code05 起動⑥
「はい」
「君はどうかな。人の上に立つ者。その立場になったら?」
「そうですね」
「同じく、はっきり言ってくれていいよ」
「任せます」
「ふーん?」
眉が、少しだけ動いたのを見逃さなかった。
「適任と思ってその任についてもらうので、
任せますね」
「つまり信じるってこと?」
「そうです」
「その人ができなかったら?」
「自分の采配ミスなので、責任を取ります」
「君が?」
「ほかに誰かいますか」
「……そうか。
じゃあ任せる、信じるとした上の者が、
部下に対して大事にしなければならない事は?
何かある?」
「その者の人命と信念、みたいなものだと思います」
「へえ。人命はそうだよね。で、信念?」
「考えですね、早い話が。
誰にも自分の考えがあるので、できる限り尊重したいです」
「どうして?
みんなが勝手に自分の考え通りやってたら、
チームまとまんないよ?」
「まとめるように配するのが仕事です、上の者の」
「個々を重んじてベストの布陣を敷くってこと?」
「結局、それが一番です。
考えのない者は必要ないので、
個々の考えを配慮して布陣するしかありません」
「……そうか。
まだもうちょっと質問したいけど。わかった。
ありがとう」
「はい」
さっとイスに座った。
なんか、長くないか?
俺の時だけ。
「えー。
まあ聞いといて答えないのも何だから。
僕なりの考えを、最後に言おうと思う」
言いながら教室の真ん中まで進んだ。
全員が体の向きを変える。
上条を取り囲むかたちになった。
「いいかな。
人の上に立つ者。それが重視すべきこと。
僕が思うベストの答えは『尊敬』だ。
上に立つ者は、下の者を使うんじゃない。
序列は本来、差別のためにあるんじゃない。
誰が責任を取るか。上に立つ者。
だから序列がある。
経験や能力に応じて、その人が取り仕切るのが一番、
手っ取り早いから任じられているに過ぎない。
そこで部下への尊敬をなくして、
ねじ伏せて言うことを聞かせているようでは、
残念ながら、その人物は能力不足と言わざるを得ない。
上の者が指揮すると現場がスムーズに動く。
これを実感したら部下は勝手についてくる。
そうならなきゃいけない。
下だから、上だからじゃないんだ、本来は。
チーム。
警察はチームで動く。
その仲間間の尊敬を忘れないでほしい」
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