code04 分岐⑦
「はい、おめでとー」
がさっと音を立て。
望が包みを差し出してくれた。
綺麗なシートで包装してくれている。
しっかり見てから、受け取った。
「ありがとう」
「まあ使ってよ。
現場出る時とかも、いいと思う」
「開けていい?」
中身は。
黒のショルダーバッグだった。
てか、これ高いやつじゃないか。
「いいの?」
「使ってくれれば、僕はもう」
「……大事にする。てか、もう使う」
「はは、いいよ。使い込まないとね」
伯母が大皿をもって現れた。
「ほら、座って」
「うわすごい。
僕の入学の時より豪華じゃないですか」
「当たり前でしょ。
3年しか行かない高校とはちがうのよ」
「千秋さん」
「なに、三朝」
「心配かけてすみません」
「……気をつけなさい。やるからには、しっかりね」
※※※
今日から寮生活になる。
4月から6月は座学。
3か月たって、7月になったら。
今度は配属先の地方暮らしになる。
戻ってきたら――。
また佐木沢家にお世話になるか、
それは分からない。
都合10年。
本当にお世話になった。
いや、その言い方はちがうのかな。
すっかり自分の家だった。
伯父や伯母を、実の両親と同じ。
には思えないままだったけど。
でも本当に大切な、第二の両親。
もし、居てくれなかったら。
東京暮らしが立ちいかなかった従弟。
こんなによくしてもらえると、
地元を出るときは思いもしなかった。
東京に来て本当に良かった。
また帰って来れたらいい。
伯母と望に手を振って。
あらためて家を見上げた。
広い、すばらしい家だった。
スーツケースと、
黒のショルダーバッグをお供に。
立樹三朝は――。
時田谷の佐木沢邸を、あとにした。
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