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外伝・その十七(地中海平和編):国営天道救護総局の信仰超越なる人道ハメ手と、地中海を不滅の平和圏にする織田の慈悲

南洋の巨大真珠を先回り登記して欧州の宝飾権益を完璧にハメ殺し、大奥での怒濤の鮎百匹炭火焼きをも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、盛夏の力強き陽光が日ノ本を照らすなか、世界の紛争と病の歴史を五百年先んじて完全白化(ホワイト化)する、次なる未曾有の人道地政学チートへと向けられていた。


元平の御世、外先回り登記を済ませ、最高待遇の固定給で強制雇用(同期)した地中海の要衝『マルタ島』の『国営天道救護総局てんどうきゅうごそうきょく』は、今や恐るべき速度で本格稼働を遂げていた。信長が授けた二一世紀の医療衛生知識ーー熱湯や酒精アルコールによる徹底的な傷口の消毒、痛みを十割完全消滅させる麻酔の薬草調合、そして伝染病の拡散を未然に封殺する『国営隔離病棟の法度』は、地中海周辺の歴史を根底から覆しつつあった。


「ーー信長様。マルタ島の明智光秀殿より、一分の狂いも無い確実なる電信が入電。地中海で激しく血を流し合っていた南蛮(キリスト教国)の兵たち、ならびにオスマン帝国(イスラム教国)の傷病兵たちを、国営天道救護総局が『人種や信仰の垣根を百パーセント撤廃して笑顔で救う』という、未曾有の人道無双を展開中とのことです」

内政副総裁の直虎が、地中海の全域に広がる医療救護網の精緻な記録を玉座の前に広げた。


信長は不敵な笑みを浮かべ、二一世紀の医療福祉の記憶を宿した指先で、地図の地中海の中央をぽちりと叩いた。

「うむ。数百年後まで、この地中海は宗教の違いによって人間が憎み合い、傷ついた兵を戦場で過酷に見捨てるブラック環境の泥沼であった。だが、我が新政庁の救護官となった騎士たちが、敵味方の区別無く『命を救う真の正義』を実践したことで、南蛮の王たちもオスマン帝国の皇帝スルタンも、戦う前に我が織田の圧倒的な慈非の前に完璧にハメ殺される(心服する)ことになるのだ」


信長の計略は、武力で敵を滅ぼすことではない。命の尊厳という「人類最大の正義」を用いた、至高の地政学チートであった。


数日後、地中海の青き海を見下ろすマルタ島の広大な直轄国営病院にて、歴史的な光景が繰り広げられていた。

かつて戦場で互いに剣を交え、憎み合っていたはずの南蛮の騎士とオスマン帝国の老兵が、隣り合う清潔な病床の上で、同じ日ノ本製の白粥おかゆを口に運びながら、涙を流して互いの手を握り合っていたのである。


「な、何ということだ……。異教徒の私を、これほど一分の狂いも無い手厚い看病で救ってくれるとは……。しかも、この病院では誰もが過労死の恐怖から守られ、医師も騎士も『完全週休二日制』のもとで笑顔で働いている。織田の太政大臣様が全額保証する人道のシステム、マジ神仏……!」

オスマン帝国の傷病兵たちが涙を流して畳(日ノ本から輸送された寝台)に平伏するなか、総局長となった救護騎士たちは、信長から授かった二一世紀の医療技術と、一割の狂いも無い定額給与の予算書を抱きしめ、誇らしげに胸を張っていた。


この圧倒的な「正義と慈悲の黄金の盾」の前に、オスマン帝国の皇帝や欧州の欲深き王たちは、戦う前に完全に武装解除された。織田の天道救護総局に刃を向けることは、世界中の全人類を敵に回す大罪となるからである。これにより、地中海には一兵も損なうことなく、宗教戦争の火種を未然にハメ殺した不滅の平和圏が完全に確立されたのである。


ーーその頃、地球規模の巨大な盤上を完璧に人道的に詰ませ、世界の民から「慈悲の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。


地中海の完全白化という偉大なる計略を成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして甲斐姫らが、赤松の氷室から切り出されたばかりの大量の「国営氷」と、キンキンに冷えた巨大な「国営西瓜スイカ」を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。


「信長様、お帰りなさいませ。マルタ島の救護総局による未来の信仰超越ハメ手、誠に見事な計略にございました。さあ、今夜は大奥一同、盛夏の酷暑を吹き飛ばす『国営西瓜冷やし大会』の収穫を執筆(実食)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および夏の安息の規律に基づき、十割涼しき大奥の奥に潜って動かなくなった我らのための、大量の西瓜の種拾い、ならびに深夜の果汁で汚れた床の雑巾掛けの交代制職務シフト、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」

帰蝶が最高の笑顔で、すでに皮だけになった大量の西瓜の山と、一分の狂いも無い手拭いでの拭き掃除指示書を信長に手渡した。


「ま、待て……! 余は今、地中海の全域に不滅の平和救護網を敷き、南蛮とオスマン帝国を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、炬燵の部屋(※夏は畳敷き)から一歩も動かぬお前たちのために、一人で真夜中に赤子をあやし、床に散らばった西瓜の種を一粒の狂いも無く手拾いで片付けるという過酷な単独職務ワンオペに奔走せねばならぬのだ!」

信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、西瓜の甘い果汁を口に含みながら笑顔の先回り牽制を仕掛けてきた。

「太政大臣たるもの、地中海の医療権益を精査する前に、まずは身内の盛夏の一分の狂いも無い清掃環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一粒の種も見落とさぬ見張りの激走、お励みください!」


「世界をハメ殺すより、深夜に大奥の西瓜の種を一人で拾う方が十割むずかしいわ! というか、西瓜の甘い匂いで羽虫が寄ってくるではないか! 余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと盛夏の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)をマルタ島の最先端医療と一緒に持ってきてぇーー!!」


昼間は冷徹に地球規模の平和を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる盛夏の規律ぬくもりの前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で四つん這いになって床をピカピカに磨き上げる覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、冷たい西瓜を美味しそうに楽しむ妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。


(外伝・その十七・地中海平和編・完)

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