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一年越しに叶える夢~AWAの世界にて~  作者: 高木橋ユウ
二章 旅の始まり《兄貴のいる国、中央国家パリドスでの騒動》
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イベント三日目 昼1


「このお肉生でもおいしいよ!」

「そうか」

「ねえ、この拘束解いてもう一回僕と戦おう?」

「いやだ」

「ねーえーいいでしょー?」

「だめだ動くな死ね」

「ぐ、グレスさん…これから、どうするんですか?」

「へぇー!グレスって言うんだ!グレス!グレス!」

「うるせえ跳ねるな!」

「いたっ」

「はぁ……、こいつをどうにかしないとお……私は動けない。探すなら一人…いやクマ吉と一緒に行ってくれ」

「あ…わかりました」

「まあ、どうにかしたら俺も探しにいくつもりだから、気にせず行きな」

「はい。その…頑張ってください」

「はいはい」


 さて……。どう始末してやろうか。


「どういう風に殺されたい?」

「戦って!」

「ふむ…」


 聞く必要なかったな。殺すのは時間かかるし、何かしらで動けなくするのが一番いいか。となると、何がいいかな。魔法…は普通に突破しそうだし……もう、この際だから召喚魔法で何が出るか試すか?あのヤバイ感じならこいつでも勝てんやろ。


「主、少し良いか?」

「え、主?グレスって喋るモンスターを従えることも出来るんだね!」

「黙ってろ。…で、なんだ?」

「いや……」


 ん?あー、こいつに聞かれるのは嫌なのか?


「わかった。眠っとけアホ。『スリープ』」

「…zzz」

「それで?」

「主、血を分けてくれないか?」

「血?…俺の?」

「ああ。龍である主の血を取り込めば、我は強くなれるはずだ。そうすれば、こやつも押さえ込めるであろう」

「なる、ほど?んじゃあ、はい」


 腕を切って血を流す。


「あ、主!出しすぎだ!それでは匂いに誘われて他のモンスターが!」

「大丈夫だろ。てか、早く飲め」

「ぬ、……うむ。ではいただく」


 サルマンが俺の腕を口に入れ、血を飲み込んでいく。


「主よ、血を分けていただき感謝する」

「ああ、いいよいいよ。お前が強くなるんならこっちとしては助かる事しかないし」

「…感謝」


 そう言うと、サルマンは輝き出した。


「おーすごい光ってる」

「確かにす《配下であるサルマンが進化しました》え?」


《種族:サラマンドラであるサルマンが種族:白炎龍へ進化しました》

《進化に伴い種族スキル《竜魔法》《竜眼》が《龍魔法》《龍眼》へ変化し種族スキル《白炎》《飛翔》《龍鱗生成》を獲得しました》

《進化した事に伴い条件を満たした為称号【古代森の王者】【突破者】【白炎を操る者】【白龍の配下】を獲得しました》

《個体名:サルマンに加護が与えられます。称号【龍神の加護】を獲得しました》

《主従の関係にある主より血を分け与えられた為魂の繋がりが発生及び強化されます》

《個体名:サルマンが強化及び繋がりの強度が増しました》


「お……え、は?」

「強く優しき主に、最上の感謝を……」


 サルマン…なのか?さっきまでのトカゲみたいな体じゃない。体は大きくなってるし、顔も龍っぽく小さく鋭い感じになって、角も二本後ろに流れるように生えている。さらには大きく力強くなった後ろ足で立ち、背に翼を生やしている。尻尾も前より長くなってるし、何より、鱗が…赤色だった皮膚が赤白の色の鱗に生え変わっている。


