表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/89

外伝・その六(新大陸編):地底に眠る黒色黄金の先回り登記と、新天地の長たちを救う手厚き固定給のハメ手

多国籍大奥の無慈悲なる夏期休暇という、制度の刃による単独育児ワンオペの死闘を終え、無事に限界胃壁を再生させた正一位・太政大臣たる織田信長は、再び安土城の総大総督府の玉座にて、地球規模の巨大なる盤上へと冷徹な視線を戻していた。


日ノ本が完全なる国営化を達成して十数年、新政庁の視線はすでに、遥か東の大洋を越えた先にある新大陸へと向いていた。のちに異国において『北アメリカ』、そして『カリフォルニア』と呼ばれることになるその広大な大地を、信長は二一世紀の歴史・地理・地質学の記憶を一分の狂いも無く同期させ、すでに『東日の本州ひがしのほんしゅう』として先回り登記(ハメ殺し)していたのである。


「ーー報告いたします、信長様。安東愛季殿の率いる新政庁の黒船艦隊が、東日の本州の南方に位置する大渓谷、ならびに海岸地帯の測量を十割完全に完了いたしました」

内政副総裁の直虎が、見事な手際でまとめられた巨大な新大陸の地図を広げた。そこには、現在の南蛮スペインやポルトガルの探検家たちが未だ足を踏み入れていない、未開の原野が詳細に描かれていた。


信長は不敵な笑みを浮かべ、二一世紀の知識を宿した指先で、地図のある一点をぽちりと叩いた。そこは、のちに世界を支配する電子産業の聖地シリコンバレーとなる渓谷であり、同時に、地底に未知なる莫大な富が眠る呪われた大地であった。

「うむ。直虎よ、この一帯の地底にはな、将来の世界の全動力を根底から覆すことになる『黒色の黄金』……すなわち、燃える魔水(石油)が、無限と言えるほどに湧き出ているのだ。数百年後、異国の欲深き商神たちがこの富を奪い合い、現地の民を虐殺して大地を血で染める悲惨な未来の歴史を、余は五百年先んじて今ここで完璧にハメ殺す」


信長の言葉に、直虎は一割の狂いも無い冷徹な筆捌きで、その一帯を『新政庁直轄・環境調和型国営資源管理聖域』として不滅の登記簿に書き加えた。異国が目を付ける遥か前の段階で、国家の大義名分(黄金の盾)を用いて土地の主権を完全に封鎖する、地政学チートの極みであった。


しかし、信長の真のハメ手は、単なる土地の強奪(ブラック環境)ではない。21世紀の福祉知識を保有する覇王の真髄は、その土地に古くから暮らす現地の民(インディアンの諸部族)の救済にあった。


数日後、東日の本州の広大な原野にて、織田の使節団と、現地の諸部族を束ねる偉大なる長たちが対峙していた。使節団の先頭に立つのは、かつて東北の開拓においてアイヌの民との対等な共生を完遂した、老練なる名将・安東愛季であった。


現地の長たちは、突如として海から現れた巨大な鉄甲蒸気船と織田の軍勢に警戒を強めていたが、愛季が提示したのは、戦の矢ではなく、新政庁が全額保証する一冊の分厚い『国営固定扶持(定額給与)の予算書』であった。


「東日の本州の誇り高き長たちよ。我が主、織田信長様からの伝言である。我らはそなたたちの土地を奪いに来たのではない。そなたたちの独自の文化、言葉、そして聖なる大自然を百パーセント尊重し、永久に保護することを約束する。その証として、そなたたち全員を『国営東日の本州・環境自然保護官』として、本日ただいまを以て最高待遇で強制雇用(同期)する!」


愛季の通訳がその言葉を伝えた瞬間、長たちは驚愕のあまり手にしていた弓矢を落とした。

さらに愛季は、金一文の狂いも無い純金貨が詰まった袋と、二一世紀の最先端農業技術による「病害に強い穀物の種」を次々と手渡していく。


「な、何ということだ……。戦う前に、私たちの生活と誇りをすべて全額保証するというのか……。しかも、夕刻五時の鐘が鳴れば、すべての職務を終えて家族の元へ帰ってよい(定時退勤)とは、一体どれほど白い(ホワイトな)規律なのだ……!」

