code08 凍結⑩
堀口だった。
「隣、いいかな」
いい、と言う前に、もう座っている。
すこし奥へズレて、場所を開けた。
いや。
距離を取った。
「逃げることないだろ」
「いえ……」
「そんな警戒するなよ」
「…………」
「謝りに来たんだからさ」
………………。
え?
「謝る……?」
「悪かったと思って、研修期間中」
「…………」
「空気も読まず言い寄って……
冗談では、なかったけど……ほんと、ごめん」
今……?
「高桐警部と、比べるべくもなかっただろ……
ちがうよな、最初から。格が」
「…………」
「本当は分かってた」
今――それを言うなら。
もっと早く、気づいて欲しかった。
「明日から、もう会えないなんてさ……」
空寒い、素直に受け取れない、
謝罪。
「あのさ、立樹」
「…………」
「本当にダメかな? 今夜だけでも……一度でいいから」
返す言葉も見つからなかった。
謝罪と言いつつ、この人は――。
「……ごめん。最低だよな」
黙って聞いているしかなかった。
「俺……比べられてんじゃないかって……
いかに実力不足か。あの人についたあと」
「…………」
「否定しないもんな。やっぱり、そうだろ?」
「……堀口さん」
「いいよ。それが現実」
傷心したように、なぜかうつむく。
俯きたいのは、こっちだった。
気の済むまで喋って、退場して欲しいと。
「こんなだから、だめなんだよな。
ホント……配慮のない言動……すべきじゃなかった」
もういいと、思ってしまった。
「あの……」
「え?」
「気にしてないですから」
「…………」
「堀口さんも、もう気にしないでください」
通じない。
相手によっては通じないものなのだ。
配慮というものは――。
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