの義妹はそれでも私に縋ろうと手を組むと上目遣いで私を見て来る。

 きっとこれがこの女のやり方なのだろう・・


「私はずっとお義姉さまの嫌がらせに耐えておりました。今夜の・・夜会も本来なら婚約者のいるお義姉さまが来る場では無いのに、まるで自分が呼ばれているかのように・・」

「・・・」


 私が何も言わない事を良いことに更に喋り続ける。隣の男は止めようとしているが、女は更に話続ける。さも、自分が可哀想な女であるかを・・


「先ほどの騒ぎもお義姉さまの自作自演なのです・・いつも私を悪者にして・・」

「リーナ、もう止めるんだ」「クルト様は黙ってくださいませ!!」


 男の言葉さえも抑え自分の感情を押し付けてくる・・


「臭いな・・」

「「 えっ? 」」

「申し訳ありません、私のドレスにワインがかかったのかも知れませんわ。出来ましたら・・」

「ウィル、レビィ子爵をここへ呼べ」


 私の指示にウィルは


「すでにこちらに」

「公子様!娘が大変な失礼を!」


 子爵は頭を下げながら私の前に来る。その後ろにはフローラの義母も。


「お義父さま!!お義姉さまが」


 自分の非をこうして常にフローラに押し付けてきたのだろう・・


「子爵、この騒ぎ其方ならどう治る?」

 

 

 

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