第52話:南米の国営地脈確保と、大奥の離乳食大戦
1:南米への超先行探検と、銀山・農地の国営先回り確保
元平二年の冬、新大陸『東日の本州(アメリカ西海岸)』の大都市計画を万全に同期させた新政庁は、大開発の手綱をさらに南へと伸ばしていた。余が次なる標的に定めたのは、いまだ南蛮の過激な掠奪と植民地化の魔手が及びきっていない広大なる大地、すなわち『南米(南アメリカ)』の資源地帯への超先行開拓であった。
余は新大陸の開拓を差配していた毛利輝元や島津義久らの艦隊に対し、石炭の炎で動く漆黒の鉄甲蒸気船を用いたさらなる南下命令を発令した。余はこの南米進出を命じるにあたり、未来の歴史で起きる悲惨な銀の過剰採掘や、原住民の過酷な強制労働(ブラック環境)を五百年先んじて完璧にハメ殺すため、輝元らに厳格な『南米人道直轄保護令』の親書を託していたのである。
南米の沿岸へと突入した織田の黒船と近代大砲の威容に、現地の長たちは戦う前に戦意を百パーセント失っていたが、島津らが提示したのは略奪ではなく、独自の文化や土地を尊重した上での「近代官僚としての強制雇用(白化)」であった。
「我らは貴殿らの土地と信仰を十割尊重する! その代わり、南蛮の不当な搾取は戦う前に完璧にハメ殺し、新政庁が全額保証する破格の『国営固定扶持(定額給与)』を毎月金一文の狂いも無く全額支給してやるわ!」
提示された桁違いの近代の富と、将来の侵略を未然に防ぐ絶対的な大義名分(黄金の盾)を前に、現地の長たちは涙を流して無血での国営化を受け入れた。彼らの案内のもと、新政庁の船団は未来の知識に眠る莫大な『銀山(ポトシ銀山など)』や広大な肥沃の農地を一分の狂いも無い地質の計算のもとで国営確保し、世界最強の海洋帝国の不滅の財源が、一兵も損なうことなく完璧に盤上で完成するのであった。
2:太平洋の残されし島々の完全白化と、中継航路の十割同期
南米の無血国営化と並行し、余の次なる「海の地政学チート」の手綱は、太平洋の残された未知の島々(南太平洋の孤島群)の完全なる白化へと伸びていた。新大陸や南米へと向かう大開拓艦隊の安全と兵站(補給)を百パーセント保証するためには、大洋の全域に点在する島々を、戦う前に完璧に新政庁の流通網へと一本化(同期)させておく必要があったのだ。
余は北海の長期計画を差配していた安東愛季や南部晴政らの優れた航海術と、葛西晴信の造船能力を同期させ、鉄甲蒸気船を用いた大洋の残された海域への極秘の巡航船団を出航させた。
「良いか、安東、南部。太平洋の島々に暮らす先住民族の民たちを、異国のように銃火で脅して奴隷にしたり、土地を奪うことは新政庁において十割重罪である! 彼らの土地と信仰を百パーセント尊重し、対等な交易相手、あるいは手厚き国営固定給を全額保証して新政庁の開拓顧問として強制雇用せよ。大洋のすべての島を『環境調和型の神聖中立管理区域』として先回りして登記(ハメ殺し)してこい!」
軍事力による侵略や他国との不毛な領土争いなど皆無のまま、ただ誰もいない豊かな資源の眠る孤島群を国営の予算で先回りして確保していく驚天動地の先見性。この太平洋のすべての島々が新政庁の金庫へと一分の狂いも無く同期されたことで、織田東インド商会の大航海を支える不滅の中継補給基地(絶対防衛圏)が、戦う前に百パーセント盤上で完成するのであった。
3:世界調和の覇業と、覇王の冷や汗まみれる多国籍離乳食大戦
「ふん、南米の資源確保も太平洋の島々の完全白化も、すべて余の計算の内よ。海の流通網は固定給で封殺し、世界の覇権は我が新政庁のシステムの中に百パーセント収まったわ!」
余は大広間で世界大航海図を見下しながら、集まった近代官僚たちに向けて傲然と言い放ち、彼らの狂信的な崇拝の焔を最高潮に燃え上がらせていた。しかし、日没とともに安土城の奥御殿の寝所へと帰還した余は、冷徹な総大総督の威厳を一瞬で解体され、冷や汗まみれの深夜の激務に追われていた。そこには、産後の静養から見事に回復して微笑む正室・帰蝶と直虎、配置転換で赴任してきた永高内親王殿下と誾千代、さらには新政庁の規律を十割お体に同期した金髪碧眼の英国王女の姿があった。
「お帰りなさいませ、総大総督。南米の銀山のハメ殺し、誠に見事な大義にございました。……さあ、本夜の『給与全額保証の国営育児交代制職務』の最難関、赤子の『手作り離乳食(乳粥)やり』の交代制職務にございますよ?」
帰蝶がすべてを見透かすような美しい微笑みで二つの器を指差すと、同時に二人の赤子が元気いっぱいに夜泣きを始めた。「織田の完全白化の育児の精神、私も十割同期いたしました。上様、今夜は私と誾千代様が交代で赤子をあやしますゆえ、深夜の乳粥の火加減(温度)、一分の狂いも無くお励みくださいね」と、直虎や英国王女も楽しげに余をロックオンした。余は滝のような冷や汗を流しながら、二つの匙を手に二人の我が子を交互にあやし、乳粥を口元へと運んだ。
(……いやいやいや! 昼間は世界を見据えて南米に黒船を飛ばし、五百年先んじて地球の経済覇権を守る大計略をぶち上げてるのに、夜は深夜に冷や汗流しながら英国王女と肩を並べて赤子の口へ乳粥を同時に運ぶ交代制職務って、余の頭脳と胃壁への圧力が十割限界領域(ブラック環境)なんだけど!? いよいよ世界をさらに驚かせる『アフリカ大陸の資源確保と奴隷貿易の根本ハメ殺し』の大一番なのに、余の家庭内の限界胃壁が本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよ!)
世界を無理のない健全な調和へと導く覇王の歩みとは裏腹に、大奥における「無理のない多国籍子育て革命」の荒波に揉まれる余の胃の寿命だけは、嬉しさと緊張の冷や汗とともに、今夜も限界を突破してキリキリと悲鳴を上げるのであった。
(第53話:東阿弗利加の奴隷貿易根絶令と、大奥の多国籍おもちゃ大戦)




