守りたくても守れない
天音
「何か、飲む?」
祐希
「ううん、いい
天音、ここに座って?」
リビングのテーブルを挟み、天音は真向かいに座った
祐希はそこじゃないよと言わんばかりに
自分の隣の床をぽんぽんっと叩いた
天音は祐希の隣に座り直した
なんの音もしない静かな部屋に
祐希のため息がもれた
祐希
「天音…天音が飲み会行きたくなさそうにしてたのってこれが理由?」
天音小さく頷く
祐希
「様子がおかしいと思ったんだ
飲み会に行きたいタイプではないのはわかるけど
なんかね、それとは違う理由がありそうだったから」
(そっか…だから迎えにきてくれたの?…)
天音は黙って俯いた
祐希
「天音…そういうの言っていいんだよ?
セクハラは…まぁ言いにくいとは思うけど
話してくれなかったら
俺、天音を守りきれない
話してくれれば、できることもあるけど
口にしなければわからないこともあるからさ」
そういって祐希は天音を優しく見つめた
祐希
「ねえ、天音
お説教のように聞こえたらごめん…
でもこれからの二人にとっても大事なことだと思うから、少し聞いてもらってもいいかな?」
天音
「うん…」
祐希は天音の肩を抱いた
祐希
「天音は一人でさ、辛かったり悲しい時、誰にも気づかれないようにしてるつもりかもしれないけど…
天音を大事に思ってる人にはわかるんだよ?
言えないのもわからなくはない
でも、言わないって、ある意味そんな大切な人たちのことも信頼してないっていうことにもなる…
それって…辛すぎない?
天音は子どもの頃から真面目で不器用で…
誰にも弱音を吐かない…思いやりがある子だったんだろうなって思う
でも…時には人を頼ることも
信頼を築いていく上では大事だと俺は思うんだ
弱い部分とか泥臭かったり、嫌なところも見せ合うことができるっていうことも
本当の意味で良い関係を築くためには大事なんじゃないかな…」
天音の目からとめどなく涙が溢れた




