code04 分岐①
「まだ好き……」
真冬の冷たい道場で、
佳央梨先輩が震えている。
「すごく好きだよ、あたし…………」
震えて、泣いていた。
木の床に座り込んで――。
「いやだって……別れないって……別れたつもり、ない……」
ああ――。
別れたって……一方的に、
投げつけただけだったのか……。
「寝たんだよね……?」
足元にビンが転がっている。
ペットボトルと、こぼれた水も。
大量に飲んだら、危険なのに。
来た時には、すでにこの状態で。
どのくらいの量を飲んだのかも、
わからなかった。
「崇也と……寝たんだよね……?」
寒い道場が、いっそう凍って感じた。
佳央梨先輩が急に顔を上げる。
「何回、寝た?」
「あ…………」
「優しかった? 崇也」
「…………」
「キスもあっちも上手いでしょ。
すぐ好きになっちゃうよね」
「…………」
「崇也の部屋?」
「…………」
「あの部屋で寝たの? あのベッドで?
私とはじめてした、あの……」
「…………」
「なんて言ってた? 崇也。
あんたの方が可愛いいって?」
「せ…………」
「可愛くて綺麗で、私より上手いって?」
「………」
「何とか言いなさいよ!」
ものすごい形相でにらんでいた。
手じかにあった矢を数本、掴んだ。
頂点だと分かった。
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