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一年越しに叶える夢~AWAの世界にて~  作者: 高木橋ユウ
二章 旅の始まり《兄貴のいる国、中央国家パリドスでの騒動》
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イベント三日目 朝


「ごちそうさまでした」

「美味かったぞ」

「グル…(ごち…)」


 ごち…?


「じゃあ、見張りお願いしますね?」

「ああ、ゆっくり休め」

「主、暫し休むが何かあれば起こしてくれ」

「自分で起きろ」

「ぬ…」

「グル(お先に失礼します)」

「ああ、ゆっくりな」

「なぜ我だけ……」


 主に起こしてもらう従者がいるかっ…たく。


「おやすみ」

「あ…、おやすみなさい」

「…すみ?」

「グル(おやすみなさい主)」

「ぬぅ…」


 うむ、じゃあ鎧を全身鎧モードに切り替えて、と。これで下手な輩はよってこないだろ。


「グレス、見張りって何するの?」

『んーと、モンスターとか人がよってきた時に対処したり、そもそもよってこないようにする。まあボマーゼは眠くなるまでここにいればいいよ』

「わかった」


 さて、少し試してみるか。今まで片方づつだったけど、気配と魔力を一緒に……、探る!

 お、お、おおお!おおおおお!スゲーなこれ、気配と魔力の両方で場所が、気配で何かが、魔力で形がわかる。……ん?なんか、近づいて来てる?


『ボマーゼ、何か来るぞ』

「わかった」


 崖の向こうから来てるな。俺達が元々いた付近だ。俺達を探してる?…昨日の襲撃者か?でも一人だし、別のやつか?

 ん、来るか、猛スピードで崖を登ってやがる。黒剣を抜いておこう。


「………ッシ!」

『おっと』


 落下と同時に剣を振り下ろしてくるが、それを黒剣で防ぐ。

 上から落ちてきてすぐに攻撃とは…物騒だな。


『何か用でも?』

「君、昨日襲撃してきた人を撃退してた白髪の人だよね?」

『そうだとして、何の用なんだ?』

「僕は君と殺し合いがしたくて来たんだ!相手になってよ!」

『……』


 はぁ?何言ってんだこいつ…。…………ん?こいつ、どっかで見たな…。どこだっけ?………………あ、対人戦最強の人か。うわっ、めんどくさぁ…。


『こんな夜中にお前を相手取る気にはなれない。後ろじゃ寝てるやつもいるんだ』

「僕は気にしないよ!さあ!」

『ぉ…私が気にする。出直せ』


 退くかな?退かないだろうなぁ…。


「…じゃあ、場所を変えよう!ここじゃないところならいいんでしょ!?」

『はぁ……わかった。ボマーゼ』

「!何?」

『しばらく任せる。一人で大丈夫か?』

「!うん!大丈夫、早く帰って来てね!」

『了解』


 ちょっと不安だけど、さっさと終わらせれば問題ないだろう。


「早く早く!」

『……』



◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「ねえねえ!さっきの子って君のなんなの?」

『お前に教える必要があるのか?』

「ないけど、気になったから。一緒にプレイしてる妹かな?それとも子供?」

『……』


 なんなんだこいつマジで…。テンションおかしくないか?疲れる…。いい感じに広いしもうこの辺りでいいかな。さっさと終わらせたくなってきたし。


『ここらでいいだろう。さっさと済ませるぞ』

「えー…。まあいっか。じゃあ、殺ろうか」


 雰囲気変わったな。


「はぁぁぁあっ!せい!」

『…』


 走り込んで来ての横凪ぎの一撃を黒剣で受け、そのまま回り込んで後ろからくる追撃を体を反らして避ける。避けられて硬直してるところに黒剣の一撃をプレゼント。ギリギリで避けられたから追撃のパンチ一発。


「ぐえっ、なかなかやるね…」

『…』

「無視しないで、よっ!」


 黒剣を持った右手を狙った一撃を避け、蹴りを入れる。


「がはッ…」


 ……なんか、思ったより強くないな。いくらこの装備を壊したくなくて《手加減》使ってるといえ、拍子抜けだな…。


「余裕…そうだね」

『ああ余裕だ。お前はもう少し強いと思っていた』

「そうなの?」

『これなら私が参加プレイヤーでナンバーワンと言われたのが納得できる』

「へぇ…。じゃあ、本気でやるよ。最初は小手調べのつもりだったんだけど、そこまで言われちゃあね」

『お前が本気になっても私には勝てんだろう』

「やってみなきゃ、わかんないでしょ!!」


 ん、早くなったな。剣の振りも次に繋げる動きも、隙がなくなった。剣の重さも増してるし、本気なんだろう。でも、


『やはりお前では勝てない』

「そんなこと言わないで、本気で来てよ!手加減してること位わかるよ!」

『……』


 死にたいのか?あ、殺し合いしたいって言ってたな。じゃあ、まあ…。


『ここからは手加減なしで行ってやる』

「やった!言ってみるもんだね!」


 さっきまでは向こうから仕掛けて来てたけど、今度はこっちから行く。一歩で間合いを詰めて横凪ぎの一発を入れる。同時に足と腕の鎧に罅が入るけど、まあ、自動修復機能があったはずだし、気にせんとこ。

 そんで、吹っ飛んだあいつに追い討ちの一閃を加え、一度離れる。死んだかな?


