闇の討伐劇
こんにちは、光哉です。
慶斗です。
「「……」」
「……おーい」
「何ー」
涼香から声をかけられたが、どうせロクなことじゃない。
「最近ここらで魔物の目撃だってよ」
「俺らに行けと?」
「イエス」
手でグッドをしてニコニコする涼香に対し、もちろん俺らはブーイング。
「やだよそんなの、めんどいし」
しかし、
「えーそんなこと言わないでよ、行ってくれって。相手も夜ににしか出現しないから慶斗にとっちゃ絶好のチャンスなんだよ」
夜……闇、陰影が能力の慶斗が活躍する時間帯だ。しばらく考え、慶斗は答えた。
「分かった分かった。行くよ」
「マジ?しゃっ」
ガッツポーズをして涼香は去っていった。
空は完全に黒に覆われ、漆黒の雲は月をも隠す。討伐の時が来た。魔物を探し回る……が……、
「やっべ、具体的に何処に出現するか聞いてねぇ」
慶斗、痛恨のミス――。
「クッソ、家まで戻んのめんどくさいし、かといってここら辺ウロチョロするのもなー……。……あ」
迷っているなか、慶斗は呟いた。
「コイツなら、多少希望はあるだろ」
その直後、地面の影から獣のような生物がぬるりと現れた。
「「影獣」。そこら辺に居座ってくれ」
生物、影獣はテクテクと歩き、慶斗の指した方で止まり座った。そして放置。ずっと、ずっと、ずっと――。
フウゥゥゥッ――。
突然、影獣のいた方で風が吹き抜けるような音がした。慶斗はその方を見ると、そこには人影が見えた。
「おっ、やっときた。釣りみたいな感じでほんと暇だった。こんな風になるなら正直に家に帰ってから来ればよかった」
どうやらその人影は、影獣を喰おうと思い出現したのだろう。影獣は出力を常に周囲に気づかれるほど解き放っているので、よりおびき寄せられたのだ。
「……ナンダ?ニンゲンでハないノカ……?」
少しカタコト混じりな日本語を話し、影獣の前に留まる。
次の瞬間――。
ジャキンッッ。
人影の左腕の肘から下が空を舞った。影獣が鋭い爪で切り裂いたのだ。
「あ」
慶斗はそれを見て慌て、影獣を消滅させた。影獣は塵になるように崩れ、再び影へ消え去った。
「そうだった。襲いかかるの防ぐべきだったわ。こいつが本当に被害を出してるやつかは確証ないし」
慶斗は焦っている人影に問いかけた。
「率直に聞く。お前、ここらで人、殺してるか?」
そして人影は、
「殺しテル、とイったラどうするつもりダ……」
「もちろん、「討伐」するに決まってるだろ」
慶斗はどこからみても子供だ。しかし、人影は慶斗から感じる多少の出力に重みを感じた。
(サッキのあのケモノ……コイツが出したノカ?一切気配がナカッタ……)
「チッ」
人影はまた影の中へ沈もうとする。
「これでお前が犯人かハッキリした。逃がすかよ」
突然、慶斗の方が影へ沈んだ。姿が完全に見えなくなり、人影はさらに戸惑う。その瞬間、そのたった少しの戸惑いが生死を分けた。
ゴオォッ。
人影の首が跳ねとんだ。人影は一瞬遠くにある自分の身体へ視線を向けた。その時、予想も出来ない光景が目の前にあった。
慶斗がいたのだ。右手に、大きな暗い紫色の鎌を持っている慶斗が。
(ナ、ナンダ!?地や空が回転してイル!?まさか、刈ラれたというノか!ニゲオクれた、最初からイシツな空気を感じていた……やはりタダのガキではナイ……!)
段々と人影の身体は崩れていく。胴、足、腕、首……。そして最後には頭までもが灰となり真っ暗な空へ散った。
雲が動き、月が顔を出す。
「時間かかっちまった。早く帰ろ――」
「ハアァ……、アイツがやられるとはなァ……」
「ッ!?」




