外伝・その十三(大洋州編):未知なる豪州大陸の先回り登記と、独自の文化を百パーセント尊重する人道雇用のハメ手
地中海の要衝『マルタ島』を先回り登記して不滅の救護騎士団を最高待遇で強制雇用し、大奥の完璧すぎる健康診断規律による徹底的な看病包囲網をも生き抜いた正一位・太政大臣たる織田信長。安土城の総大総督府の玉座に座る覇王の視線は、春の暖かな風が吹き抜けるなか、次なる地球規模の白化(ホワイト化)戦略の巨頭、南方の大洋に眠る巨大な未知の大陸へと向けられていた。
元平の御世、安東愛季や毛利輝元の率いる新政庁の黒船蒸気艦隊は、赤道を越えてさらに南下し、南蛮の国々(イギリスなど)が未だその存在すら正確に把握していない、広大無辺なる大地の海岸線へと到達していた。のちに異国において『オーストラリア』、そして『豪州』と呼ばれることになる、未来の無限の国営資源が眠る巨大大陸である。
「ーー信長様。安東愛季殿より、一分の狂いも無い確実なる電信が入電。南方の大洋に浮かぶ広大なる未知の大陸を発見し、我が新政庁の主権を示す『国営豪州資源管理聖域』としての先回り登記(ハメ殺し)を、戦う前に十割完全に完了したとのことです」
内政副総裁の直虎が、未知の海岸線が詳細に描かれた巨大な海図を玉座の前に広げた。
信長は不敵な笑みを浮かべ、二一世紀の歴史と地理の記憶を宿した指先で、海図の南方の巨大な大陸をぽちりと叩いた。
「うむ。英国の欲深き国々がこの大陸に目を付け、現地の民を虐殺して土地を奪い、地底に眠る無限の『鉄鉱石』や『石炭』を不当に掠奪する悲惨な未来の歴史を、余は今ここで根底から完璧にハメ殺した。世界の南方の巨大資源は、本日ただいまを以て、我が新政庁が永久に直轄管理する不滅の中継補給基地となったのだ」
しかし、信長の知識は、未来の資源を先回り確保するだけに留まらない。21世紀の福祉と人権の知識を保有する覇王の真髄は、その広大な大地に古くから暮らす、誇り高き先住民(アボリジニの諸部族)の救済にあった。
数日後、豪州大陸の赤茶けた大地と美しい海岸線が広がる原野にて、織田の使節団と、独自の信仰と自然と共に生きる現地の諸部族の長たちが対峙していた。
異国の過酷な軍事侵略や、奴隷としての拉致(ブラック環境)を予期して警戒を強めていた長たちに対し、総大総督府の特使たる安東愛季が提示したのは、戦の弓矢ではなく、金一文の狂いも無い純金貨の詰まった袋と、新政庁が全額保証する『国営豪州自然保護官・最高待遇固定扶持の予算書』であった。
「豪州の誇り高き長、そして民たちよ! 我らが主、織田信長様はそなたたちの土地を奪うことも、ましてや過酷な強制労働を課すことも十割絶対にせぬ! そなたたちが何万年も守り続けてきた聖なる大自然、独自の信仰、文化、と言葉を尊重し、永久に保護することを約束する。その証として、そなたたち全員を最高待遇の国営官僚として強制雇用(同期)する!」
愛季の熱き通訳が響き渡った瞬間、現地の長たちは驚愕のあまり互いの顔を見合わせた。
さらに織田の使節団は、二一世紀の環境調和技術に基づいた「無理のない資源の共同管理法」や、一割の狂いも無い定額給与の支給書を次々と手渡していく。
「な、何ということだ……。戦う前に、私たちの生活と誇りをすべて全額保証するというのか……。しかも、夕刻五時の鐘が鳴れば、すべての職務を終えて家族の元へ帰ってよい(定時退勤)とは、一体どれほど白い(ホワイトな)規律なのだ……!」
将来的に異国の過酷な植民地支配によって命と文化を削られるはずだった現地の民たちは、織田の人道ハメ手の前に、大粒の涙を流して平伏した。
「織田のシステム、マジ神仏……! 我らは生涯を懸けて、信長様のためにこの美しい大地と地底の資源を守り抜くことを誓おう!」
現地の民が一人も血を流すことなく、笑顔で織田の世界線へと完全に同期(就職)していく。これにより、将来的に南蛮の欲深き大国がどれほど巨大な艦隊を送り込もうとも、戦う前に大義名分と現地民の絶対的信頼(黄金の盾)によって完璧に封殺される、大洋州の不滅の防衛網が完成したのである。
ーーその頃、地球規模の巨大な盤上を完璧に詰ませ、南方の民から「地政学の神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。
