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外伝・その二十三(至高の物流内政編):世界初たる国営寒天氷室のハメ手と、新大陸への超長期不滅食料輸送の大計略

天竺インドの国営紅茶で欧州の胃袋と財政を完璧にハメ殺し、大奥での怒濤の雪合戦防寒着乾燥をも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、晩冬の厳しい寒気が城下を白く染めるなか、世界の生存環境と海運の歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の物流内政チートへと向けられていた。


元平の御世、織田東インド商会の新型発動機船は大西洋やインド洋を無音・爆速で往来し、日ノ本と新大陸『東日の本州カリフォルニア』を結ぶ黄金の海運網は盤石の体制を誇っていた。しかし、当時の航海における最大の敵は、依然として「食料の腐敗」であった。真夏の赤道を越える長旅のなかで、新鮮な果実や肉はまたたく間に腐り、船員たちを過酷な壊血病や胃腸の病(ブラック環境)へと突き落としていたのである。


信長はこの生存の壁を突破するため、二一世紀の食品加工知識を完全同期。日ノ本の伝統的な海藻加工技術である「寒天かんてん」の強力な凝固作用と、計画植樹された赤松の『国営氷室ひむろ』を組み合わせ、世界初の食料革命組織ーー『国営長期保存食料総局ちょうきほぞんしょくりょうそうきょく』を設立した。


「ーー信長様! 畏れながら、真夏の灼熱の航海や大洋の往来でも十割絶対に腐らない不滅の携行食、ここに完成いたしました!」

長期保存食料総局の初代総裁に就任した近代官僚(柴田勝家ら)が、純白の割烹着を身にまとい、興奮のあまり大粒の涙を流して玉座の前に平伏した。


信長は不敵な笑みを浮かべ、総大総督の直衣を翻して安土の特設調理場へと降り立った。

そこには、新大陸や南洋から届いた瑞々しい果実の果汁を、国営寒天の力で一分の狂いも無い硬さに凝固させ、国営氷室の氷でキンキンに冷やし固めた見たこともない至高の琥珀色の甘味ーー『国営果実寒天ゼリー』が、黄金の器に湛えられていた。


「うむ、権六ごんろくよ。一分の狂いも無い見事な職人技であるな。南蛮の欲深き航海士どもが、蛆の湧いた干し肉や腐った木の実を齧り、飢えと病で過労死している数百年先の未来において、我が新政庁はすでに『半年経っても瑞々しい栄養ビタミンを摂取できる不滅の食料』を戦う前に盤上で完璧にハメ殺したのだ」


信長が自らその果実寒天を一口食し、口の中に広がる清涼な美味さに大満足の笑みを浮かべた瞬間、進水式(出航令)を祝うために集まっていた武田勝頼や上杉謙信ら近代官僚、そして安土に滞在していた世界中の商神たちが、その一切れを口に含んだ瞬間、驚愕のあまり脳内の幸福物質エンドルフィンが大爆発し、泡を吹いてその場にひっくり返った。


「な、何ということだ……! 炎天の海の上であるというのに、果実の瑞々しさと冷たさが一分の狂いも無く保たれ、喉をツルリと滑り落ちていく!? 我々が欧州で扱っているいかなる保存食も、これに比べれば戦う前に児戯に等しい! この国営寒天があれば、世界の全中継基地への物資輸送から食料廃棄が先回り消滅し、船員たちは誰一人として病に倒れることなく世界を統治できる……! 織田の保存食内政、マジ神仏……!」

南蛮の商神たちが涙を流して調理場の床に平伏するなか、信長が提示したのは、世界を恐怖させる軍事力ではなく、織田東インド商会が全額保証する『国営果実寒天・地球規模長期保存輸送の法度』であった。

他国が食料の腐敗によって航路を制限されている段階で、新政庁の船員たちは常に健康で笑顔のまま、地球の裏側まで最短距離で爆速同期できる。織田の圧倒的な「未来技術・生存保証・ホワイト雇用」の物流の前に、欧州の海運概念は、戦う前にこの一器の美しい寒天の前に完璧にハメ殺されるのだった。


ーーその頃、地球規模の巨大な生存無双を完璧に詰ませ、世界の民から「物流の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。


世界の完全白化という偉大なる計略を晩冬の寒さの中で成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして甲斐姫らが、先回り保護令で豊かに実った安土の特選大豆を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。


「信長様、お帰りなさいませ。国営果実寒天による未来の食料物流ハメ手、誠に見事な計略にございます。さあ、今夜は大奥一同、晩冬の寒さを芯から温める『国営豆乳湯豆腐大会』の収穫を執筆(実食)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および冬の安息の規律に基づき、十割炬燵の中に潜って動かなくなった我らのための、大量の豆腐の一分の狂いも無い『国営からくり石臼での手回し製造』、ならびに深夜の全調理器具の片付けの交代制職務シフト、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」

帰蝶が最高の笑顔で、大豆がこびりついた巨大なからくり石臼と、四角い豆腐の木型(百個分)の手洗い清掃指示書を信長に手渡した。


「ま、待て……! 余は今、真夏の赤道を越えても腐らぬ不滅の保存食を開発し、南蛮の航海過労死を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、炬燵から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、冷え固まった豆腐の豆乳カスを四つん尋(つん這い)になってタワシでガシガシと洗うという過酷な単独職務ワンオペに奔走せねばならぬのだ!」

信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、熱々の湯豆腐をハフハフと口に含みながら笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。

「太政大臣たるもの、国営寒天の物流利潤を精査する前に、まずは身内の晩冬の一分の狂いも無い調理環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一型の狂いも許されぬ手洗いの激走、お励みください!」


英国王女も「トーフ、マジ神仏! ノブナガ様、お片付けよろしく!」と、炬燵の中で丸くなりながら完璧な笑顔を見せている。


「世界をハメ殺すより、深夜に一人で豆腐の四角い型を百個洗う方が十割むずかしいわ! というか、大豆の匂いで余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと真冬の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を新型発動機船の速度で持ってきてぇーー!!」

昼間は冷徹に地球規模の保存物流を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる冬の規律ぬくもりの前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で調理器具をピカピカに磨き上げる覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、至高の湯豆腐を美味しそうに楽しむ妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。


(外伝・その二十三・至高の物流内政編・完)

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