code03 進学②
安永の言ったことは、本当だった。
「ほんとは1年の時から。
入ってきた時から気になってた」
「あ、でも……」
「もう別れたから。だから付き合ってほしい」
それが数か月前。
朝比奈先輩とは、気さくに話せるけど。
部活以外の顔はまったく知らなかった。
なにより。
あの佳央梨先輩の、元?彼氏――。
「やっぱり、すみません」
頭を下げて、その場を去った。
話はそれで終わらなかった。
初夏が夏になって。
同じ話を何度も、何度も。
そのたび距離を詰めてくる。
秋。
落ち葉、舞いはじめる大学の弓道場――。
「立樹……」
とうとう。
後ろから抱きつかれてしまった。
みんなが帰ったあと。
ちょっとだけと思って残っていたら。
「あの……放してください」
「あきらめられない。
お願いだから、付き合って」
「困ります」
「ほんとに佳央梨とは別れてるから。
もう会ってないから」
「だからって……」
対処しきれず振りほどこうとしたが。
さらに腕の力がキツくなった。
耳元に頬を擦りつけられ、ささやかれた。
「俺のこと、きらい?」
「…………」
「黙るってことは、
好きって思っていいってこと?」
「そんな……」
たしかに格好いいとは思う。
たまに目が奪われる瞬間はたしかにあった。
告白以後、気になるようにはなっていた。
でも……先輩の元彼。
別れてたら、いいの……?
「知ってる」
「…………」
「俺のこと、見てる時あるって」
「待って……」
「ごめん、我慢できなくなった」
腕の力が強くなり、いきなり。
唇に。
抵抗したが、やがて力を抜いてしまった。
冷たい唇が心地よかったのが……。
「三朝……」
「…………」
「もう離したくない」
「…………」
「……俺と付き合ってくれる?」
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