外伝・その二十四(超巨大衣類内政無双編):豪州国営羊毛の欧州電撃投入令と、寒波に震える王侯貴族をハメ殺す織田東インド商会の衣服完全独占
国営果実寒天によって大洋の食料腐敗(ブラック環境)を完全にハメ殺し、大奥での怒濤の豆腐木型百個洗いをも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、真冬の厳しい寒波が地球規模で猛威を振るうなか、世界の衣服と繊維の歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の経済地政学チートへと向けられていた。
元平の御世、先回り国営化を完遂していた広大無辺なる『豪州大陸』は、今や新政庁の巨大な繊維拠点へと同期(超進化)を遂げていた。現地の誇り高き民を最高待遇の固定給で強制雇用し、二一世紀の家畜品種管理と紡績知識を一分の狂いも無い精度で同期させたことで、極上の綿毛を持つ織田の国営羊(メリノ種)から刈り取られる綿毛の品質は、世界最高峰の温もりへと達していたのである。
信長はこの潤沢にして至高の「暖の富」を用い、寒波に凍える欧州の衣類市場を戦う前に盤上で完全にハメ殺す、至高の経済大計略を発動した。
「ーー信長様! 織田東インド商会の欧州総局(ロンドン・マルタ島拠点)より、一分の狂いも無い確実なる電信が入電! 豪州国営牧場から新型発動機船(重油動力船)で直送された、極上の『国営最高級毛織物(高級ウール)』が欧州市場へと十割完全に同期(上陸)。その圧倒的な暖かさと美しさの前に、南蛮の欲深き王侯貴族や豪商たちが、戦う前に衣服から完璧にハメ殺され、泡を吹いて平伏しているとのことです」
内政副総裁の直虎が、欧州から逆流し始めた天文学的な純金貨の一文の狂いも無い交易帳簿を抱え、興奮のあまり大粒の涙を流して報告した。
信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻して世界地図の前に立った。
「うむ、直虎よ。本来の歴史であれば、南蛮の国々が独自の不当な搾取工場(ブラック環境)を稼働させ、過酷な労働で衣類を独占して世界を支配するはずであった。だが、我が新政庁が先回りして豪州の民を笑顔の固定給で雇用し、二一世紀の品質管理で量産した『完全白化の至高の毛織物』を市場に投げ込んだことで、欧州の旧式な繊維流通網は戦う前に根底から完全にハメ殺されたのだ」
欧州の王侯貴族たちの間で、織田東インド商会がもたらした豪州毛織物は、またたく間に「神仏の衣」として狂気的な大流行を巻き起こしていた。一度その羽織を身にまとえば、真冬の寒波など戦う前に一瞬で消滅し、絹のような滑らかさと圧倒的な防寒性に脳内が百パーセント支配され、これまでの重くて粗悪な南蛮の毛織物など児戯に等しいと、誰もが織田の衣服の虜となったのである。
「な、何ということだ……! この毛織物の軽さ、そして暖かさは一体何なのだ!? 一分の狂いも無い完璧な織り目、そしてこれが現地民の乱獲や虐殺のない優良な環境(週休二日制)で育てられたという奇跡……! 欧州の全財産を差し出してでも、織田の衣服を請い願うしかない! 織田東インド商会、マジ神仏……!」
南蛮の王たちが涙を流して織田の契約書(国営毛織物・世界独占流通条項)に平伏するなか、織田の圧倒的な「未来技術・適正価格・ホワイト雇用」の流通の前に、欧州の経済主導権は、戦う前に一枚の温かい羽織の前に完璧にハメ殺されるのだった。
ーーその頃、地球規模の巨大な衣服無双を完璧に詰ませ、世界の王たちから「繊維の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。
世界の完全白化という偉大なる計略を真冬の安土で成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏み入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして甲斐姫らが、ほのかな初春の足音と共に訪れる「初春の国営雛祭り」の巨大なからくり五段飾りを前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。
「信長様、お帰りなさいませ。豪州国営羊毛による未来の欧州経済ハメ手、誠に見事な計略にございました。さあ、今夜は大奥一同、世界中の極上絹を用いた絢爛豪華な雛祭りを執筆(開催)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および初春の安息の規律に基づき、十割炬燵の中に潜って動かなくなった我らのための、巨大な雛壇の組み立て、一分の狂いも無い『数千体のお内裏様やお雛様の国営手洗い清掃』、ならびに深夜の全片付けの交代制職務、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」
帰蝶が最高の笑顔で、大奥の床を埋め尽くす数千体の精緻な雛人形と、一分の狂いも無い箱詰めの指示書を信長に手渡した。
「ま、待て……! 余は今、豪州の羊毛で欧州の王たちを衣服から完璧にハメ殺し、南蛮の富を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、炬燵から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、壊れやすい数千体の人形を一体の狂いも無く四つん這いになって手洗いで磨き、箱に詰めるという過酷な単独職務に奔走せねばならぬのだ!」
信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、雛あられを片手に笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。
「太政大臣たるもの、欧州の繊維利潤を精査する前に、まずは身内の初春の一分の狂いも無い節句環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一体の狂いも許されぬ手洗いと箱詰めの激走、お励みください!」
英国王女も「ヒナマツリ、マジ神仏! ノブナガ様、お人形お片付けよろしく!」と、炬燵の中で丸くなりながら完璧な笑顔を見せている。
「世界をハメ殺すより、深夜に一人で数千体の雛人形を箱に詰める方が十割むずかしいわ! というか、人形の顔を見つめているだけで余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと初春の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を豪州羊毛の速度で持ってきてぇーー!!」昼間は冷徹に地球規模の経済流通を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる初春の規律の前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で雛人形をピカピカに清掃する覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、至高の雛飾りを楽しそうに振り返る妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。
(外伝・その二十四・超巨大衣類内政無双編・完)