「……ゴフっ、ハァ…ハァ…」


 胸から大量の血を流し、口からも血が溢れている。瀕死だ。


『終わったな』

「まだ…だよ……」

『何を言っている。お前はもう死に体だ。私に防がせることもままならん状態で、何ができる』

「……死ななければ、まだ…やれる…。もっと、楽しめる……!」

『ああ。死ななければな』

「僕の装備って、特別なんだぁ……。殺し…合いをする……時には、ステータスが上がる…。それに…、僕が死んでも……、僕が、殺した数……だけ…、死なずに、済む…んだ」

『ほう。そうなると、お前は何度殺せば死ぬのだ?』

「……しっかり、数えている、けど……。教えない…よ……」

『そうか。ならば死ぬまで殺し続けるだけだ』

「それまでに…君を、殺せば…僕の勝ち、だよね…」

『そうかもな』


 長丁場になりそうだな。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆





『おい、あと何回だ』

「言う……訳、ないでしょ…」

『そうか』


 もう千回近く殺してんだけど…、まだなのか?少しだけど対応され始めてて殺すの遅くなってきてるし…。


『面倒になってきたな』

「それ……どういう、こと?」

『夜明け前には終わらせたいということだ』

「じゃあ、大丈夫だね…。まだまだ…、時間はあるよ!はっ!」

『……』


 また対応された。こいつ、俺の剣を受けるんじゃなくて流し初めてんだよな…。同じ軌道で出すと必ず対応される。完全に対応されるのも時間の問題か…。


『……』

「……?どう、したの…?剣、仕舞っちゃって…」

『ハンデ無しで行く』

「!!!」


 今までよりも深く、早く踏み込み、拳を振るう。反動で足と腕の鎧が砕け散るが、気にしない。修復されるのはもう何度も見た。

 殴られた相手は、一瞬粉微塵になるがすぐ元に戻り、驚いた顔をする。が、それを気にせず殴り続ける。相手が対応出来ないスピードで何度も、何度も、反撃の余地を無くすように。

 一秒で二~三人分殺しているが、まだ尽きない。そろそろ相手の後ろにある森が無くなりそうだから、一旦止める。


『ふぅ~…』


 腕部分の鎧が無くなってる…。やっぱり脆いな。壊れない初期装備・改って本当にスゴかったんだなぁ…。


「………バタン」

『ん?』


 あれ、動かなくなったな。んまあ、痛覚がある程度低くなってるとはいえ、何度も粉々にされたら気絶ぐらいするか。こいつも人間だなぁ…。


『さて…』


 こいつどうすっかな…。元々こいつが突っかかって来たからこんなことやってた訳だし、別に殺さなくてもいいんだよな。んーーー…………、久々に割りとまともな戦いできたし、殺さないでおくか。こいつならそこら辺に放置しても死なんやろ。さ、帰ろ。


《レベルアップしました》《スキルレベルがアップしました》

《称号【強者の風格】を獲得しました》





◆◇◆◇◆◇◆◇◆





「ってなことがあったんだよ」

「っそ、そうですか…。ところで、そのぉ……下の人は?」

「グルゥ(強い人)」

「主よりかは弱いが、強者であるな」

「戻ってきてからずっとこう」

「え……」

「……!」

「いや、しょうがないんだよ。こいつすぐ目え覚めたと思ったら速攻で攻撃してくんだからさ。殺しても死なんし、面倒だから連れてきちゃった」


 一回気絶させて喋れないようにして座るしかなかったんや。


「モンスターでは…」

「勝てないな。こいつ弱い訳じゃないし」

「我でも勝てるかどうかわからんな」

「…そうですか……。と、とりあえず朝食にしませんか?お腹空きました」

「あー、そうだな。こいつと戦ってる間に巻き添えで死んだモンスターの肉あるから、朝はこれな」

「一日ぶりであるな」

「グル!(肉!)」

「朝からお肉ですか…?」

「文句あるなら食べんでよし」

「食べないなんて言ってないじゃないですか!いただきますよ」

「………、…………あ、取れた。僕も食べたい!」

「………生でいいか」

「えー、焼いてよぉー」

「……」


 こいつ、マジでどうしようかな?

 




誤字脱字があった場合報告してくれると助かります。では。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが楽しみ更新頑張って下さい!
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