code08 凍結⑧
「高桐警部っ」
叫んで、体は駆け出していた。
弾かれたように男が逃げる。
警部の声が、追いかけた。
「いい、立樹! 走れ!」
かまわず、という意味だろう。
人ひとり、やっと通れる路地を。
奥へ、奥へ――駆け抜けた。
男の姿は見えている。
いまにも転びそうに走って逃げている。
路地がさらに細く、入り組みはじめて。
男の姿が見えなくなった。
「行き止まりのはずだ! 追い込むぞ!」
高桐警部の声がついて来る。
そして、ビルに三方を囲まれた。
行き止まりが見えた。
その時に。
背後の気配が変わったのが分かった。
路地と、横に交差する別の路地から。
あの店内で騒ぎを起こして逃走した仲間。
そいつが、突如、踊り出ていた。
即座に、高桐警部が応戦する。
男を掴み倒しながら、言った。
「立樹は追え! すぐ行くから!」
足が止まっていたことに、そこで気づき。
うなずく間もなく駆け出した。
行き止まりに駆け込むと――。
あれ? 男がいない。
その隙を。
屈んで隠れていた男に突かれた。
「わっ」
隠れていた男が、下から襲いかかる。
咄嗟に後ろへよけて、空を切った男を。
足払いにかけて、転ぶように仕向けた。
膝で抑え込み、腕をギュワっと引き上げ。
「だ、痛たただっ!」
警部が駆けつけて、手錠をガシャっと。
叩き込んで、こちらを見下ろした。
「……成果あったな、半年の」
笑ってくれる。
思わず頷いて。
臆面もなく笑い返していた。
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