第33章:遠征
コロシアムは静まり返っていた。
アレンは闘技場の中央に立ち続けていた。
衣服は戦いで破れ、
黒い刀はまだ手に握られていた。
その前には――
カイゼン「鉄の虎」が地に倒れ、意識を失っていた。
審判がようやく反応し、
手を高く掲げて叫んだ。
――大会の覇者!
――アレン「あれ」!
コロシアムは爆発した。
――すごい!
――盲目の剣士がやり遂げた!
観客席で兄弟が興奮して叫んだ。
――師匠!
審判が続けた。
――大会の覇者には金、古代の秘宝、そして魔族領への遠征参加の権利が与えられる!
群衆は歓声を上げた。
その時――
王族席で一人の姿が立ち上がった。
アリス王女。
コロシアムは即座に静まり返った。
アリスは力強い声で言った。
――大陸の戦士たちよ…
――今年の暗黒領への遠征は、これまでとは異なる。
皆が耳を傾けた。
――これまで遠征を率いたのは私の兄たちだった。
――だが今年は…私が遠征を率いる。
群衆がざわめいた。
――王女が魔族領へ?!
――危険すぎる!
アリスは手を上げた。
――遠征は10日後に出発する。
――隊は10人の戦士で構成される。
静寂。
アリスは名を告げ始めた。
――まずは大陸の守護者たち。
三人の姿が立ち上がる。
群衆は敬意を込めて見つめた。
――レイン、57歳…ランク10。
――カエル、48歳…ランク10。
――セラフィーヌ、62歳…ランク10。
伝説の戦士たち。
アリスは続けた。
――そして遠征の指揮者…アリス、ランク9。
群衆が拍手した。
さらに歴代の覇者たちの名が告げられる。
――アルドリック「元素の継承者」、昨年の覇者…ランク9。
――マーカス「紅の巨人」、覇者…ランク9。
――キアラ「静風の姫」、覇者…ランク9。
――シオン「千技の賢者」、覇者…ランク9。
――ルン「斬月」、覇者…ランク9。
群衆は驚嘆した。
皆、伝説的な戦士たち。
そして最後の名。
――そして今年の覇者…アレン「あれ」。
コロシアムは再び爆発した。
――アレン!
――覇者!
多くの者が知っていた。
アレンはまだランク8。
だが誰もが感じていた。
彼はすでに次の段階へ踏み出している。
アリスは続けた。
――10日後、暗黒領へ出発する。
――準備せよ。
そしてアレンを見つめた。
――アレン。
闘技場全体が彼を見た。
アリスは静かに言った。
――5日後、私の宮殿へ来なさい。
――遠征の詳細を伝える。
そう言ってアリスは退場した。
その間も――
アレンは闘技場の中央に立ち続けていた。
大会に勝利した。
だが今――
さらに大きな試練が待っていた。
魔族領遠征。




