第22章:森を裂いた一閃
日々はあっという間に過ぎていった。
ルンセラの大会は刻一刻と近づいていた。
その間、レッドとブルーは休むことなく鍛錬を続けた。
毎日ランク4の虎と戦い、
毎日敗北は減り、
毎日少しずつ強くなっていった。
だが彼らが鍛える間、
アレンはさらに森の奥へと進んでいた。
より強い敵を求め、
己の限界を超えるために。
剣の技は驚異的な域に達していた。
今やランク5の獣を一撃で倒せる。
炎も使わず、
火の章も使わず、
純粋な技だけで。
それでもアレンは満足しなかった。
世界はもっと広く、
もっと危険だと知っていた。
ある日――
深い森を歩いていると、
アレンは何かを感じた。
重い。
挑むような。
暗い。
そんな気配。
大岩の上にその存在はいた。
奇妙なことに、
二つの心臓の鼓動が聞こえた。
人間ではない。
エルフでもない。
――魔族。
その魔族もまた、遠くからアレンを察知していた。
だが動かなかった。
アレンなど蟻にすぎないと。
魔族は見下ろし、深い声で言った。
――ここは我が領域。
――人間のような取るに足らぬ存在に、
――我を見る資格などない。
突然、魔族は拳を振り下ろした。
アレンの頭を狙って。
本能で跳んだ。
拳は地面を粉砕した。
一瞬で理解した。
直撃すれば死んでいた。
アレンは剣を抜いた。
炎が刃を包む。
戦いが始まった。
剣と拳がぶつかり合う。
だが魔族の拳は黒く染まり、
未知の力に覆われていた。
分析する暇はない。
激しい攻防が続き、
森は震えた。
魔族は笑った。
――人間はいつも、魔族に挑めると思っている。
拳に闇を纏わせ、叫んだ。
――虚空へ昇る拳!
怪力の一撃が降り注ぐ。
アレンは選択した。
――第一章。
だが以前の技ではなかった。
今や千を超える斬撃を放てる。
目に見えぬ剣の波が魔族へ襲いかかった。
衝突。
爆発。
森が揺れた。
アレンの斬撃が勝った。
魔族の脚が切り落とされ、
膝をついた。
アレンは剣を掲げた。
終わらせる時だ。
だが魔族は叫んだ。
――覚醒!
闇の気配が爆発し、
圧力は増し、
森の獣たちは逃げた。
その瞬間、ルンセラの街で――
三つの気配が立ち上がった。
ランク10の騎士たち。
魔族の気配を感じ取ったのだ。
アレンは悟った。
このままでは勝てない。
魔族の拳が再び降り注ぐ。
剣で受け止めた。
――バキッ。
アレンの剣は折れた。
体は吹き飛び、木に叩きつけられた。
血が口から溢れる。
続けば死ぬ。
深く息を吸い、決断した。
――第二章。
折れた剣が燃え、炎が刃を再生する。
アレンは掲げ、言った。
――第二章…次元斬。
一瞬の斬撃。
魔族すら見えなかった。
静かに、瞬時に。
魔族の首は落ちた。
だが斬撃は止まらない。
森を貫き、二つに裂いた。
静寂が戻る。
魔族は死んだ。
アレンは息を荒げ、
衣は破れ、
体は傷だらけだった。
――戻らねば…
呟き、街へ歩き出した。
数分後、三人の騎士が現れた。
ルンセラを守るランク10の者たち。
レイン 57歳 ランク10 王国の老練な剣士
カエル 48歳 ランク10 槍の達人
セラフィーヌ 62歳 ランク10 高位魔導師
三人は沈黙した。
森は真っ二つに裂け、
中央には魔族の亡骸。
カエルが言った。
――これは獣の仕業ではない。
セラフィーヌが調べた。
――この魔族…極めて強力だった。
レインは眉をひそめた。
――では…誰がやった?
答えはなかった。
やがてレインが命じた。
――死体を街へ運べ。
――王国へ報告せねば。
三人は魔族の亡骸を持ち帰った。
だが心の中では同じことを思っていた。
誰かが――
強大な魔族を討ち、
森を一撃で裂いたのだ。




