観察力が5倍になる能力
今日は何作ろっかな〜
ハンバーグ?冷蔵庫にひき肉ないしな…
カレー?一昨日食べたばっかりか…
トンカツ?油の処理めんどくさい…
冷蔵庫、何かあったっけ?
なんもねぇ〜…
確かカレー用に買ったにんじんとじゃがいもは残ってるはずだけど。あ、やば、そういや米がないや。
今から米買いに行く?
無理無理。もう外真っ暗だし
確か、パックのご飯はあったはず。
冷蔵庫の野菜室にあるにんじんやじゃがいもを押し除け、奥の奥に眠っていたパックタイプのご飯を引っ張り出す。
米はこれでいいとして、メインはどうするよ。
なんにせよ、九時までには作り終えなきゃ
あれ?スマホ、どこ置いたっけ?
あ、あった。
スマホを手にした途端、真っ暗だった画面がふっと光だし、時計が表示される。
え?8時45分!?
思わず机の上に置かれた小さな時計でセカンドオピニオン、確かに8:45と表示されている。
ゆっくり晩御飯を考えてる場合じゃなかった。
まずは、パックを電子レンジに放り込む!その間に、カップラーメンの用意しなきゃ、9時前だし、まだギルティータイムにはならない、はず。未来の自分の体重が多少増えるだけ、そう決心しカップ麺を迷わず戸棚から取り出す。ポットだと沸騰まで時間かかりすぎる…鍋で強火かけたほうが早く終わるかな?
って、もう48分じゃん!
やばいやばい、ここからラーメン3分待たなきゃいけないの?食べる時間ないよ〜
え?てかこれ5分のタイプじゃん!
しかも粉末スープ!?
苦手なんだよ、こういう小さい袋開けるの。今回はこぼしませんように…
あっ…
「ってことがあってさぁ、マジでこちら側のどこからでも切れますってやつ、切れるのはいんだよ、切れるとこまでは。もっと綺麗に切れてくれないかな…」
「ふふ、キレてるキレてる。なんか瀬川ちゃんらしいな」
「僕らしいって、ななちゃんは僕にどんなイメージ持ってるの?」
「おっちょこちょい?」
「いや、どちらかといえば、ななちゃんの方がおっちょこちょいだよ。」
「ほぉからぁ?」
「あら、そろそろ眠くなってきた?」
「眠い」
「じゃあ、宴もたけなわですがそろそろ終わりますか。」
「おやすみー」
パソコンの電源を落とした途端自分の顔が反射する。隣に置いてある時計を見ると11時を回っていた。
通話時間二時間。僕ももう寝ようかな、その前にこのゴミ片付けないと、そういや洗濯機も回してない。いや、でも明日着る下着くらいはまだあったはず。シャワーも浴びてない…いいや全部明日やろ。
明日は何がなんでも早起きせねば、ソファで寝れば寝心地の悪さで早く起きれるとかないかな?ついでに服も脱いどけば寒さでも起きられるんじゃね。完☆璧。
ななちゃんと電話するようになって約六年がたった。
通話時間に遅刻したことは両手で数えるほどしかしたことがない。
危うく今日数えられなくなるところだったけど…
九時ごろになったらパソコンに向かって今日あったことや明日のことなどを話す日々
きっかけはなんだったか、もう思い出せないけど。
ただあの頃は、ななちゃんと電話をすることだけが自分にとっての救いだった。
それだけは今でも鮮明に覚えてる。
まぁ救いであることは今も変わらないか。
あぁ、寂しい。
ななちゃんとの通話が終わって眠りにつくまでのこの時間が嫌いだ。
さっきまで楽しかった分、急に孤独を叩きつけられたみたいで心細さや、寂しさがいつもの何倍にも増幅されて僕を襲う。
早く寝たい。寝れない。あれ?薬、どこやったけ?えっと何錠だっけ?何錠でもいいか寝られたら。
もうななちゃんは寝たかな?
僕ももうすぐ寝るからね
一緒に、寝よう…
「おーい、起きて」
ん?
「起きてってば」
なに?
子供の声?
