第18章:二人のエルフ
ルンセラの街は、千の道が交差する場所。
そこには人間だけでなく、多くの種族が生きていた。
だがその影には、暗い現実も潜んでいる。
檻に閉じ込められた者たち。
鎖に縛られた者たち。
アレンはその世界の一端に触れた。
そして出会った――二人の若きエルフ。
彼らの瞳には恐れが宿っていたが、同時に未来への光も秘められていた。
宿で情報を集めた後、アレンは街を歩くことにした。
ルンセラは巨大だった。
通りごとに異なる音が響く。
武器を売る商人。
金属を打つ鍛冶師。
広場で呪文を練習する魔法使い。
アレンはゆっくり歩き、感覚を使って街を理解した。
だが目的は明確だった。
――傭兵ギルドを探すこと。
獣を狩り、金を得るために。
賑やかな通りを歩いていると、声がかかった。
――「剣士殿。」
奇妙な声。少し緊張していた。
アレンは立ち止まった。
――「何だ?」
男が近づいた。
その声は怪しい商売に慣れた者のものだった。
――「あなたは……盲目ですね。」
アレンは答えなかった。
男は続けた。
――「助けが必要でしょう。案内人や働き手を。」
そして言った。
――「奴隷を紹介できます。」
アレンは沈黙した。
その言葉で思い出した。
かつて家に押し入った剣士たち。
子供を売ろうとした者たち。
だが怒りは見せなかった。
ただ考えた。
――「この世界の仕組みを理解したい。」
――「見せろ。」
男は暗い通りの大きな建物へ案内した。
中には多くの気配。
人間。
他の種族。
檻に入れられ、鎖につながれていた。
奴隷市場だった。
男は次々と見せた。
――「これは力がある。」
――「これは料理ができる。」
――「これは荷物運びに向いている。」
だがアレンは興味を示さなかった。
やがて小さな檻に辿り着いた。
中には二人の若者。
少年と少女。
アレンは違和感を覚えた。
彼らの気配は特別だった。
――「彼らは?」
――「エルフだ。双子で十五歳。」
アレンは驚いた。
エルフは自然との親和性と鋭い感覚で知られていた。
さらに彼らの力を感じた。
――「ランク3。」
男は笑った。
――「その通り。少し才能がある。」
――「黒い髪に白い肌だ。」
アレンは考え、言った。
――「彼らを買う。」
男は驚いた。
――「良い選択だ。」
金を払い、鎖は外された。
二人のエルフは怯えていた。
宿へ連れて帰ると、緊張は続いた。
奴隷は人間に酷く扱われることを知っていたからだ。
だがアレンは座り、静かに話した。
――「俺の名はアレン。剣士だ。そして……盲目だ。」
二人は互いに顔を見合わせた。
アレンは続けた。
――「俺の目的は強くなること。そして世界を探ること。」
そして驚くべき言葉を告げた。
――「もし俺に従うなら、生き方を教える。戦い方を。だが去りたいなら、今すぐ自由だ。」
沈黙。
二人は混乱した。
人間からそんな言葉を聞いたことはなかった。
やがて少年が口を開いた。
――「俺の名はレッド。」
少女も続けた。
――「私はブルー。」
しばらく質問を重ね、アレンを理解しようとした。
だが次第に分かった。
彼は違う。
彼らを傷つけるつもりはなく、利用するつもりもない。
ただ共に生き残る仲間を求めていた。
ついに二人は決断した。
――「あなたと共に行きます。」
アレンは頷いた。
――「では今日から共に旅をしよう。」
こうしてレッドとブルーはアレンの道に加わった。




