code04 分岐④
事態が決するのに3日かかった。
「来るのがちょっと遅いんじゃないか」
「……申し訳ありません……
あの、会わせていただけませんか」
「ショックで寝込んでいる。会える状態にない」
「なら、せめて顔だけでも」
「無理だ」
スリスリスリと。
せっかちなスリッパの音が追いかけた。
「あなた、朝比奈さん?
どういうつもりで家の三朝に近づいたんですか」
「僕は……真剣に、お付き合いを……」
「なら、どうしてこういうことになったのかしら」
「……僕のほうは別れているつもりで……
実際、三朝さんとお付き合いしてからは
会っていませんでした……」
「相手の方はそう思ってなかったみたいよね」
「……すみません……でも僕は……」
「二股だったんじゃないでしょうね」
「そんなことは、けして……」
「両方、
平行に付き合っていたわけじゃないんだな?」
「それは、誓って……」
「もういいわ。金輪際、会わないでくれれば」
「待ってください。僕は三朝さんと今後も……」
「え?」
「ゆくゆくは、け……」
「やめて! 帰ってください!」
「でも僕はっ」
「いいから帰って! 二度と来ないでちょうだい!」
ばたんっと玄関が閉まる音がした。
三朝はベッドにもたれて座ったまま、
2階で聞いていた。
「ありゃ叩き出したな」
胡坐をかいた望がドアを見て苦笑う。
中1になって、すでに大人びてきている。
高校生に間違われることもあるらしい。
この夏で、一気に背が伸びたからな。
もう追い越されていた。
「ちょっと落ち着いた?」
「そうだね……」
「一命は取り留めたってやつだったんでしょ?
とりあえず」
「うん……」
一瞬、息をついた望が続けた。
「怖かったよな」
「……怖かった」
「呼び出されて、1人で行くのはマズかったね」
「あそこまでと……思わなかったもん……」
「ま、そうだよ。服毒自殺未遂なんてね」
「……はっきり言うね」
「あの矢ってさ、振りおろしたら刺さるんかな?」
「知らないよ。怪我はするんじゃない」
「なら当たらなくて良かったな」
見つめて、しんみりと言った。
「三朝さ」
「ん?」
「殻にこもるなよ」
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