過酷な掠奪や奴隷貿易の未来を予期していた長たちは、織田の圧倒的な人道ハメ手の前に、涙を流して平伏した。

「織田のシステム、マジ神仏……! 我らは生涯を懸けて、信長様のためにこの大自然と地底の黒き黄金を守り抜くことを誓おう!」

現地の民が一人も血を流すことなく、笑顔で織田の世界線へと同期(就職)していく。これにより、将来的に南蛮の闇の奴隷貿易網が新大陸へ進出してきても、戦う前に一瞬で消滅させるための、完璧なる『海の黄金防衛網』の東の拠点が完成したのである。


ーーその頃、地球規模の巨大な盤上を完璧に詰ませ、新大陸の民から「マジ神仏」と唱念されていた最高権力者、織田信長は、安土城の総大総督府の裏手にて、再び別の意味での滝のような冷や汗を流していた。


大奥の女傑たちの夏期休暇は終わったものの、今度は帰蝶や直虎、そして英国王女や成田家から赴任してきた甲斐姫らが、旅行先である熱海温泉のお土産として、大量の「高級干物」と「温泉の源泉(湯の華)」を抱えて帰還したのである。


「信長様! お土産にございます! 熱海の湯は大変素晴らしく、我らの肌も百パーセント瑞々しく潤いました。さあ、このお土産の干物の一文の狂いも無い国営帳簿への登記と、大量の湯の華を用いた大奥の風呂掃除の交代制職務シフト、本日の深夜番は信長様、あなた様に割り振られておりますよ?」

帰蝶が最高の笑顔で、掃除用具である特製の国営竹箒と手桶を信長に手渡した。


「ま、待て……! 余は今、東日の本州の黒色黄金の国営化という、全人類の未来を左右する世紀の大計略を完璧にハメ殺してきたばかりなのだぞ……!? なぜ戻ってきた瞬間から、大奥のお土産の片付けと風呂掃除という過酷な単独職務ワンオペに奔走せねばならぬのだ!」

信長の悲痛な叫びに対し、十五歳に成長した甲斐姫が、笑顔で先回り牽制を仕掛けてきた。

「太政大臣たるもの、国営の熱海温泉の利潤を精査する前に、まずは身内の清掃環境を一から完璧に白化(ホワイト化)していただかねば困ります!」


「世界をハメ殺すより、大奥の干物の片付けと風呂掃除をこなす方が十割むずかしいわ! 余の再生したばかりの限界胃壁が本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよーー! 誰か、余を助けてぇーー!!」

昼間は冷徹に新大陸の富を統治する総大総督でありながら、夜は大奥の完璧なる規律の前に白目を剥き、嬉しさと緊張の冷や汗で雑巾を絞る覇王信長。だが、ぐっすりと眠る双子の寝顔と、温泉帰りで笑顔の妻たちの姿を見つめ、胃壁の激痛を堪えながらも、心の底から幸福なる微笑を浮かべるのであった。


(外伝・その六・新大陸編・完)

【作者より、読者の皆様へ至高のお願い】


外伝・その六『新大陸編』を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!


今回は、のちのカリフォルニアに眠る石油や未来の富を、織田の圧倒的な先回り登記(ハメ手)で無血国営化する爽快内政チートをお届けいたしました。新大陸の長たちが手厚い固定給に感涙する一方、安土城では熱海温泉のお土産の干物と風呂掃除のワンオペに胃壁を跡形もなくハメ殺されている信長様のギャップを楽しんでいただけましたら幸いです。


さて、ここで読者の皆様へ一割の狂いも無い大切なお願いがございます。灼熱の風呂掃除で抜け殻のようになってしまった信長様を、皆様の清き民意で救済(ホワイト化)していただけないでしょうか?


ページの下方にございます、

「作品評価(星五つ ⭐⭐⭐⭐⭐)」

作品登録ブックマーク

をぽちりと押していただけますと、信長様の風呂掃除の手際が百パーセント加速し、次回の執筆意欲が十割跳ね上がります!


「信長様、マジ神仏……!」と思ってくださった方は、ぜひ手厚い応援(強制雇用)のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。次回も一分の狂いも無い最高の物語をお届けいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