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ヴァルハイム・プロトコル ―神代湊は平穏に生きられない―  作者: かたろーしゅ
第一章 再び響く角笛

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1話 天城救出作戦4

 質問が終わる。


 湊は数秒だけ考えた。


 情報を整理する。


 天城美月は生存。


 引き渡しはまだ。


 二号倉庫。


 敵は三十人前後。


 拳銃武装。


 十分だった。


 男が何かを訴えるように視線を向ける。


 だが聞かない。


 もう必要ない。


 次の瞬間。


 首筋への圧迫。


 男の意識が落ちる。


 身体から力が抜けた。


 湊は崩れ落ちる身体を支える。


 音は立てない。


 相方の隣へ移動させる。


 二人ともコンテナの陰へ隠す。


 すぐには見つからない。


 そこでようやくスマートフォンを取り出した。


 画面の光が一瞬だけ顔を照らす。


 地図アプリ。


 現在地を確認する。


 埠頭全体の配置図が表示された。


 倉庫。


 コンテナヤード。


 事務所棟。


 搬入口。


 構内道路。


 複雑に入り組んでいる。


「……」


 湊の指が画面を拡大する。


 二号倉庫。


 巡回要員から聞き出した場所。


 現在地からはおよそ三百メートル。


 直線距離なら近い。


 だが実際にはそうではない。


 コンテナ群が視界を遮り。


 照明が死角を作り。


 警戒班が配置されている。


 正面から行けば見つかる。


 ならば。


 外周から回る。


 湊は地図を見ながら経路を組み立てる。


 侵入経路。


 退避経路。


 予備経路。


 頭の中に埠頭の立体図が構築されていく。


 ようやく全体像が見えた。


 スマートフォンをポケットへ戻す。


 目的地は二号倉庫。


 天城美月がいる場所。


 湊は立ち上がる。


 そして音もなく暗闇へ溶け込んだ。

ご拝読ありがとうございます。

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