まぶたが重い、まだ少ししか目を開けられない、でも確かに人影っぽいのは見えた気がする。しかもだいぶ小さかった。
「起きたみたいだね?」
えっと?家のソファで寝ようとして…寝たはず。じゃあこれは夢?誰、この子。
夢にしては妙にリアルだし。何より意識がある。珍しっ
「あっ」
喋れた。
「こんにちは?今何時くらいなんだろ?」
明晰夢なんて久しぶり、どうせならななちゃんが出てきてくれたらよかったな。
目の前に広がる景色、見覚えありすぎる。同じ形の机がずらっと並んで、正面の壁には大きなホワイトボードがあって、両サイドの壁には大きな窓がついてる。だけど、外の景色は真っ白で何も見えない。
完全に高校の教室だ。
ただ目の前の少年だけが高校の教室に似つかわしくない。
「まぁ、まずは座りたまえよ。君の席は確か、窓際の一番後ろの席だったね」
教壇の上に立った少年は、自分の席に座ることを促してくる。
随分と上から目線な子供、僕も別にそんな偉いわけじゃないけどさ…
言われた通りに椅子に座ると、座り慣れた席から見渡す教室は想像以上にしっくりきた。
さっきの少年が喋り出す。
「突然で申し訳ないが君には殺し合いに参加してもらうことになった。」
よりにもよって明晰夢で悪夢か…
「だが安心してほしい。君には一つ特殊な能力を与えてあげよう。」
そう言って何かを考えるように手を組み、目を閉じ始める。
すると、すぐに目を見開きニヤニヤと笑い出す。気持ちわる。
「お前の能力は、観察力が5倍になる能力。なんてのはどうだ?」
ふふっ?僕いま、話の流れ的に『観察力が5倍になる能力』で殺し合いをさせられそうになってる?
「おぉ、話しが早くて助かる。さっきのやつもそうだったが、案外みんな理解力がいいなだな」
「無理。」
「残念、もう決まったことだ。」
やっぱりキモい、あと普通に心の中で考えてたことに対して反応してこないでほしい。
「それは悪かった。」
「はぁ……」
「何か質問はあるか?」
目の前の少年は何かしらの質問をしてほしように目を輝かせている。
腹いせに現状思いつくだけの質問を投げつけられるだけ投げつけてやることにした
「オレ?神だよ」
「ここはどこか?さぁ?オレにもわからない」
「そりゃ神にだってわからないことぐらいあるよ」
「好きな食べ物は福神漬け」
「だって下界の食べ物食べたことないし、名前が一番似てるから好き」
「それは、君を参加者にするのが面白そうだと思ったから」
「君以外の参加者?今んとこ一人にはもう声かけてて、これからあと二人ぐらいって感じかな」
「うん、君が最後まで生き残ってたら勝ち。制限時間はないよ」
「それは教えられない。まあ、強いて言うならみんな君と同じように特殊な能力を持っていることかな」
おかしいな、さっきから胸騒ぎが収まらないや。夢だってわかってるはずなんだけどな、、
「君は賢いからね、最初からわかっていたはずだよ?これが夢じゃないってことくらい」
こんな夢早く覚めて、嫌、怖い、誰か、ななちゃん、たすけて、、、
「オヤジ!生きとりますかい?オヤジぃ!」
ななちゃん、助けて、ななちゃん、ななちゃん、いたい、いたいよ
「しっかりしてくだせぇ、オヤジはこんなところで死ぬようなお人じゃあないでしょう!」
「なな…」
「7がなんですか?どうしたんですか?オヤジ!」
空が明るい。スーツに身を包む柄の悪い男。柄の悪い男は僕のことをオヤジと呼ぶ。綺麗なスーツに似合わない赤い斑点模様。腹の辺りがじんわり熱い。今、左手に持ってるのは…拳銃か。花火大会の後みたいな匂いがする、火薬の匂い?撃たれた?僕は撃たれてるのか。鉄くさいなぁ。寒い。
確か、ソファで寝てて、神にあって。確か殺し合いをするって。胸も髪もない。男の体?。
なるほど。
僕は、神の開催した殺し合いに参加させられて能力を与えられて体を変えられて、どこかの組長にでもなったのかな。




