最後の大戦 その10 今度こそ決着。
(リルム)「か、勝った?」
ドロり。
十字に刻まれた元女神の体から、
黒くネバネバした何かがこぼれ落ちていく。
それは地面で段々と固まりだしていく。
そしてアメーバのような、巨大なスライムのようなものになった。
すでに意思はないだろうが、魔王の根源たる魔力の集合体のようなものだ。
放っておいていいわけがない。
(アレン)「勝つには勝ったが、まだ終わりじゃない。後処理がある」
グランドクルス直撃後、セニアがキャナルを回収し、
黄金神薬を飲ませていた。
黄金神薬はかなり戦いのさなかで使ってしまっている。
(キャナル)「じ、じゃあ、今のうちに、あんちゃん」
(セニア)「そ、だね・・・」
まだ、ディアナの使ったソウルドレインレイズが生きている。
キャナルとセニアは手をかざし俺に向ける。
最後の力を振り絞ってという感じだ。
結果、俺はセニアの素早さとキャナルの怪力を手にすることになった。
後が物凄い反動が来るだろうが。
お互いに後先を考えている場合ではないか
(魔王?)『ぐしゅるぐしゅる・・・』
スライム化した魔力は気持ち悪い動きをしながらこちらに迫る。
依代となる体を探しているんだろう。
これを斬れるのは聖剣クラウ・ソラスだけだろう。
最後は聖剣クラウ・ソラスが必ず必要になるとはそういう意味だ。
本来なら魔王の体ごとこの魔力の塊を斬るんだろうな。
(魔王?)『ぴぎぁぁぁぁあ!』
スライムは覆いかぶさるように襲いかかってきた。
これが魔王の成れの果てか。哀れだな。
全てを終わらすのは勇者、俺の役割なんだろうな。
俺もガタガタになりだしている体に最後の力を込める。
生半可な攻撃は斬れない、魔力を吸われるなどがありそうだ。
逆効果だろう。
そもそもこのスライム?はゲームには存在していないわけで、
耐久力などのステータスが未知数なので、
持てる最強の剣技を放つ必要がある。
となると、あれしかない。
ゲーム中に存在していない敵にはゲーム中に出ていない技、つまり、オリジナル技を放つしかない。
(アレン)「まだ、時間のあるうちに・・・」
意識を込めると、聖剣クラウ・ソラスは応え、双剣へと姿を変えた。
ミチルのステータスも乗っているわけで
今なら使えるはずだ。
右手のクラウ・ソラスは雷の力を纏い、紫雷神明斬を作り出す。
左手のクラウ・ソラスには風の力を流し込み、白帝破滅斬とする。
基本的にはさっきのグランドクルスと同じだ。
全く同じ威力を左右から調節して出すのが難しいだけだ。
右手の方は俺の中で勇者レンが半分くらい制御してくれている。
(勇者レン)(ははは、こんな無茶なことをしたら僕の意識は消えちゃうね)
すまない。
頭の中で謝ったが、もう後戻りは出来ない。
(勇者レン)(ははは、構わないさ、僕はもう過去のヒトだ。魔王とともに逝くさ)
(勇者レン)(ただ、君は死なすわけにはいかないけどね)
最後に勇者レンが言ったことはアレンには聞こえていなかった。
どういう結果になっても、これが最後だ。
駆け抜け、左右を十字に同時に当てて、切り抜く。
(アレン)「【ゴッドブレイククルス!】」
スライム?を十字に引き裂き、
中心部から無属性の爆発が連続的に起こり、
無慈悲に破壊し尽くす。
言葉にならない断末魔の叫びをあげ魔王は今度こそ消え去ったのだった。
と同時に、立っていた陸地が溶け出し、
海になってしまう。
魔王が魔力で塗り固めたものだ。
魔王が消えたら・・・・
アレン達は全員、海に落ちてしまった。




