外伝・その三十(三十話記念巨大経済無双編):天竺国営最高級白木綿の欧州電撃投入令と、織田東インド商会が成し遂げた衣類覇権の完全ハメ殺し
国営空中飛脚によって地球上のすべての情報の死角を完璧にハメ殺し、大奥での怒濤の月見団子千個手拾いをも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、晩秋の肌寒い風が城下を優しく包み込むなか、全人類の衣服と繊維の歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の超巨大経済無双へと向けられていた。
元平の御世、南洋諸島、そして天竺の先回り国営化を完遂していた新政庁は、今や地球規模の巨大な繊維生産網を完璧に掌握していた。現地の民を最高待遇の固定給で人道的に強制雇用し、二一世紀の自動紡績知識、ならびに一分の狂いも無い徹底した品質管理技術を同期させたことで、現地で計画栽培された至高の綿花から、軽くて丈夫、そして絹のように滑らかな肌触りを持つ『国営最高級白木綿(高級コットン)』を量産することに大成功を収めていたのである。
信長はこの至高にして圧倒的な「暖と美の富」を用い、重くて洗いにくい麻や羊毛の衣服に悩み、不当な搾取と奴隷労働によって高価な繊維取引を行っていた欧州の市場を戦う前に盤上で完全にハメ殺す、至高の経済大計略を発動した。
「ーー信長様! 織田東インド商会の欧州総局(ロンドン・マルタ島拠点)より、一分の狂いも無い確実なる電信が入電! 天竺の国営自動紡績場から新型発動機船で直送された、極上の最高級白木綿が欧州市場へと十割完全に同期(上陸)。その圧倒的な白さと軽さ、そして南蛮の旧式なギルド(繊維商組合)の十の一という適正価格の前に、欧州の旧式な繊維利権が戦う前に経済的に盤上で完璧に詰まされ、欧州の王侯貴族や全平民たちが、泡を吹いて平伏しているとのことです」
内政副総裁の直虎が、欧州から逆流し始めた天文学的な純金貨の一文の狂いも無い交易帳簿を抱え、興奮のあまり大粒の涙を流して報告した。
信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻して世界地図の前に立った。
「うむ、直虎よ。本来の歴史であれば、南蛮の欲深き覇権国どもが独自の過酷な植民地支配(ブラック環境)を稼働させ、現地民の職人たちの手首を切り落とすような非道な掠奪で綿花を独占し、世界を支配するはずであった。だが、我が新政庁が先回りして現地の民を笑顔の固定給で強制雇用し、二一世紀の工学知識で量産した『完全白化の至高の白木綿』を市場に投げ込んだことで、欧州の不当な独占組織は戦う前に根底から完全にハメ殺されたのだ」
欧州の平民から王侯貴族にいたるまで、織田東インド商会がもたらした国営最高級白木綿は、またたく間に「神仏の羽衣」として狂気的な大流行を巻き起こしていた。ひとたびその衣服に袖を通せば、肌を刺す麻の不快感など戦う前に一瞬で消滅し、汗を吸い、洗濯も容易な圧倒的機能性に脳内が百パーセント支配され、これまでの重くて粗悪な南蛮の衣服など戦う前に児戯に等しいと、誰もが織田の衣服の虜となったのである。
「な、何ということだ……! この木綿の純白な美しさ、そして絹のような滑らかさは一体何なのだ!? 一糸の狂いも無い完璧な紡績、そしてこれが現地民の血や涙のない優良な環境(週休二日制)で育てられたという奇跡……! 欧州の全財産(純金貨)を差し出してでも、織田の白木綿を買い求めるしかない! 織田東インド商会、マジ神仏……!」
南蛮の王たちが涙を流して織田の契約書(国営白木綿・世界独占流通条項)に平伏するなか、織田の圧倒的な「未来技術・適正価格・ホワイト雇用」の流通の前に、欧州の経済主導権は、戦う前に一枚の白い衣服の前に完璧にハメ殺されるのだった。
ーーその頃、地球規模の巨大な衣服経済無双を完璧に詰ませ、世界の民から「繊維の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。
世界の衣服環境の完全白化という偉大なる計略を記念すべき大台で見事成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして甲斐姫らが、植物園で収穫されたばかりの世界中の極上蜜芋を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。
「信長様、お帰りなさいませ。天竺国営最高級白木綿による未来の欧州繊維ハメ手、誠に見事な計略にございました。さあ、今夜は大奥一同、肌寒い晩秋の夜に黄金の温もりを楽しむ『晩秋の国営焼き芋大会』の熱戦を執筆(開催)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および秋の安息の規律に基づき、十割温かい長椅子の奥から動かなくなった我らのための、大量の落ち葉集め、一分の狂いも無い『火加減のからくり温度管理』、ならびに深夜の炭火の完全消火と広大な庭園の燃えカス拾いの交代制職務、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」
帰蝶が最高の笑顔で、すでに真っ黒に燃え盛る大量の炭火の山と、一分の狂いも無い手拾いでの燃えカス回収指示書を信長に手渡した。
「ま、待て……! 余は今、純白の木綿で欧州の王たちを衣服から完璧にハメ殺し、南蛮の富を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、長椅子から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、冷え固まった炭の粉を落とすために広大な庭園を一分の狂いも無い手拾いで四つん這いになって這い回り、炭火を消して回るという過酷な単独職務に奔走せねばならぬのだ!」
信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、黄金色に輝く蜜焼き芋をハフハフと美味しそうに頬張りながら笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。
「太政大臣たるもの、欧州の繊維利潤を精査する前に、まずは身内の晩秋の一分の狂いも無い安全環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一粒の火の粉の消し残しも許されぬ手拾いの激走、お励みください!」
英国王女も「ヤキイモ、マジ神仏! ノブナガ様、お火消しよろしく!」と、お口をモグモグさせながら完璧な笑顔を見せている。
「世界をハメ殺すより、深夜に一人で大奥の焼き芋の炭を消す方が十割むずかしいわ! というか、焼き芋の香ばしい匂いでお腹が空くではないか! 余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと晩秋の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を新型発動機船の速度で持ってきてぇーー!!」
昼間は冷徹に地球規模の繊維流通を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる秋の規律の前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で庭園をピカピカに清掃する覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、至高の焼き芋を美味しそうに楽しむ妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのでであった。
(外伝・その三十・三十話記念巨大経済無双編・完)




