第17章:千の道の街
アレンがルンセラの門をくぐった時、多くの人々が好奇の目で彼を見た。
白い髪、蒼白な肌、黒い布で目を覆った若者――珍しい姿だった。
人々は囁いた。
――「あの少年……盲目なのか?」
――「どうして一人で歩ける?」
だが別の男が静かに答えた。
――「盲目だからといって弱いとは限らない。感覚が研ぎ澄まされているのかもしれない。強い戦士かもしれない。」
アレンは全てを聞いていた。
だが気にしなかった。
幼い頃から学んでいた。
――他人の意見は自分を変えない。
しかし問題があった。
彼は街を知らなかった。
人で溢れる通り。
絶え間ない喧騒。
荷車。
商人。
重い鎧を纏った戦士たち。
森とは全く違う世界。
そこで彼は尋ね始めた。
――「すみません……宿屋はどこですか?」
何度か聞いた後、ついに見つけた。
裏通りの静かな宿屋。
中へ入ると、温かい食事と古い木の匂いが漂っていた。
年配の女性がカウンターに立っていた。
――「いらっしゃい。」
声は優しかった。
アレンは礼を尽くした。
――「数日間、部屋をお願いします。」
女性は答えた。
――「大丈夫よ。」
アレンは金貨を払い、簡素な部屋を得た。
その夜、ベッドに横たわりながら考えた。
――「大都市に来た。だが何も知らない。まずは情報を集めなければ。」
彼にとって知識は力と同じほど重要だった。
翌朝、宿の一階に降りると、昨夜の女性がいた。
アレンは尋ねた。
――「すみません……街について質問してもいいですか?」
女性は柔らかく笑った。
――「もちろん。私はマルラ。五十歳で、生まれてからずっとルンセラに住んでいる。」
アレンは敬意を込めて頷いた。
――「私はアレン。昨日来たばかりです。」
マルラは街について語り始めた。
――「ルンセラは戦士の街。剣士、魔法使い、そして獣使いが暮らしている。」
アレンは驚いた。
――「獣使い?」
――「そう。獣と契約し、共に戦う者たち。」
アレンは契約の指輪を思い出した。
――「彼らも神器を使うのですか?」
――「もちろん。古代の神器はここでは非常に貴重なの。」
アレンは悟った。
アークテルの洞窟で見つけたものは、想像以上に重要かもしれない。
だがマルラはさらに続けた。
――「この世界は人間だけのものではない。」
アレンは首を傾げた。
――「どういう意味ですか?」
――「多くの種族が存在する。エルフ。知性ある獣。そして……魔族。」
アレンは驚いた。
――「魔族?」
――「そう。彼らは非常に強大で、独自の領域を持っている。」
アレンは深く聞き入った。
その時、奇妙な感覚を覚えた。
長年森で暮らし、世界を理解していると思っていた。
だが今――気づいた。
自分は井戸の中の蛙だった。
世界は想像以上に広大だった。
マルラはさらに語った。
――「二か月後、大事な催しがある。大きな武闘大会だ。」
アレンは耳を傾けた。
――「大会?」
――「そう。毎年、大陸中から戦士が集まる。最強の剣士、魔法使い、獣使いたちが。」
そして声を落とした。
――「勝者には特別な機会が与えられる。」
アレンは尋ねた。
――「どんな機会ですか?」
――「魔族の領域へ行けるの。ランク10の騎士たちと共に。」
アレンは沈黙した。
ランク10の騎士――大陸最強の戦士たち。
マルラは続けた。
――「彼らは大陸を守り、大会を監督する。最強だけが彼らの目に留まる。」
アレンは部屋に戻り、ベッドに座った。
二か月後。
大陸中の戦士が集う大会。
ランク10の騎士が見守る。
微笑みが浮かんだ。
――「完璧な時に来たようだ。」
強さを求める者にとって――
これ以上の機会は存在しなかった。




