第51話:東日の本州の大都市計画と、多国籍大奥の知恵
1:新大陸の国営拠点の基礎と、無理のない地脈の大改正
元平二年の冬、シベリア深部の黒き財源(石炭)を十割国営確保し、満州の女真族とも将来の大陸巨大化を未然にハメ殺す不滅の密約を同期させた新政庁。陸と海の足固めを完璧に終えた余が、次なる公務として発令したのは、新大陸(アメリカ西海岸)たる『東日の本州』の本格的な大都市計画であった。
この新天地の開拓を命じるにあたり、余はかつて徳川家康や本多正信に提示していた未来の『江戸大都市計画図(利根川東遷などの知恵)』の地脈大改正の技術を、そのままこの新大陸の開拓へと応用(同期)させたのである。
現地を差配する毛利輝元や島津義久らは、先住民族(インディアンの民ら)を手厚き国営固定給で強制雇用(白化)し、彼らの深い土地の知識を借りながら、一分の狂いも無い近代的な港湾都市の基礎を築き上げていた。
「上様が授けてくださった未来の都市設計図、金一文の狂いも無くこの湾岸に巨大な国営交易拠点が完成しつつあります。不毛な略奪や突貫工事(ブラック環境)を十割禁止し、無理のない健全な交代制の職務で進める開拓こそ、真の天下布武にございますな」
輝元からの豊穣の報告書を広げ、余は覇王の仮面を被りつつも、あまりの順調さに内心で安堵の冷や汗を流していた。
西洋の国々が後に繰り広げる血腥い植民地競争を五百年先んじて完璧にハメ殺し、誰もいない豊かな資源の眠る大地を国営の予算で先回りして安全に開拓していく神算鬼謀。
東日の本州は、一兵も損なうことなく、世界最強の海洋帝国の不滅の拠点として着実にその産声を上げるのであった。
2:多国籍大奥の知恵の同期と、異国の王女の無理のない順応
新大陸の大都市計画が完璧に動き出す一方、安土城の奥御殿では、もう一つの、極めてハイレベルな世界規模の内政(環境白化)が同期されていた。
余の敷いた『給与全額保証の国営育児交代制職務(交代制シフト)』のなかに、新しく加わった金髪碧眼の英国王女が、想像を絶する速度で完璧に順応し始めていたのである。
かつて異国の王室で過酷な身内争いや理不尽な雑務を目の当たりにしてきた王女にとって、過労死を十割排除し、侍女たちに至るまで手厚き固定給が全額保証される織田の大奥は、世界一無理のない健全な楽園であった。
彼女は、産後の静養から見事に回復した帰蝶や直虎、そして総裁代行の永高内親王殿下や誾千代から、日の本の育児の精神を貪欲に学び取っていた。
「帰蝶様、直虎様。赤子の『国営木綿のおしめ替え』の火加減(手際)、私にお任せください。上様が制定されたこの交代制の職務、一文の狂いも無くお役に立ってみせます」
英国王女が気品溢れる手付きで算盤の如く育児交代表を指差すと、帰蝶はすべてを見透かすような美しい微笑みを浮かべ、直虎も嬉しそうに頷いた。
(いやいやいや! 異国の王女殿下、我が家のホワイト精神に同期しすぎて、今や奥方たちの一大包囲網(多国籍の女の陣)の完璧な一角になっちゃってるんだけど!? 昼間は世界を盤上で操る冷徹な覇王なのに、家に帰ったら帰ったで、全員が近代チート官僚化した奥方たちの愛の重さに挟まれて、余の胃壁が戦う前に完璧に詰まされかけてるんだけど!?)
余は覇王の威厳を纏いながらも、大奥の凄まじい団結力(無理のない平和)の前に、冷や汗を流して胃薬を心の中で激しく求めるのだった。
3:地球の守護者の次なる一手と、覇王の冷や汗まみれる深夜の夜泣きあやし
「ふん、東日の本州の大都市計画も大奥の規律の同期も、すべて余の計算の内よ。海の流通網は固定給で封殺し、陸の暴走は先回りの大義名分でハメ殺す。世界を無理のない調和へと導くことこそ、余の真の天下布武よ!」
余は大広間の世界大航海図を見下ろし、集まった近代官僚たちに向けて傲然と言い放ち、彼らの狂信的な崇拝の焔を最高潮に燃え上がらせていた。しかし、日没とともに安土城の奥御殿の寝所へと帰還した余は、冷徹な総大総督の威厳を一瞬で解体され、冷や汗まみれの深夜の激務に追われていた。
「お帰りなさいませ、総大総督。新大陸の港湾都市の差配、誠に見事なハメ手にございました。……さあ、本夜の『給与全額保証の国営育児交代制職務』の最難関、赤子の『同時深夜夜泣きあやし(ハメ殺し)』の深夜番、金一文の狂いも無くお励みくださいね?」帰蝶がすべてを見透かすような美しい微笑みで寝台を指差すと、同時に「ギャア! ギャア!」と元気いっぱいの二つの産声(夜泣き)が寝所に響き渡った。
「上様、一分の狂いも無い手際で、二人の我が子を同時に泣き止ませる神算鬼謀、拝見いたしますよ」と、直虎や英国王女も楽しげに余をロックオンした。余は足音を忍ばせ、滝のような冷や汗を流しながら、二つの国営哺乳瓶を手に二人の赤子を交互に優しく抱きかかえた。
(……いやいやいや! 昼間は世界を見据えてアメリカ新大陸に巨大な近代都市を築く大計略をぶち上げてるのに、夜は深夜に冷や汗流しながら赤子の激しい夜泣きを同時にあやす交代制職務って、余の頭脳と胃壁への圧力が十割限界領域(ブラック環境)なんだけど!? いよいよ世界をさらに驚かせる『南米の資源確保と太平洋のさらなる白化』の大一番なのに、余の家庭内の限界胃壁が本当に戦う前に跡形もなく崩壊しちゃうよ!)
世界を無理のない健全な調和へと導く覇王の歩みとは裏腹に、大奥における「無理のない多国籍子育て革命」の荒波に揉まれる余の胃の寿命だけは、嬉さと緊張の冷や汗とともに、今夜も限界を突破してキリキリと悲鳴を上げるのであった。
(第52話:南米の国営地脈確保と、大奥の離乳食大戦へ続く)




