code05 起動②
別の学舎へ向かった友人と別れ。
法学部棟へ入った。
棟内はいつもの落ち着きだった。
外はやたら人が多かったが、と思ったが。
ああオープンキャンパスか、と納得した。
進路の話は重かった。
現在の交際相手には継ぐべき家督がある。
対して自分は警察官僚の道を目指す。
相いれない、来年の卒業後は――。
ため息をつき、いつもの一角を目指した。
奥まった通路の、さらに奥。
いつ行っても誰もいない。
自販機の横の喫煙スペース。
めずらしく今日は、先客がいた。
長い髪の、ラフな格好の女の子。
ペットボトルを手に長いすに座っている。
天井を仰ぐようにして、目を閉じて――。
気づいたように紅茶のキャップを開けた。
前に貼ってある掲示板を、眺めはじめる。
何気ない仕草ばかり、だろ。
なのに……というか。
はっきり言うと好みが具現化したような。
目がはなせない女の子だった。
たぶん高校生だよな。
何くわぬ顔で自販機の前に立った。
すぐ横に座っている。
近くで見ると、いっそう可愛かった。
いつもは買わない水を買う。
取り出そうと、身を屈めると。
見られているのに気が付いた。
目があったが、すぐ反らされた。
当初の目的は『これ≒喫煙』だからな。
彼女の前を通って奥の席へ行く。
長いすに座って、二席先の隣を見た。
懸命に前を見ているみたいに見えた。
驚くかな、と思いながら声をかけた。
「ごめん、いい?」
思ったとおりの反応があった。
ちょっと跳ねる。
それもまた、めちゃくちゃ可愛かった。
灰皿をさすと、微妙に笑ってくれた。
「気にしないので……」
「ごめんね」
電子煙草の方を出して吸いはじめた。
時おり、視線を感じた。
こっちが見ると、さっと反らす。
なんか、おかしくなっていた。
顔には出さずにおいた。
しばらくして。
電話が鳴って、応答しながら去って行った。
スティックを捨て、自分も席を立った。
『LOVERSコード』および関連作品に掲載されている文章・画像・動画・ロゴ・キャラクター・設定等の権利は、作者・蒼貴みかげに帰属します。




