裏切り
某日 王国城内にて
三人の騎士が、女性の騎士を前にして地面に体を落としていた。
「ギース、アルバースの2人を倒して、俺までだとは。貴様が…………なぜ…………聖騎士の誓いはどうしたっ!」
アエルド・ギースは王国の聖騎士団五番隊隊長、産まれながら名家に生まれ、剣技祭の優勝者経験者である父と母から剣の英才教育を受けた秀才、ジャスティン・ロビンソンは雑草魂と言うべきか、貧困層に産まれながらも聖騎士になった努力家である。
「なぜ? 私は聖騎士の隊長になるまで、いえ一度も王国に命を捧げたことなどはないわよ」
「くそっ、ここまで実力があってなぜ王国に刃向かうのだ、ユリアナ!」
「いくら強くても王国に従えるつもりはないし、ただ単に剣技祭で強かったからという理由で聖騎士になって偉そうにふんぞり返っているあなたたちとは違うわ、アルバ」
テイラー・アルバースは平凡な家柄に生まれたが、幼少の頃からただ喧嘩が強かった。殴り合い、剣術なんでも負けなかった。
そのため、入学試験を一位で通過し学生時代は同学年の生徒を見下すことも少なくなかった。
ユリアナは剣の切っ先をアルバの喉元に突きつけた。 かつての同僚に躊躇いもなく、彼女は見下した視線を送る。
「王国の騎士のレベルも落ちたものよね、ロビンあなたも落ちこぼれだったにも関わらず聖騎士になった努力は認めるわ、でもね騎士になってからは努力を怠り自分に酔った。 だから私にいつまでも勝てないの」
「くっ………貴様ぁ………」
「ロビン、しっかりしろ!くっ、俺はまだ終わってないぞ、ユリアナ!!」
ふらふらしながらもなんとか立ち上がるアルバ。 最早彼女を止めることはできそうにもない、相打ちになってでも止めなければユリアナは間違いなく王国の脅威となる。 長年のアルバの経験がそう語っていた。
「諦め悪いのは昔からね、一応は盃を交わした仲間として命はとらないであげたのに」
「王国の騎士として、お前も野放しにはできない!」
「後悔するわよ、あなたが私に勝てたことなんて一度もないのに」
「例え相打ちになっても、いや俺の命にかけてお前を止める」
「良いわね、やりましょうか。 グラディウス!」
「待て時間だ、ユリアナ」
ユリアナが魔力を全力解放しようとした時、何もない空間に暗い穴が空き、そこから一人の魔導師が姿を現した。
「闇魔法………貴様!!!賞金首のベクター・テンラリオか!」
「そうだ…………なるほどな聖騎士3人を負傷させたか上出来だ、ボスが待っている来い」
ベクターの言葉に不満そうにしながらも、ユリアナはアルバの喉元に突きつけた剣を腰に刺している鞘に戻した。
「命拾いしたわね、アルバ。 次に会う時は私の首を本気で取りに来なさい」
「ゲート発動」
ベクターは壁に対して指を滑らせた。すると、再び黒い魔法陣が発動され、空間転移魔法が発動した。
「ユリアナ…………なぜだ」
聖騎士アルバは地面に突き刺した剣を腰に戻した。 あまりの悔しさに涙を流すこともできなかった。
友の裏切りに、そして友を止めることが出来ない自分への悔しさに、力一杯剣を地面に叩きつけ、キーンという金属音が辺りに響いた。




