RTA?1
ゲーム開始。開始と同時に慶斗は消えた。エリルドの影にもう居たのだ。影で作った鎌で裾を連続で切りつける。エリルドはすぐ抜け出したが、切り傷ができ血が垂れる。
「おい、大丈夫か。もう既に喰らってるぞ。「影身」!」
慶斗の周囲から影で作られた快斗そっくりの人が現れ、ヴァンを襲う。しかし——。
ザザッ。
「ッ!」
飛び散ったヴァンの血が形を変え、鋭い刃となった。慶斗は後ろに蹴り出したが、脇腹をかすめた。
「めんどくさいカウンターだな。なら……」
慶斗は両手で空を包み、中にできた影から漆黒の球体が作られる。それは、全てを飲む込むくらいに。
しかし、ヴァンも黙って突っ立っている訳ではなかった。
「そっちがその気なら、こっちだってデカイのやってやるよ……!」
ヴァンの背中から流れる血が再度変形し、大きな翼になり上空へ羽ばたく。ヴァンはわざと腕に切り傷をつけ血を流し、その血は気化し雲のようになった。そしてそこから降ってきたのは——、大量の刃。
「無駄だ。この前の人影のときは打てなかったが、今なら……」
包まれた球体がヴァン目がけて放たれた。
「幻影 ブラックホール」
豪雨のように降り注ぐ刃は、すべて球体に飲み込まれた。そして、雲自体も。球体は、飲み込むほど大きくなる。ヴァンは慌てて回避した。
「それだけじゃないんだよな」
慶斗がそう言うと、巨大な球体は突然小さくなり、ヴァンの方へ再度突撃した。
「……えっ」
なんと球体から、それまで飲み込んでいた刃をすべて吐き出した。自ら出した攻撃を、そのまま返されてしまったのだ。
——ヴァン・ライトパープル。強制送還——
アナウンスとともにヴァンは元の世界に帰った。
「な、なんなの……あいつ……」
「ヴァン!!!あいつ……!あ、マズイ」
エリトは佳逸の前から突然姿を消した。
「消えた……?移動系の能力か?でも気配ごと消えてる気が――」
佳逸の背後にエリトが現れた。佳逸は躱し、数回切りつけた。再度エリトは姿を消す。
「うぜーなー。まあそういう能力なんだろうけど」
現れては姿を消す、それを繰り返しているだけ……。しかし、佳逸はエリトを気絶させることは難しい。佳逸の攻撃はダメージが低いからだ。
「あいつをやるには、一瞬のうちに高火力を与えないといけない」
佳逸は大きく深呼吸し、棘のついた鉄球と小さい爆弾を持つ。全神経を集中させ静かにエリトを待った。
そして、ついにその時が訪れた。
「輪回結核 爆華!」
背後に現れたエリトに対し、目にもとまらぬ速度で振り向き、重い打撃、斬撃を浴びせた。
「い、いつの間に、攻撃を……」
――エリト・スカイブルー、強制送還――
「エリトも早いね」
「あれは確かに速かった」
「そっちじゃなくて」
ものの数分で、二対二の戦いになった——。