「形、変わった…」

「サルマン…なんだよな?」

「そうだ。主の血のおかげで、強くなるどころか壁を突破し龍に至れるとは思わなかったがな」

「おお、そうか…。急に雰囲気変わって一瞬誰かわかんなかったからさ」

「竜が龍になったのだ。わからなくても仕方はない」

「そういう物なのか?」

「そういう物なのだ」

「でもよかったな。これでボマーゼみたいに人化できるだろ」

「そうなの?」

「龍に至れば出来ることは増す。簡単なことだ。で、あるならば今後の為になっておくのも良いか。『人化』…どうだ?」


 何故か軍服を、しかも昔の日本の軍服を着た、赤い髪に白のメッシュの入ったイケメンが表れた。


「おぉ…!」

「なんで軍服?てか、どっから出てきたそれ…」

「ぬ、変か?昔見た人の服を真似たのだが…。それと、これに関しては出てきたとしか言えん」

「そうか…。ボマーゼはそんなのでなかったのに…。まあ、そんなに変って訳でもないし、似合ってるぞ」

「そうであるか。なれば、その男の相手も任せよ。人と龍とでは強さが隔絶している。敗けはない」

「そうか?進化したばっかりで、うまく動けなかったりしないか?」

「大丈夫である。任せよ」

「わかった…。じゃあテントとこいつの対処任せるから、俺達行くな」

「うむ。連れを探してくるといい」

「ああ」

「上手い肉も待っているぞ」

「そっちはついでな」

「まあ、こちらでも取れるだろうから、ついでで問題ない」

「?まあ、おっけー。行くぞ、ボマーゼ」

「うん」


 さて、どこに行くかな…。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「グレス、どこに行くの?」

「特に決めてないけど、そうだな…山にでも行こうか」

「…なんで?」

「山の向こう側を見たいからかな」

「そっか」


 にしても、パーティーを組んでた訳じゃないから、とばされる場所が違うのはわかるんだけど…事前に言っててくれれば場所を把握する合図くらい決められたのになぁ。……いや、イベント中に一緒にいる必要ないか。ん?じゃあ、別に合流しなくてもいいのか?俺があいつらと一緒にいるのはあいつらの分離が目的……。

………こ、このイベントで分離の方法がわかるかも知れんし、探さんと……ダメだよな…。


「グレス、なんかいるよ」

「ん?」


 お、確かになんかいるな。こいつらは…初日にみた狼のモンスターか?


「ガルルルル…」

「グルルルゥ……」

「グルゥ………」


 お?殺気とか出してないのに警戒してる?昨日まで真っ先に俺を狙ってたのに。


「どうするの?」

「襲って来ないなら殺す必要はないだろ。無視して行こう」

「わかった」


 夜に取れた【強者の風格】の効果かな?なんで今なのかちょっと疑問だけど…。てか、あいつをボコボコにしてただけなのになにが強者なんだ?もっとこう…他のところで取れてよかったんじゃ?


「グレス、また」

「ん?」

「キギ!ギギィ!!(肉!獲物!!)」

「…ア?」

「グアッ!!?(ひぃっ!!?)」


 少し気を抜いたらすぐこれだよ。まあ、逃げたからまだいい方だな。もうすぐ山に着くし、どうやって上に行くか考えないとな。


「グレス、あれ何?」

「…なんだあれ」


 上、上空に何かいる。鳥みたいな形だけど、なんか、いる位置がおかしいような…。


「こっち見てるよ?」

「え?」


 あー……、確かに、頭っぽいところがこっちに向いてるけど、ん?あれ?なんかこっち来てね?


「こっち来てるよ?どうするの?」

「ど、どうしような?まあ、でも襲って来ないならさっきと同じように無視しようか」

「わかった」


 もう形がハッキリわかるところまで降りて来てるな。赤い毛のでっかい鳥だな。


「……ん?」


 あれ、なんか、思ったよりでかいんだけど…。あいつサルマンよりでかくね?


「おっきい…」

「いやマジででかいな」


 まだそこそこの距離あるのに風がすごい。それだけ巨大だってことなんだけどそのわりに威圧感的なのが全くないんだよな。敵意…が無いのかな?


「あれ、なんていうの?」

「…ん?あー、あれは鳥、かな?最初の奴が狼で、さっきのが猿」

「鳥、狼…猿…」

「まあ、あそこまででかくてあの高さまで行けるとなると、怪鳥って言う方が正しいかもなぁ」

「怪、鳥…?」

「え…っとー、普通じゃ考えられないくらい大きい鳥とかのこと、かな?」

「へぇー!」


 う、うろ覚えの知識をさらしてるのにこの反応はキツイ…。


「っと、そろそろ来るな。後ろに隠れてろよ」

「あ、うん」

「…ぁま!」

「お?」

「お客さまー!」

「お客さま?」


 もうハッキリと見えるところまで来たけど、お客さまってどういう?ていうか、人語喋ってるな?


「お初にお目にかかります。この島で守護獣をしている者です。本日はどういったご用件でこの山へ?」

「あーっと……とりあえず、一旦降りていただけないでしょうか?」


 風が、すごい…。吹き飛びそう…。


「あ、これは失礼しました」

「いえ、ありがとうございます。それで用…という訳ではないのですが、山頂から島を見回したいと思いまして」

「なるほど、そういうことでしたか。それならば私が山頂までお送りしましょうか?そろそろ巣に戻ろうと思っていましたので、丁度いいのですが?」

「ボマーゼ、いいか?」

「うん、大丈夫」

「では、お言葉に甘えさせていただきます」

「そうですか!では、どうぞ」


 鳥…さんが身を屈めてくれたので、ボマーゼを抱え、飛び乗る。


「しっかり捕まっててくださいよ?行きます!」

「うおっ」

「……!」


 強く羽ばたき、飛び立つと、物凄いスピードで加速していった。






誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。

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