外伝・その二十六(超巨大経済無双編):天竺国営香辛料の欧州電撃投入令と、味覚を人質に取られた王侯貴族をハメ殺す織田東インド商会の交易完全独占
地球規模の気象観測網で台風(大嵐)の脅威を完璧にハメ殺し、大奥での夜桜お花見大会の深夜の灯籠点火と花びら掃除をも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、初夏の力強き陽光が城下を黄金色に染めるなか、世界の食文化と財政の歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の超巨大経済無双へと向けられていた。
元平の御世、外伝八において天竺や南洋諸島の先回り国営化を完遂していた新政庁は、今や世界の香辛料覇権を十割完全に掌握していた。現地の誇り高き民を最高待遇の固定給で強制雇用し、二一世紀の農業・植物知識を一分の狂いも無い精度で同期させたことで、現地で計画栽培された至高の胡椒や丁字といった国営香辛料の収穫量は、世界最高峰の品質と規模へと達していたのである。
信長はこの潤沢にして圧倒的な「香りの富」を用い、肉の保存と味付けに飢える欧州の市場を戦う前に盤上で完全にハメ殺す、至高の経済大計略を発動した。
「ーー信長様! 織田東インド商会の欧州総局(ロンドン・マルタ島拠点)より、一分の狂いも無い確実なる電信が入電! 天竺および南洋の国営農場から新型発動機船(重油動力船)で直送された、極上の『国営亜細亜香辛料』が欧州市場へと十割完全に同期(上陸)。そのあまりの香りの高さと、他国の十の一という安価な適正価格の前に、南蛮の不当な香辛料独占権が戦う前に経済的に盤上で完璧に詰まされ、欧州の王侯貴族や豪商たちが、泡を吹いて平伏しているとのことです」
内政副総裁の直虎が、欧州から逆流し始めた天文学的な純金貨の一文の狂いも無い交易帳簿を抱え、興奮のあまり大粒の涙を流して報告した。
信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻して世界地図の前に立った。
「うむ、直虎よ。本来の歴史であれば、南蛮の欲深き覇権国どもが独自の不当な奴隷貿易(ブラック環境)を稼働させ、過酷な略奪で香辛料を独占して世界を支配するはずであった。だが、我が新政庁が先回りして現地の民を笑顔の固定給で雇用し、二一世紀の品質管理で量産した『完全白化の至高の香辛料』を市場に投げ込んだことで、欧州の旧式な流通網は戦う前に根底から完全にハメ殺されたのだ」
欧州の王侯貴族たちの間で、織田東インド商会がもたらした国営香辛料は、またたく間に「神仏の香粉」として狂気的な大流行を巻き起こしていた。ひとたびその香辛料を肉料理に振りかければ、粗悪な肉の臭みなど戦う前に一瞬で消滅し、刺激的な美味さと圧倒的な風味に脳内が百パーセント支配され、これまでの高価で質の悪い南蛮の香辛料など児戯に等しいと、誰もが織田の味覚の虜となったのである。
「な、何ということだ……! この胡椒の香ばしさ、そして丁字の深みは一体何なのだ!? 一粒の狂いも無い完璧な精製、そしてこれが現地民の乱獲や虐殺のない優良な環境(週休二日制)で育てられたという奇跡……! 欧州の全財産(純金貨)を差し出してでも、織田の香辛料を請い願うしかない! 織田東インド商会、マジ神仏……!」
南蛮の王たちが涙を流して織田の契約書(国営香辛料・世界独占流通条項)に平伏するなか、織田の圧倒的な「未来技術・適正価格・ホワイト雇用」の流通の前に、欧州の経済主導権は、戦う前に一皿の美味なる肉料理の前に完璧にハメ殺されるのだった。
ーーその頃、地球規模の巨大な味覚無双を完璧に詰ませ、世界の王たちから「交易の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。
世界の完全白化という偉大なる計略を初夏のエキゾチックな無双で成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏み入れた瞬間、帰蝶、井伊直虎、英国王女、そして成田家から赴任してきた甲斐姫らが、安土城に本格的な初夏の暑さが到来したことに伴う「初夏の国営麦茶開き」の巨大なからくり釜を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。
「信長様、お帰りなさいませ。天竺国営香辛料による未来の欧州味覚ハメ手、誠に見事な計略にございました。さあ、今夜は大奥一同、国営氷室の氷でキンキンに冷やした香ばしい麦茶を楽しむお茶会を執筆(開催)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および初夏の安息の規律に基づき、十割炬燵(※夏は畳敷きの長椅子)の中から動かなくなった我らのための、大量の麦茶の一分の狂いも無い『国営釜での焙煎・煮出し・氷室からの氷切り出し』、ならびに深夜の数千個の茶器の手洗い片付けの交代制職務、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」
帰蝶が最高の笑顔で、大奥の床を埋め尽くす数千個のガラス製の茶器と、一分の狂いも無い氷の温度管理指示書を信長に手渡した。
「ま、待て……! 余は今、天竺の香辛料で欧州の王たちを胃袋から完璧にハメ殺し、南蛮の富を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、長椅子から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、冷たい井戸水とタワシを使って数千個の茶器を一分の狂いも無い手洗いで磨き上げるという過酷な単独職務に奔走せねばならぬのだ!」
信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、冷たい麦茶をゴクゴクと喉に流し込みながら笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。
「太政大臣たるもの、欧州の香辛料利潤を精査する前に、まずは身内の初夏の一分の狂いも無い清涼環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一器の狂いも許されぬ手洗いの激走、お励みください!」
英国王女も「ムギチャ、マジ神仏! ノブナガ様、お茶器お片付けよろしく!」と、氷をカランと鳴らしながら完璧な笑顔を見せている。
「世界をハメ殺すより、深夜に一人で数千個の麦茶の茶器を洗う方が十割むずかしいわ! というか、麦の香ばしい匂いで余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと初夏の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を天竺香辛料の速度で持ってきてぇーー!!」
昼間は冷徹に地球規模の経済流通を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる初夏の規律の前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で茶器をピカピカに清掃する覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、至高の冷やし麦茶を楽しそうに振り返る妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。
(外伝・その二十六・超巨大経済無双編・完)




