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パラサイトマッスル  作者: Aju


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34 新たな能力者

「私たち以外にいないんですか? こういう能力持った人。」

 光太郎は篠島課長に聞いてみる。

 患者は昼夜を問わず搬送されてくる。長森先生と光太郎の2人だけではさばくだけでも大変だ。


 今のところAMPSの発症が確認されているのは関東地方のみだが、人口に対する発症率はうんと低いとはいえ、関東の人口は4300万人を超えるのだ。

 なぜAMPSが関東でしか確認されないのかはまだわかってはいないが、これが地方にも広がれば到底対応できる態勢ではない。


「探してはいる。でも、どうやって探せばいいのかわからないんだよ。だいたいPMに効く()を発することのできる体質なんて、樋山クンだってそうだったように本人も自覚してないんだ。自覚する機会もないしな。」

 そう言って篠島課長は困った表情を見せる。


 マッサージ師募集、柔道整復師募集、というような形でテストしているらしいが、そもそもそういう体質だから柔道整復師やマッサージ師をやっているとは限らない。

 何がその体質を決めるのか、の知見が全くないのだから偶然見つける以外探しようがないというのだ。


「テストの方法が、PMを入れたプラスチックケースに覆いを掛けてその上に手を置いてもらって、こちら側でPMの状況をモニターするという以外ないんだ。」


 自称も含めて気功師にも当たっているようだったが、PMを殺せるような人はいまだ見つからないということだった。


 街中で筋肉の化け物と化すケースも目撃が増えていた。

 そういう場合、捕獲銃を持った捕獲チームが出動してゆくが、その人数だって足りているとはいえない。

(最近は表向きにも「保護」と言わなくなった。)


「警視庁の機動隊から人を回してもらうよう、要請はしている‥‥んだけど。」

 篠島課長が珍しく疲れた表情でそう言った。

 篠島課長でも、そんな表情することあるんだな‥‥。と光太郎は意外に思う。

 最初は少し怖いと思っていたのだが、最近は見え方が変わってきている。いつも凛としていて、颯爽としていてカッコいい。と思いはじめた。しかもちゃんと見れば美人だし——。


「なに? わたしだってストレスあるし、疲れるよ?」

 あ、顔に出た? と光太郎が少し赤くなる。


「樋山クン。今度はわたしと飲みに行かないか?」

 珍しいことを言われて光太郎はどきりとする。篠島さんの目の色がいつもと違うような気がした。


 そんな光太郎の方に篠島課長がその目の色のまま歩いてきて、すれ違いざまちょっと目を伏せて小声で言った。

「(ごめんね。イヤだよね。三十路(みそじ)女なんて‥‥。)」

 いつもきりっと冷静で冷たい印象さえある篠島課長のこんな言葉と表情に光太郎はまた胸の鼓動が跳ね上がる。


「え? いや‥‥その‥‥‥」


「あ、こういうの、なんとかハラってやつになるのか? すまん。余計なことを言った。忘れてくれ。」


 イヤではないから、何ハラでもないと思います。

 ——と思ったが、口に出しては言えなかった。


 あの、篠島さん美人だし‥‥。スタイルもいいし、颯爽としててかっこいいし。オレなんかに手の届く人とも思えない‥‥と遠巻きだったんですが‥‥。

 そんな人からこんな表情されるなんて‥‥冗談でないのなら‥‥。(てか、そんなふうに見えなかった今の表情‥‥)


 ペットだって全然いいです!


 ‥‥‥ともやっぱり言えない光太郎だった。

 今オレは‥‥千載一遇のチャンス逃した‥‥かもしれない。

「はあ‥‥‥」



 篠島課長は上司!

 と雑念をはらって自分に言い聞かせた光太郎に、数日後新しい仲間が紹介された。


山帽子(やまぼうし)木蓮(もくれん)です! 17歳! よろしくセンパイ!」

 街路樹みたいな名前だな——。とまず光太郎は思った。


 栗色のショートヘアによく動く鳶色の瞳の目をした女の子だ。やや丸顔で背は低いが、溌剌とした——というか遠慮のない笑顔が、実際より存在感を大きく見せているようだ。


「やっと見つかったよ、樋山クン。キミと同じ特異体質の子だ。なんと高校の野球部のマネージャーだった。」

 篠島課長がそう言ってその少女を紹介した。

「ベンチでハルク化した野球部員を取り押さえようとして‥‥実際に取り押さえてしまったんだ。」


「あははー。あたしが押さえつけたらぶよぶよになっちゃってぇ。なんかとんでもないことしたのかと思ってビビりましたぁ。」


 よくあの筋肉の化け物に飛びかかろうと思うな——と光太郎はそのことに驚く。

 ふつう逃げるだろ?


「そんなわけでスカウトされちゃったですぅ。ここ給料いいんですって? あ、なんかセンパイってイケメンですね! いい職場環境だなぁ!」


「はあ‥‥?」


 なんだよ、こいつ?

 なんなんだ? このいきなりの距離感。

 かわいい部類に入る顔だとは思うけど、光太郎はこういうのはどっちかっていうとニガテだ。


「樋山クン。今日はキミがリスクの少ない治療法を山帽子クンに教えてやってくれ。明日からはチームとしてシフトに入ってもらう。もっとも高校生だから、全日というわけにはいかないが。」


「はあ‥‥‥」




篠島さんって意外と不器用ですね。

そして、どうも光太郎は年上にモテるらしい。(整体院でもおばあちゃんに人気があった)(^^;)

そこに加わった年下の距離感ナシ高校生。。

さて、特対ではどういう役回りを演じることになるのやら‥‥‥

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― 新着の感想 ―
いやあ、まんざらでもないならそこは押しましょうよ、光太郎くん。 何ビビってんスか。 そこで引いちゃうからダメなんですよ〜。← おばちゃん丸出しのツッコミw 篠島さんも、セクハラする前に(笑)素直にな…
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