英雄達それぞれの行方。大捜索
〜各国国王side〜
ケリューン王達が補給部隊として到着したころには既に全てが終わっていた。
ここに来たのはケリューンのレオナ博士の飛行具を身に着けた部隊と、
チグリスの飛行船隊である。
ウィリアムとエルガルドは伝令耳飾で繋がっているだけだ。
スピードを重視し、空を飛んできたわけだが、
周りを見ると、一面の海で魔王もアレン達もどこにも居なかった。
(ケリューン王)「むぅ。一体、これはどうしたものか・・・」
(ウィリアム王)『場所は合っておるのか?』
(チグリス王)「なんとも言えんが、サルトベルグとウィリアムを直線に繋いだ道を飛んできたわけだ。そうずれてはいまいよ」
(ケリューン王)「少なくとも、道すがらの何処かには該当するはずだ」
進行方向の向こう側には瓦礫の山と化したサルトベルグだったものがある。
それに辺りは一面海だ。正確な位置は分かるわけがない。
(アイリス)『莫大な魔力が検知された場所としては、ほぼその位置で間違え無いです』
(ケリューン王)「状況から察するに、アレン殿たちが魔王を倒したのはほぼ確実だろう。そうでなければ、急に海に戻るわけがない」
魔王を倒した英雄らは皆、行方不明だ。
普通に考えれば、海に沈んでしまっているか?
幸いにして、ここら辺の海域はそこまで水温が低いわけではないので、
凍死はしないだろうが、
溺死はかなり可能性がある。
どれくらい疲弊しているのか、意識があるのかもわからない。
(ケリューン王)「なんとしてでも探し出すぞ、皆、参るぞ」
海上を探していると、割とすぐにキャナル殿、セニア殿が見つかった。
キャナル殿が小型のシーサーペントに変身し、
それにセニア殿が捕まってぷかぷか浮いているところを発見。
引き上げると二人とも自力で立てないほど疲労しているが
意識ははっきりしていて会話も出来る。
回復させつつ話を聞いてみると、
なんでもアレン殿に全員のステータスを集める魔法を使って魔王には勝ったらしい。
そんなめちゃくちゃな魔法を使ったのか・・・
疲労しているのはそのせいで泳いでいたからではないのだそうな。
しかも、後の4人は離れていたから、よくわからないとのこと。
(ウィリアム王)『つまり、他の4人も同じ疲労度合いなのか』
(アイリス)『いや、アレン様とディアナはもっとなのかもしれない、反動もあるだろう』
(ケリューン王)「まずいな、早めに探さないと」
(ウィリアム王)『アイリス殿、我々もケリューンのに合流しましょう、まずは大人数で探しましょう』
(アイリス)『そうですね。魔力で探知も出来ますし、ただ、我々は飛翔ができないから効率が・・・ケリューン王、まずはアレン様優先です』
(ケリューン王)「わかった、しかし、ディアナ殿も・・・」
(アイリス)『あの子は最悪、結晶化して生き延びるでしょう。他の方、特に疲労具合がひどいであろうアレン様が最優先です』
心の芯が強い人だ。
普通なら自分の娘を最優先で。となってもおかしくない。
しかもそれが後継者にして、国家君主なら尚更だ。
それだけアレン殿に恩義があるわけか。
程なく、海上を漂う氷の花が見つかる。
そして、その花の上から、リルム殿と、
幼女が見つかる。
話を聞くと、幼女はディアナ殿が、極限まで魔力を使った姿らしい。
それ以上使うと、体が保てなくなり結晶化すると。
流石、エルフ。謎が多く、理解できない。
リルム殿、ディアナ殿もかなり疲労していて、
ディアナ殿はリルム殿にずっと寄りかかったまま、目は虚ろだ。
また、リルム殿も話せるのが関の山で、
立ったりなどはできず、
氷の花を魔力で維持するのが精一杯だったらしい。
そして、やはりアレン殿達の行方はわからないらしい。
(ケリューン王)「くそっ、どこにいる、アレン殿!?」
(ウィリアム王)『ミチルになら、イフリート様から連絡取れないのか?アレン殿と一緒かはわからんが』
(ケリューン王)「駄目だ、イフリート様が声を届けてくださらない」
それはここまで大量に水があるからイフリート様の力が出せないのか、
はたまた違う理由かはわからないが。
(ケリューン王)「可能性があるなら海底か・・・潜る手立ては・・・」
(チグリス王)「うちの飛行船は海底でもいける。すでに潜らせておるわい」
今度はチグリストが中心になり、海底散策をするのだった。
――――――――――
〜ミチルside〜
(ミチル)「流石に弱りましたね・・・どうしましょう」
魔力も体力もカラカラだ。
今、ミチルとアレンは海底にいた。
ウンディーナの力で作った巨大な泡の中で二人で救助を待っている。
また、中の空気はシルフが絶えず空気を供給している。
ここまではまだ魔力がなんとかなった。
だけど、ミチルが気づいたのは、
ボロボロになり、今にも死にそうなアレンだった。
アレンは見るからに腕も足もめちゃくちゃ骨折しているし、
内臓も深刻なダメージを受けているに違いない。
恐らく、九死に一生スキルが無ければ死んでいる。
さらに、最後の一撃を放った後、アレンはエーテルリングの無敵を発動させた。
だから辛うじて生きているだけだ。
まさに、正直虫の息だ。
回復出来れば良かったけど、ミチルにはその特技がない。
レムを使っても出来ないものは出来ない。
アイテムもない、くっ、黄金神薬さえあれば・・・。
それを見て、ミチルは魔力も空なのに、
迷わずレムを召喚。
レムにアレンに聖なる力を送るよう指示したのだった。
それを辞めたらアレンは死んでしまう。
だから、ミチルは絶えず魔力を消費している。
魔力が空なのに。
(ミチル)「がはっ・・・」
血を少し吐いてしまう。
限界が近い。いや、限界なんかとっくに超えているわけだが。
(ミチル)「アレンを死なせるわけにはいかないわ。魔王を倒した英雄ですもの」
例えこの身がどうなっても、アレンだけは必ず生きて帰す。
それがミチルは自分が生かされた意義だと感じていた。
意地でも守る。何を犠牲してでもだ。
ミチルは自分に残された命、
または寿命を魔力に変換して今を保たせているのだった。
だが、困った。
脱出する方法も魔力もない。
イフリートを使ってケリューン王に連絡取るのもこの魔力の減り具合から難しいな。
伝令耳飾も海底だからか、さっきから反応がない。
手にあるのはレーヴァテイン、各種聖具のみか。
せめて誰かもう一人、仲間の誰かが一緒ならもしかしたら何とかなったかも・・・
と、その時、アレンの胸元がかすかに光っていた。
海底の暗闇だから気付けたミチルは何だ?
と思い、失礼を承知でアレンの胸元に手を入れてみた。
すると、小さな小瓶に入った魔力結晶があった。
(ミチル)「こ、これって・・・」
いたじゃないか。もう一人仲間が。
私の中に。私に命を再び与えてくれたおチビさんが。
私はこの物を知らないが、私は知っている。
私に通訳用で魔力を供給していた魔結晶だ!
マジャルがくれたやつで、ディアナが一度、時を伸ばす魔法で使ったやつだ。
私なら取り出せるかな、この魔力・・・
私は小瓶に手を伸ばし、蓋を開けるのだった




