最後の大戦 その9 決着・・・?
魔王が見せた驚愕、焦りはほんの数秒という短い時間。
右手をアビス・メテオにかかげ、魔力を込め直し、立て直そうとする。
が、その数秒は、神速のセニアにとって十分すぎた。
セニアは俺、ディアナの魔力をアイテムで回復させ、
円弧を描きながら走り抜け、魔王の右手にガブり!
(魔王)「ぐぬ!この獣風情が!放さぬか!」
放せと言われて放す獣は居ないだろう。
噛まれたことで魔力を注ぎ続けることが出来なくなり、
アビス・メテオを消失させることに成功。
そして、セニアに加えてミチルも特攻をしかける。
魔王は今、スキだらけ、時間稼ぎもし放題だ。
後衛には俺、キャナルがまだ残っている。
キャナルは次の魔王への攻撃合わせに必要だから、
俺とともにいるわけだ。
(アレン)「よし、これで回復魔法は使えなくなる」
(キャナル)「使わないだけだろ?信用出来ないわ」
(ディアナ)「いいえ、あれ程の魔法は発動させるのにカルマが必要です」
喋っているが、ディアナ、俺は次の魔法を紡いでいる。
セニア、ミチルで押さえておけるのもあと僅かか。
尻尾と羽がやはりかなり邪魔だ。
ミチル、かなりダメージがあるな。
翼が鮮血で赤く染まっているし、
片足は折れてしまっている。
セニアも疲労困憊だ、あ、変身解けた。
顔面にも血が付いているし、
回復はされているが、間に合っていない。
(リルム)「カルマ?」
リルムは話しながら光属性最上位魔法を放っている。
ここに来て最上位を詠唱破棄ってか。
幻影体で回復しながらだ。
俺たちの中で一番リルムが常に魔法を使っている。
アイテムで回復しているけど、魔力切れが心配だ。
(ディアナ)「はい、つまり、贄というか、代償というか。魔王は発動前に回復を犠牲にしたわけです」
(アレン)「使いたくても使えないでいいんだよな?」
(ディアナ)「・・・」
完全に詠唱モードに入ったな。
頃合いだな。よし、行くか。
(アレン)「キャナル、行けるか?」
(キャナル)「待っていたぜ、おら、全力でいくからな、あんちゃん、あたいに構わずぶっ放せよ?」
俺は静かに頷き、両手に魔力を込め、本を読むかのような位置で待機。
左手には【・・・大いなる風神、アイオロスよ、荒ぶる大気に依りて、その力を示せ・・・さすれば聖なる刃となりて全てを切り刻め】
アイオロスブレード。
そうしているうちに、魔王の硬直も完全に解け、
セニア、ミチルが、ふっ飛ばされた。
来た!これは合図だ。
キャナルが巨竜に姿を変え、尻尾で魔王を捉えながら、
自らの尻尾ごと構わず踏み潰した。
ダメージは与えられないものの、
圧倒的な質量に流石の魔王も成すすべはない。
・・・十分だぜ、キャナル。
右手からは
【偉大なる雷神トールよ、粛清の如き猛々しい怒りに依りて、その力を示せ・・・さすれば天帝の意思で全てを破壊つくし新たなる世界を刻め】
トールハンマー。
2つを頭の中で詠唱し、魔力を込める。
(魔王)「な、なんだと?最上位放ったばかりでまた2つ!?」
俺を一瞬見た時点でお前の負けだよ、魔王。
(ディアナ)「二つ目、行きます!【ソウルドレインレイズ】」
ディアナが魔法名を言い放った瞬間。
俺に向けて、リルム、ディアナ、ミチルが手をかざす。
ディアナ以外の二人が膝を着き、肩で息をする
力が溢れてくる。立てないようだ。
俺はピキピキと体中の血管が破裂しそうだ。
体がアツい。心臓もぶっ壊れるくらいの鼓動を出している。
『行けっ!』
皆の意思が頭の中で響く。
ふっ、お前ら、最高だぜ!
よくぞここまで成し遂げてくれた。
大好きだぜ。
(アレン)「【アイオロス・トール、手を取り合い、全てを無に還せ!『グランドクルス!』】」
これが俺、クルスレンが編み出した必殺技の一つ。
クルスと自分の名を冠した完全オリジナルだ。
ゴッド系最上位の合体魔法。
風の白と、雷の紫が混じり合い、
乳白色を帯びた藤色になる。
渦を描き、稲光を帯びながらさらに交じる。
すると、魔力は完全に透明になった。
魔力同士がぶつかり合い、激しくスパークする。
莫大な魔力がそこにある。
無属性となった魔力は十字架の形となり、暴力的に無慈悲な破壊の力を込め、
神速で魔王に接近。
キャナルが全体重で抑えている今、これは避けられん。
代わりにキャナルの足と尻尾ごとぶった斬ることになるが。
(魔王)「ば、馬鹿な!雷と風を合わせるだと!くっ、耐えてみ・・・」
どんな刃でもほとんど傷つかない頑丈なキャナルの右足もチーズのように切れ、
さらには魔王が魔力で作った壁ですら紙のごとくに十字に引き裂かれる。
(魔王)「ぐ、ぐわぁぁ、み、認めん、魔王たる余が・・・ぐわぁぁぁぁぁぁあ!」
これは耐えられるわけがない。
グランドクルスは俺だけでも放てるが、
十分に威力を底上げするために、
ディアナが【ソウルドレインレイズ】を使っている。
これはドレイン対象のステータスを全てを1にし、
その分をレイズ対象に乗せる魔法だ。
勿論、さっきの【マナ・コネクション】も含めて裏ワザの類だ。
が、実際にゲーム中で使い勝手がいいわけではない。
継続時間は10分くらいしかないし、莫大な魔力を使う。
更にはレイズ対象には体の負担があるが、
今の俺たちには効果は有り余るほど絶大だ。
つまり、今、【グランドクルス】は、俺、リルム、ミチル、ディアナの魔力を基板とした威力になっている。
(魔王)「ば、ばかな・・・。ぐふっ」
魔王を十字に切り刻んだ魔力はそのままサルトベルグ城まで破壊したのだった。