豪州大陸の完全白化という偉大なる計略を成し遂げた信長であったが、夜の大奥に足を踏み入れた瞬間、帰蝶、直虎、英国王女、そして成田家から赴任してきた甲斐姫らが、安土の海で収穫されたばかりの大量の「浅蜊」と「蛤」を前に、一分の狂いも無い完璧な温もり包囲網を敷いて待ち構えていたのである。
「信長様、お帰りなさいませ。豪州の大陸を先回り登記し、未来の資源搾取を戦う前に完璧にハメ殺した計略、誠に見事なハメ手にございました。さあ、今夜は大奥一同、春の味覚を堪えし『国営潮干狩り大会』の収穫を執筆(調理)いたしますが……労働者にございます我らの有給休暇および春の安息の規律に基づき、大量の貝の『国営砂抜き(すなぬき)』、ならびに深夜の貝尽くし御膳の調理と片付けの交代制職務、本日の深夜番は信長様、あなた様に十割完全に割り振られておりますよ?」
帰蝶が最高の笑顔で、一万個を超える大量の貝が入った巨大な手桶と、一分の狂いも無い塩水の濃度管理書を信長に手渡した。
「ま、待て……! 余は今、未知の豪州大陸を先回り登記し、未来の植民地支配を戦う前に完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、真夜中に大奥の台所で一万個の貝の砂抜きを単独職務で回し、殻を洗わねばならぬのだ!」
信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、笑顔で先回り牽制を仕掛けてきた。
「太政大臣たるもの、豪州の鉄鉱石を精査する前に、まずは身内の春の一分の狂いも無い砂抜き環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります。さあ、一殻の狂いも無い手洗いの激走、お励みください!」
「世界をハメ殺すより、深夜に一万個の貝の砂抜きをする方が十割むずかしいわ! というか、塩水の割合が一分でも狂えば貝が口を開かぬではないか! 余の再生したばかりの限界胃壁がストレスと正月の激務で本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余の胃薬(胃壁保護剤)を豪州の特産品と一緒に持ってきてぇーー!!」
昼間は冷徹に地球規模の巨大資源を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる春の規律の前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で貝をピカピカに磨き上げる覇王信長。だが、ぐっすりと眠る子どもたちの愛らしい寝顔と、春の味覚を美味しそうに楽しむ妻たちの笑顔を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。
(外伝・その十三・大洋州編・完)
【作者より、読者の皆様へ至高のお願い】
外伝・その十三『大洋州編』を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!
第十三話は、異国の乱獲や資源搾取の歴史を五百年先んじて完全にハメ殺す『豪州大陸登記』と、現地の誇り高き民を最高待遇で強制雇用する圧倒的な人道地政学チートをお届けいたしました。現地の方々が手厚い固定給に感涙する一方、安土城では深夜の一万個の貝の砂抜きワンオペに胃壁を跡形もなくハメ殺されている信長様のギャップを楽しんでいただけましたら幸いです。
さて、ここで読者の皆様へ一割の狂いも無い大切なお願いがございます。
深夜の猛烈な貝洗いで抜け殻のようになってしまった信長様を、皆様の清き民意で救済(ホワイト化)していただけないでしょうか?
ページの下方にございます、
「作品評価(星五つ ⭐⭐⭐⭐⭐)」
「作品登録」をぽちりと押していただけますと、信長様の砂抜きの精度が百パーセント加速し、次回作への執筆意欲が十割跳ね上がります!
「信長様、マジ神仏……!」と思ってくださった方は、ぜひ手厚い応援(強制雇用)のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。次回も一分の狂いも無い最高の物語をお届けいたします。




