code07 指導⑧
「あの……」
「はい?」
振り返ると、ゆっくり口を開く。
「話を……聞きに来たんじゃ……」
「そうですけど……話せます…か?」
「…………」
「無理なら……」
すると女の子が少しだけ笑った。
「……変な刑事さんですね」
「あ……私、まだ本当は学生で」
「え? 大学生?」
「警察大学ってところの研修生なんです。
いま人手が足りなくて」
女の子は何度か目を瞬き。
ともかくも事情を聴くことはできた。
「写真撮ったからなって……
そう言って、いなくなりました」
「……非常に話しにくいことを……
ありがとうございました」
「いえ……」
女の子が少し明るくなった。
「やっぱり変な刑事さんですね」
「そうですか?」
「敬語だし」
「……普通じゃないですか?」
「違うと思うよ。
普通は、わざと砕けた感じ。学校の先生とか」
「なるほど……」
「刑事さんも何かあったんですか。
トラウマになるようなこと。昔」
「あー……」
記憶が通りすぎていく。
「トラウマってほどじゃないですが。
痴漢にはしょっちゅう遭いましたよ」
「えっ」
イヤーと言う顔をする。
「電車で。躊躇ないんですよ、
サッと手を入れられたり、抱きつかれたり」
「やだー……」
「見られる方が、ずっとイヤだったでしょうけど」
「……でも触られはしなかったなって」
「…………」
「……なんか、そう思えた。ありがとうございました」
部屋を出ると。
高桐警部が待っていた。
「あ、お疲れ様です」
帰りに寄ってくれたのだろう。
外に連れ出してくれた。
まだ敷地内の捜査が続いていた。
「ちゃんと聞けたみたいだな」
「はい、なぜか……話してくれました」
「……よくやったと思うよ」
そこへ他のメンバーも合流し。
本部へ引き揚げとなった。
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