御神体
「ってことがあってさー」
「今までのやつとはレベルが違うな」
家に帰った涼香はクロムとの戦いをみんなに話した。
「でも……もう一度その場所を調査してみない?」
華佗が口を開く。
「そんなところに縄張り張るくらいだし、それほど守りたい物があるんじゃない?」
その意見は一理あった。そしてみんなは頷き、もう一度行くことにした。
「来てみたけど……」
そこは、ただ木々に囲まれているだけで、とても人の気配のない静かな場所だった。葉が風でなびく音や鳥のさえずりがうるさく感じるほどに。しかし、そんな場所にも一つ小さな空き家があった。見るからに古く、壁が蔓で敷き詰められている。入るにはとてもではないが覚悟が必要だ。
みんなは意を決して中に入った。もちろん生活の雰囲気は感じられず、そこら中にホコリや蜘蛛の巣が張り巡らされている。そもそも木が腐っているため、穴ができたりドアやテーブルが割れてしまっている。
「ん?この壁だけ、なんか新しい気が……」
華佗が呟く。その壁のドアはたしかに古くは見えず、軽く叩いてみても虫に喰われたりはしていないようだった。みんなは華佗の方に集まり、そのドアをゆっくり開ける。
「こ、これ……何……?」
その部屋はとても綺麗で、床、壁、天井すべてが藍色の鉄で出来ておりヒンヤリしている。そして何より、部屋の中央に人一人入れる程の大きさのカプセルがあった。そのカプセルはガラスでできていて、水色の液体で満たされており……。
「女の子……!?」
華佗たちと同じくらいの歳の、長い金髪の女の子がいた。
「本当に何これ……?漫画でしか見たことない危ない実験ってやつじゃ……」
クロムが空き家周りを縄張りにしていた理由は、この女の子を実験か何かするためだったのだろう。華佗はカプセルに触れる。
(この子、どっかから拉致でもしたのか……?それとも、能力かなんかで一からつくった……?)
そのときだった。
ピシッ!
ガラスに亀裂が入る。
「……え?」
パリィィインッ!!
そのカプセルは、儚く砕け散った。
中の液体が勢いよく流れ出て、例の女の子も放り出されるように華佗の足元まで転げた。
「何してんのマジで!?」
佳逸が汗を吹き出し声を荒らげた。
(華佗、流石に割んなよ……。でも、華佗がガラスに触れた時、なんか魔物みたいな気配を感じたような……。しかも、とてつもない出力……)
「え!?いや、ただ触っただけだって!」
華佗たちが口論している中、女の子がゆっくりと身体を起こした。
「……あ」
みんな言葉が上手く出ず、沈黙がしばらく流れる。女の子は激しく咳き込んだ。液体に浸されていたためだろう。
(てゆーか、この子裸じゃん……!!色々ヤバいし、風邪引くかもだし……!)
息を整えて、女の子は華佗をじっと見つめた。
「な、何……?」
華佗は女の子を直視できず目線は他の場所だが、華佗は急に見つめられて困惑した。戸惑う華佗に追い討ちをかけるように、女の子はにっと微笑みこう口に出した。
「はじめまして!お兄ちゃん!」
……。
「はあああああ!!??」




