code07 指導⑩
午後8時ごろだった。
帰りがけに高桐警部に書類を届けるよう、
室長から頼まれた。
オートロックではなかったので、階段であがる。
教えられた『305』のドアを見つけ。
インターホンを押した。
応答はなかった。
不在ならポストで構わないから。
高桐君には連絡しておく。
ドアにも差し込みがあるが……下のポストか? 。
どうしよう、と考えていると。
「――ちゃん……?」
上がって来た階段の方向から声がした。
ふり向くと――。
年配の女性が立っていた。
「まあまあ……帰って来たの」
言いながら近寄ってくる。
ほどなく、表情が変わった。
「あ、あら。ごめんなさい」
人ちがいだわ……。
苦笑いしながら、隣のドアへ。
ぱたん……と消えた。
『305』のドアをふり返っていた。
「立樹」
今度こそ高桐警部の声がして、ふり向いた。
「あ……これ、頼まれた書類です」
「ああ、悪い。間にあって良かった」
「どっちのポストに入れるか、迷ってました」
笑うと、高桐警部も笑ってくれた。
「明後日、帰るから。留守の間、頼む」
「はい。気をつけて」
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