ケーキと下心
天音はひとまずソファに座り込んだ
疲れた訳ではないが
ちょっと気持ちを鎮めたかった
(すっかり水瀬さんのペースに巻き込まれてる感じだけど…嫌というわけではないこの感覚…なんだろう…)
流石にお腹が空いてきた
時計はまもなく19:00を指す
今日は湯豆腐なので
サクッと作って
サクッと食べて
お風呂入って
本の続きでも読もうかな…
天音はキッチンへと向かった
。
。
。
湯豆腐を食べながらふと思い出した
(そういえば、麻央からLINEきてたっけ)
麻央LINE
『まだ行けるかわかんないんだけど、できれば今週中にこの前の忘れ物取りに行っていい?
多分夜になると思うけど…
まあ、また連絡するね』
(あ、そうか
そうだったよね…)
天音LINE
『うん、いいよ
ちょっと話したいこともあるし…
そう書きかけて
話したいことって水瀬さんのこと?
自分で打っておいて自分に確認する天音
いや、これは言わないでおこう
ひとまず
『うん、いいよ
またその日に連絡して
荷物、用意しとくから
遅くてもいいけど気をつけてきてね』
そう、返信した
食事の片付けを済ませ
お風呂に入ろうかなと思って腰を上げた
その時…
(ピンポン)
玄関のチャイムが鳴る
こんな時間に誰だろう
そう思ってインターホンをみると
……祐希だった
(なんだろう?)
不思議に思いながら玄関ドアを開けると
祐希が何かを後ろ手に持ち、立っている
天音
「はい、どうかしました…?」
祐希は後ろに隠していたものを
さっと天音に手渡した
天音
「こ、これって…」
祐希はふふんと得意げに笑っている
「ケーキじゃないですか!?」
祐希
「遅くなったけど…
お誕生日おめでとう!
俺からのプレゼント…」
天音は
驚いたが
さっきコーヒーショップでの会話を思い出した
祐希
「趣味、お菓子作り…だから
すぐにできることといえばこれくらいしか思いつかなくて…」
天音
「すごい!これ、さっきのブドウ?
ツヤツヤしてて
美味しそう♡
凄く嬉しいです!」
今まで見た中で一番の笑顔だった
祐希はこの笑顔を見れただけでも作った甲斐があったと思えた
天音
「あの…散らかってるけど
良かったら…一緒に食べてくれませんか?」
祐希は一瞬びっくりした
ここまでは想定してなかったからだ
予想外の展開は、嬉しかったが
即答しては
なんだか下心があって持ってきたように
思われないか急に心配になった
祐希
「すごく嬉しいけど…いいの?
上がっても」
(あ…自分から彼氏でもない男性を
家に誘うなんて
もしかして下心あると思われる?)
天音
「いえ、その…
こんな美味しそうなの一人で食べるのはもったいないなと思いまして…
ちょうどコーヒーも淹れたとこだったし
誕生日ケーキだし
その…」
いろんな言い訳を並べた
祐希
「あはは、じゃあ遠慮なくお邪魔させてもらうね
ちょっと一度部屋戻ってからくるよ
服に小麦粉とかついてるからさ」
天音
「はい、じゃあ待ってますね」
お互いに少し恥ずかしさを感じた時間だった




